電子添文には、重要な基本的注意に関する以下の記載があります。
8. 重要な基本的注意(引用1)
8.1 本剤が脳室系に移行して水頭症が発症するおそれがあるので、腫瘍切除術後に切除腔から脳室系に至る間隙が認められる場合には、本剤の留置前にその間隙を閉鎖する等の対応を行った上で本剤を留置すること。
8.2 本剤留置患者において、脳脊髄液の漏出が認められることがあるので、手術時の硬膜閉鎖等の処置を適切に実施すること。
8.3 本剤留置後のCT及びMRI検査において、切除腔周囲の脳組織に造影増強が認められた場合には、本剤の留置又は腫瘍の増大に起因する可能性があることに留意し、適切な処置を検討すること。
8.4 本剤留置部位に気体の貯留が認められることがあり、神経症状を発現した例も報告されている。本剤留置後は、片麻痺、失語症、意識障害等の神経症状の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
【関連情報】
インタビューフォームには重要な基本的注意の理由に関する以下の記載があります。(引用2)
(解説)
本項は、本剤の脳内留置による重大な副作用の発現を回避するための注意喚起を、CCDS注)及び海外の臨床試験成績並びに添付文書の記載に基づいて記載した。
8.1 海外臨床試験で本剤を留置した患者において、酸化セルロース(ガーゼ又は綿型の止血剤)を併用した際に、酸化セルロースが栓の役割となってモンロー孔内の脳脊髄液流を遮断して水頭症症状が発現した。
腫瘍切除術後の切除腔から脳室系に至る間隙が本剤の直径より大きい場合、本剤を腫瘍切除腔内で固定することを兼ねて他の物質を使用すると、本剤あるいは併用した物質が脳室系に移行して水頭症が発症するおそれがある。
この事象を回避するため、腫瘍切除術後に切除腔から脳室系に至る間隙が認められる場合には、本剤の留置前にその間隙を閉鎖する等の対応を行った上で本剤を留置すること。
8.2 CCDS注)及び海外の添付文書において、脳脊髄液の漏出が本剤の初回留置群の5%にみられたとする記載がある。脳脊髄液の漏出の危険を最小限に抑えるため、手術時、防水性のある方法で硬膜閉鎖を確保するよう注意喚起することとした。
8.3 海外での本剤の症例報告において、本剤留置部位周囲近傍脳組織に嚢胞(cyst)により脳腫瘍や脳浮腫等の炎症が発現し、CT及びMRI検査時に同部位の画像が造影増強したとの報告があり、また、本剤留置による嚢胞(cyst)形成によるものか原疾患である腫瘍の増大によるものなのか鑑別が難しいとの報告もあった(引用3、4、5)。
以上のことから、CCDS注)及び海外の添付文書と同様に本剤留置後の切除腔周囲の脳組織のCT及びMRIの造影増強の画像所見の判定に注意することを記載した。
8.4 本剤を留置した患者において、留置部位に気体の貯留が報告され、片麻痺、失語症、意識障害等の神経症状が報告されていることから注意喚起することとした。
注)Company Core Data Sheet(企業中核データシート)
【引用】
1)ギリアデル脳内留置用剤7.7mg 電子添文2023年3月改訂(第1版) 8.重要な基本的注意
2)ギリアデル脳内留置用剤7.7mg インタビューフォーム 2024年3月改訂(第11版) VIII,安全性(使用上の注意等)に関する項目 5.重要な基本的注意とその理由
3)Engelhard H.H.: Surg. Neurol., 2000; 53(3): 220‒224 [PMID: 10773252] [GLI‒0061]
4)McGirt M.J., et al.: J. Neurosurg., 2002; 96(5): 941‒945 [PMID: 12005403] [GLI‒0062]
5)Hammoud D.A., et al.: AJR., 2003; 180(5): 1469‒1475 [PMID: 12704070] [GLI‒0063]
【更新年月】
2024年11月