電子添文には、周術期における休薬などの規定はありません。(引用1)
ケアラムは免疫調節薬として位置づけられるcsDMARD(従来型抗リウマチ薬)です。ご参考として、csDMARDのメトトレキサート(MTX)は整形外科手術の周術期には休薬しないことが推奨されています。(引用2)
投与の継続は可能と考えられますが、患者さん個々の状態や手術による侵襲の大きさ、合併症など考慮し、継続か休薬をご判断ください。
休薬した場合の術後の再開時期についての規定はありません。
ケアラムの電子添文には、用法及び用量について、以下の記載があります。
6.用法及び用量(引用3)
通常、成人にはイグラチモドとして、1回25mgを1日1回朝食後に4週間以上経口投与し、それ以降、1回25mgを1日2回(朝食後、夕食後)に増量する。
休薬後の再開については、肝機能検査値などから患者さんの状態に応じて用法及び用量をご判断ください。
保険については、地区の審査機関にご確認ください。
【関連情報】
免疫抑制薬のcsDMARDと位置付けられるMTXについては、ガイドラインに次の記載がありますので、MTXが併用されている場合は、MTXの情報も合わせてご判断ください。
■MTXの周術期投与については、関節リウマチにおけるメトトレキサート(MTX)使用と診療の手引き2023年版に、以下の記載があります。(引用2)
・整形外科手術の周術期において、MTXの休薬は不要である。
・整形外科手術以外の手術に関しては、エビデンスがないため、周術期の患者の状況(術後腎機能低下症例、出血、低アルブミン血症など)、併存症、副腎皮質ステロイド用量、MTX用量等を考慮して、周術期におけるMTXの継続、一時休薬あるいは再開を個別に判断することが望ましい。特に、緊急性を有する手術の場合は、休薬期間を設ける時間的余裕がなく、手術加療が優先される。一方、眼科手術や歯科手術などの低侵襲手術の場合は、一般的に休薬の必要はなく、継続が推奨される。
■整形外科手術の周術期におけるMTXの休薬については、関節リウマチ診療ガイドライン2024にも記載があります。(引用4)
推奨文 整形外科手術の周術期にはMTXを休薬しないことを推奨する(条件付き)。
RA CQ46 整形外科手術の周術期にMTXの休薬は必要か?
サマリー:整形外科手術の周術期におけるMTX(12.5mg/週以下)の継続はRAの再燃のリスクを抑制し、術後感染症、創傷治癒遅延に影響しないため、周術期におけるMTXの休薬は原則的に不要である。
注記:MTXの継続、休薬、再開は、個々の患者で患者の状態や手術による侵襲の大きさ、合併症などを考慮して総合的に判断するべきである。出血量が比較的多い手術(股・膝の人工関節置換術など)では、一時的に急激な体液量の変動をきたして通常よりMTXの血中濃度が高くなる可能性があり、手術前後(手術当週)は休薬を考慮する。その他、MTXの使用上の中に該当する合併症を有する患者では特に注意が必要である。整形外科の予定手術以外の手術、および12.5mg/週を超える使用量でのエビデンスはほとんどない。
■股関節、膝関節形成術における周術期管理について、ACRガイドラインでは、csDMARDであるMTX、スルファサラジン、レフルノミド等は継続投与です。(引用5)
【引用】
1)ケアラム錠25mg 電子添文 2022年8月改訂(第1版)
2)日本リウマチ学会 関節リウマチにおけるメトトレキサート(MTX)使用と診療の手引き 2023年版 P.71-74 [IMMU-0233]
3)ケアラム錠25mg 電子添文 2022年8月改訂(第1版) 6.用法及び用量
4)日本リウマチ学会 関節リウマチ診療ガイドライン2024改訂 RA CQ46(診断と治療社) P.144 [IMMU-0234]
5)Susan M Goodman, et al.: Arthritis Care & Research Vol. 74, No. 9, September 2022, p1399–1408 (Table 2) [IMMU-0156]
【更新年月】
2025年1月
KW:手術、休薬、再開、一時中止