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  • No : 18777
  • 公開日時 : 2023/09/11 00:00
  • 更新日時 : 2023/09/15 17:36
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【トラベルミン】 ジプロフィリン(気管支拡張作用を示すキサンチン系薬)が配合されている意義について教えてください。

【トラベルミン】 
 
ジプロフィリン(気管支拡張作用を示すキサンチン系薬)が配合されている意義について教えてください。
 
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回答

ジプロフィリンが配合されている意義は、ジフェンヒドラミンの作用増強効果およびジフェンヒドラミンによる眠気等の副作用に対する軽減効果になります。これは、以下の薬理試験および臨床薬理試験に基づいています。(引用1)
 
■薬理試験
回転性眼振(ウサギ)およびレセルピン拮抗作用(マウス)を検討したところ、ジプロフィリンはジフェンヒドラミンの前庭系における抑制作用および中枢神経内におけるアドレナリン作動性機構に対する刺激作用の増強作用が示されました。このことから、ジプロフィリンは、ジフェンヒドラミンの抗動揺病あるいは抗めまい効果に対する増強作用が示唆されました。(引用1)
1.ウサギ回転性眼振
ウサギの水平回転による眼振に対して、ジフェンヒドラミンの無影響量1.5mg/kg i.vに等モルのジプロフィリン1.3mg/kg i.vを併用した場合には、回転性眼振の抑制作用は認めませんでした。ジプロフィリンの用量を10倍相当(13mg/kg i.v)に増量した場合には、眼振数の著しい減少と作用の延長がみられ、ジフェンヒドラミンの眼振抑制作用に対する増強作用が認められました。
(※統計処理:具体的な統計方法やp値の記載なし)
2.マウスにおけるレセルピン拮抗作用
ジフェンヒドラミンの種々用量(10~80mg/kg p.o.)に、10倍モル相当のジプロフィリン(65~520mg/kg p.o.)をそれぞれ併用経口投与すると、軽度ながらレセルピン拮抗作用の増強が認められました。
(※統計処理:具体的な統計方法やp値の記載なし)
 
■臨床薬理試験
1.健常人男性を対象としたトラベルミン配合錠(T錠)とT錠からジプロフィリンを除いたジフェンヒドラミン錠(D錠)を用いた二重盲検、クロスオーバー法による比較試験を行い、身体平衡機能や温度性眼振に対する効果および副作用発現率から検討を実施しました。トラベルミン配合錠と同じジフェンヒドラミンとジプロフィリンの等モル配合において作用の増強効果と副作用の軽減効果が認められました。(引用1、2)
2.末梢性眩暈に対する鎮静効果について、視性運動後眼振(OKAN)抑制効果および自覚症状であるめまい感の抑制効果を指標に、ジフェンヒドラミン注とジプロフィリン注の効果を比較しました。各々単独で投与した例では効果は認めませんでしたが、トラベルミン注(ジフェンヒドラミンとジプロフィリンの合剤)では、全例にOKAN抑制効果やめまい感の抑制効果が認められました。(引用1、3)
 
有効成分
トラベルミン配合錠(1錠中)
 ジフェンヒドラミンサリチル酸塩40mg、ジプロフィリン 26mg
トラベルミン注(1管(1mL)中)
 ジフェンヒドラミン塩酸塩30mg、ジプロフィリン 26mg
 
【関連情報】
上記臨床薬理試験1、2の概略
1.抗動揺病薬と身体平衡機能 -重心動揺計による観察-(引用2)
試験方法
対象:耳鏡検査、聴力検査を実施し、何らの異常もみとめられなかった健康で耳下疾患やめまいの既往歴のない男性20例
投与薬剤:トラベルミン配合錠(T錠)とT錠からジプロフィリンを除いたジフェンヒドラミン錠(D錠)
試験方法:二重盲検、クロスオーバー法による比較試験
評価項目:重心動揺検査(開眼、閉眼で20秒立ち)、温度刺激検査(左右両耳で行い、温度性眼振を記録)
副作用発現状況:薬剤投与1、2、4hr後の自覚症状をアンケート形式により調査
 (眠気、あくび、倦怠感、頭重感、口渇、めまい感、動悸など) 
統計処理:具体的な統計方法については記載なし。
結果
重心動揺検査
・T錠は、両眼及び閉眼の両脚起立(P<0.05、P<0.001)、開眼の左または右脚での片脚起立
(P<0.001、P<0.01)のいずれにおいても、投与後有意な重心動揺の減少が認められた。
・D錠は、開眼及び閉眼両脚起立(P<0.05、P<0.05)では有意な重心動揺減少を認めたが、片脚起立では有意な減少は認められなかった。
温度刺激検査
・T錠は、眼振潜伏時間の延長傾向(P<0.1)、眼振持続時間の有意な短縮(P<0.05)、眼球速度(緩徐相)の減少傾向(P<0.1)、総眼振数の有意な減少(P<0.05)が認められた。 
・D錠は、眼振潜伏時間の有意な延長(P<0.05)、眼振持続時間の有意な短縮(P<0.01)を認めたが、眼球速度(緩徐相)、総眼振数は差を認めなかった。
副作用
T錠は、眠気9例(45%)、あくび5例(25%)、D錠は、眠気14例(70%)、あくび9例(45%)を認めた。
 
2.末梢前庭性眼振に及ぼす諸種薬物の影響-視性運動性後眼振を中心として(引用3)
試験方法
対象:末梢性前庭疾患と診断され、末梢前庭性眼振を有し、めまいを訴えるもの
検査方法:薬剤投与前及び投与30分後にOKAN(視性運動性後眼振)の検査を実施した。また、投与前、5分後、15分後および30分後の開眼正面視、閉眼、遮眼時の自発眼振の記録およびOKPテストも同時に実施し、比較観察した。
結果:内耳開窓術後2例、鎧骨可動術後1例、膜迷路破壊術後2例、メニエール病発作中2例にトラベルミン注(ジフェンヒドラミン塩酸塩とジプロフィリンの合剤)を使用し、後眼振抑制効果やめまい感や嘔気などの自覚症状に効果を認めた。中耳手術後内耳炎1例、膜迷路破壊術後1例にレスタミン(ジフェンヒドラミン塩酸塩)注を、膜迷路破壊術後1例、中耳手術後内耳炎1例にネオフィリンM注1を投与したが、各々単一成分では効果を認めなかった。
(※統計処理:具体的な統計方法やp値の記載なし。安全性に関する情報の記載なし。)
注1:文献中はネオフィリンMとして記載されていますが、現在はジプロフィリン注に販売名が変更されています。
 

【引用】
1)社内資料 薬効再評価申請資料 2.配合意義の概要(トラベルミン錠・トラベルミン注)
2)渡辺 ?ほか:宇宙航空環境医学. 15 p43-51 1978 [T-0003]
3)五島一吉、他:日本耳鼻咽喉科会報. 66(1963) 11 p1351-1357[T-0061]
 
【作成年月】
2023年9月
 

 
KW:配合理由、機序、

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