電子添文には、過量投与に関する以下の記載があります。
■症状
悪心、嘔吐、口渇、下痢、頭痛、めまい、耳鳴り、難聴、興奮、痙攣、過呼吸、昏睡などの症状を示す。酸塩基平衡異常と電解質異常が生じることがあり、発熱と脱水を併発する。過呼吸のとき呼吸性アルカローシスを生じ、すぐに代謝性アシドーシスが生じる。(引用1)
■処置
催吐、胃洗浄を行い、その上で活性炭や下剤を投与することも有用。ブドウ糖輸液などにより体液と電解質のバランスの維持を図る。小児の高熱には、スポンジ浴を行う。炭酸水素ナトリウムの静脈注射などによりアシドーシスを補正すると共に尿のアルカリ化を図る。重篤な場合、血液透析、腹膜灌流などを考慮する。(引用2)
【関連情報】
(解説)
■アスピリン中毒(引用3)
■その他(引用3、5)
出血傾向:皮膚の点状出血、吐血、新生児出血症、消化管出血等
低カリウム血症
肝障害(血中濃度20mg/100mL以上で発現。可逆的)
腎障害(ナトリウム不足を伴わない多尿)
非心原性の肺浮腫(血中濃度40mg/100mL以上で数例発現の報告)
アレルギー症状として蕁麻疹、喉頭浮腫、脈管神経症性浮腫、喘息
■処置法(引用3)
(1)胃洗浄:(服用後かなり時間が経過していても吸収されずに胃内に残存していることが多いため、長時間経過している症例にも行う必要がある。)
(2)吸着剤:活性炭(40~60g→水200mL)
(3)下剤:硫酸マグネシウム(30g→水200mL)またはクエン酸マグネシウム液(マグコロール 250mL)
(4)輸液:ブドウ糖液が望ましい。
(5)尿のアルカリ化:炭酸水素ナトリウム注(メイロン)代謝性アシドーシスの補正も兼ねる。ただし、呼吸性アルカローシスのときは不可。
(6)強制利尿:フロセミド注(ラシックス注)を加える。
(7)対症療法:痙攣・・・ジアゼパム注(セルシン注射液)
消化性潰瘍・・・シメチジン(タガメット)、制酸剤、鎮痙剤
出血・・・ビタミンK1・K2、輸血、外科的処置
高熱・・・スポンジ浴
テタニー・・・グルコン酸カルシウム注(カルチコール注射液)
(8)重篤の場合:血液透析(HD)、腹膜灌流(PD)などが有効である
【引用】
1)バファリン配合錠A81電子添文 2022年5月改訂(第3版) 13.過量投与 13. 1症状
2)バファリン配合錠A81電子添文 2022年5月改訂(第3版) 13.過量投与 13.3処置
3)バファリン配合錠A81インタビューフォーム 2022年5月改訂(改訂第7版) VIII.安全性(使用上の注意等)に関する項目 10.過量投与
4)山吉滋: 救急医学 1988 ; 12 (10) : 1305-1309 [BF-0218]
5)鵜飼卓: 改訂 急性中毒処置の手引, (薬業時報社), 1994; 332-334 [BF-0246]
【更新年月】
2022年6月
【図表あり】
【図表あり】
KW:眩暈、過換気、倦怠感、不穏、多弁、躁状態、幻覚、呼吸不全、肺水腫、心原性ショック