電子添文には以下の記載があります。
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
2.3 消化管及び膀胱頸部に閉塞のある患者(引用1)
[消化管の通過障害、排尿障害を起こすおそれがある。]
膀胱頚部の閉塞については、ガイドラインに膀胱出口部閉塞に関する以下の記載があり、男性では、前立腺肥大症が、女性では巨大子宮筋腫・高度子宮脱による膀胱出口部の圧迫や膀胱瘤症例でみられる同部の屈曲が膀胱出口部閉塞に関与しています。(引用2、3)
前立腺肥大症については、「前立腺肥大症のある患者への投与はできますか?」のQAもご参考ください。
【関連情報】
膀胱出口部閉塞に関するガイドラインの記載
■男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン より抜粋(引用2)
3 定義と解説
1 下部尿路症状総論
1)下部尿路症状(lower urinary tract symptom: LUTS)
e.症状症候群
(3)膀胱出口部閉塞(bladder outlet obstruction: BOO)を示唆する症状症候群
中高年男性が主として訴える排尿症状であり、前立腺肥大症による膀胱出口部閉塞以外に感染や他の明らかな病的状態が認められないものをいう。
3)下部尿路症状と類似・関連した用語
d.下部尿路機能障害(lower urinary tract dysfunction: LUTD)
下部尿路の機能障害を総称する。蓄尿(機能)障害(storage dysfunction)と排尿(機能)障害(voiding dysfunction)の2つに分類される。ただし、蓄尿障害が蓄尿症状の、排尿障害が排尿症状の原因となるという意味ではない。また、下部尿路機能障害の意味で排尿障害を使うことがあるが、下部尿路症状の意味で排尿症状を使うことが勧められないのと同様に推奨されない。下部尿路機能障害には、膀胱出口部閉塞、膀胱機能障害(排尿筋過活動・排尿筋低活動)、尿道機能障害(過活動・不全)、骨盤底機能障害が含まれる。
2 前立腺肥大症の定義(用語と疾患概念)
要約
本ガイドラインでは、前立腺肥大症を“前立腺の良性過形成による下部尿路機能障害を呈する疾患で、通常は前立腺腫大と膀胱出口部閉塞を示唆する下部尿路症状を伴う”と定める。
前立腺肥大症の病態には、前立腺の腫大(BPE)・前立腺による閉塞(BPO)・下部尿路症状(LUTS)の3要素が関与するとされる。しかし、BPEが必ずしもBPOを伴うとは限らず、BPOが必ずしもLUTSを引き起こすとは限らない。逆に、中高年男性のLUTSがすべてBPOに起因するわけでもない。
■女性下部尿路症状診療ガイドライン[第2版] より抜粋(引用3)
3 女性下部尿路症状とは
1 下部尿路症状
8) 下部尿路機能障害(lower urinary tract dysfunction: LUTD)を示唆する症状症候群
・膀胱出口部閉塞(bladder outlet obstruction: BOO)を示唆する症状症候群
前立腺肥大を有する中高年男性が主として訴える排尿症状であるが、女性では巨大子宮筋腫・高度子宮脱による膀胱出口部の圧迫や膀胱瘤症例でみられる同部の屈曲で生じる。膀胱出口部閉塞以外に感染や他の明らかな病的状態が認められないものをいう。
3 下部尿路症状と類似・関連した用語
(3)下部尿路機能障害(lower urinary tract dysfunction:LUTD)
下部尿路の機能障害を総称する。畜尿(機能)障害(storage dysfunction)と排尿(機能)障害(voiding dysfunction)の2つに分類される。ただし、畜尿障害が畜尿症状の、排尿障害が排尿症状の原因となると言う意味ではない。また、下部尿路機能障害の意味で排尿障害を使うことがあるが、下部尿路症状の意味で尿路症状を使うことが勧められないのと同様に推奨されない。
下部尿路機能障害には、膀胱出口部閉塞、膀胱機能障害(排尿筋過活動・排尿筋低活動)、尿路機能障害(過活動・不全)、骨盤底機能障害が含まれる。
6 病態と疾患
1畜尿症状を呈するもの
5)子宮内膜症
子宮内膜症138例に対し尿流動態検査を施行し、膀胱内に内膜症を認めた症例では、低コンプライアンス膀胱,、最大膀胱容量の減少が有意で、子宮傍結合組織に内膜症を認めた症例では、残尿の異常、膀胱出口部閉塞が有意であったと報告されている。したがって、内膜症の位置によっては蓄尿症状あるいは排尿症状も出現すると考えられる。
【引用】
1)ベサコリン散5%電子添文 2023年4月改訂(第2版) 2.禁忌 2.3
2)男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン p45、46、48
www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/27_lower-urinary_prostatic-hyperplasia.pdf (最終閲覧日:2024年4月17日)
3)女性下部尿路症状診療ガイドライン[第2版] p60、61、84
www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/38_woman_lower-urinary_v2.pdf (最終閲覧日:2024年4月17日)
【作成年月】
2024年9月