悪性症候群の症状と対処法について、添付文書に以下の情報が記載されています。電子添文には、悪性症候群の症状と対処法に関して以下の記載があります。(引用1)
11.副作用
11.1 重大な副作用
11.1.5 悪性症候群(頻度不明)
急激な減量又は中止により、高熱、意識障害、高度の筋硬直、不随意運動、血清CK上昇等があらわれるおそれがある。このような症状が認められた場合には、体温冷却及び補液等の全身管理とともに、適切な処置を行うこと。
【関連情報】
厚生労働省の重篤副作用疾患別対応マニュアルには、悪性症候群に関して以下の記載があります。(引用2、3)
■臨床症状(引用2)
精神神経用薬服用、あるいは悪性症候群を惹起しうる薬物の服用下の、急性の発熱や意識障害、錐体外路症状(筋強剛、振戦、ジストニア、構音障害、嚥下障害、流涎など)、自律神経症状(発汗、頻脈・動悸、血圧の変動、尿閉など)、他にミオクローヌス、呼吸不全などを認める。
重症例では、骨格筋組織の融解を併発、進行し血中および尿中ミオグロビンが高値となり、腎障害を来たし急性腎不全に至ることもある。また代謝性アシドーシスやDIC にいたることもある。体温は通常38 度を越えるが、微熱で推移する場合もあるので、発熱の程度だけを診断・治療の目安にすべきではない。筋強剛は程度の軽重も含めてほとんどの症例に認められる。意識障害は認められないものもあれば、せん妄や昏睡を呈するものもある。意識障害は、もちろん全身状態とも関連する。症例によっては、原疾患の精神疾患が増悪し昏迷状態、緊張病状態に至ることもある。
原因医薬品による特徴は知られていない。非定型抗精神病薬により惹起された悪性症候群では、症状が比較的穏やかであるという見解もあるが、これはさらに症例の集積による検証が必要であろう。
■治療方法(引用3)
まず、悪性症候群の早期発見が肝要である。悪性症候群の潜在的致死可能性を考慮した場合、発症可能性のマージンは広く取るべきであろう。発症が認められるか、あるいは発症が強く疑われる場合には速やかに原因医薬品を中止する。
症状がごく軽微な場合には、退薬症候群を考慮し、段階的な服用中止も可能である。これと同時に必要な臨床検査を行い、臨床症状、検査データを観察・追跡する。患者の全身状態に合わせて循環器・呼吸機能をモニタリングしながら全身管理を行う。また必要に応じて体液・電解質の補正を行う。発熱に対しては体表からの冷却を行う。発熱は中枢性であり、経口・経腸の解熱剤は効果が低い。
薬物療法は筋弛緩薬であるダントロレンナトリウムが第一選択薬であり、適応がある。ドパミン作動薬である、ブロモクリプチンの併用が効果があると報告されているが、我が国での適応はない。
精神症状が顕著である場合には、抗不安薬の短期での併用が効果的である。抗不安薬は筋弛緩作用を有するので、悪性症候群の症状軽減にも役立つ。精神症状が増悪した症例で、電気痙攣慮法が悪性症候群と精神症状の双方に有効であったとする報告もある。症状改善後の抗精神病薬の再投与については、低用量から開始し、再発の有無を確認しながら慎重に継続、あるいは増量する。
【引用】
1)エクフィナ錠50mg 電子添文 2020年12月改訂(第4版) 11.副作用 11.1 重大な副作用 11.1.5 悪性症候群(頻度不明)
2)重篤副作用疾患別対応マニュアル悪性症候群p11 平成20年4月 厚生労働省
www.pmda.go.jp/files/000144356.pdf (最終閲覧日:2022年12月1日)
3)重篤副作用疾患別対応マニュアル悪性症候群p17 平成20年4月 厚生労働省
www.pmda.go.jp/files/000144356.pdf (最終閲覧日:2022年12月1 日)
【更新年月】
2023年5月
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