電子添文には、薬効薬理に関する以下の記載があります。
18.薬効薬理(引用1)
18.1作用機序
メナテトレノンは骨芽細胞に直接作用し、骨基質蛋白質であるオステオカルシンのγ-カルボキシグルタミン酸残基を生成(Gla化)すると共に、骨形成を促進することにより骨代謝回転を高める。同時に骨吸収を抑制し、骨粗鬆症の骨代謝の不均衡を改善し、骨量の維持作用を示す。
18.2実験的骨粗鬆症に対する改善作用
18.2.1 40週齢のラットの両側卵巣を摘除し、低カルシウム飼料で3カ月間飼育することにより骨粗鬆症病態を作製した後、メナテトレノンの30及び100mg/kg/日を6カ月間経口投与すると大腿骨の破断強度、骨中カルシウム量及びハイドロキシプロリン量の低下が抑制された。また卵巣摘除と同時にメナテトレノンの3及び30mg/kg/日の経口投与を開始し、6カ月間継続すると、骨破断強度、骨幹部中カルシウム量及びハイドロキシプロリン量の低下が抑制された。(引用2)
18.2.2 13週齢のラットの両側卵巣を摘除し、メナテトレノンの30mg/kg/日を8週間投与すると、海綿骨骨梁における三次元構造の連結性の減少が抑制された。(引用3)
18.2.3 ラットにおける副腎皮質ホルモン(プレドニゾロン10mg/kg/日、週3回)の4週間筋注後にみられる骨破断強度及び骨中カルシウム量の低下はメナテトレノンの21mg/kg/日の4週間経口投与により抑制された。(引用4)
18.3骨形成促進作用
ヒト骨芽細胞培養系において、メナテトレノン2.25×10-6mol/L は単独及び1,25(OH)2D3との共存下で石灰化を促進した。また細胞層中のオステオカルシン量も1,25(OH)2D3の共存下で増加した。(引用5、6)
18.4骨吸収抑制作用
マウス頭頂骨の器官培養系において、メナテトレノンはIL‐1α,PGE2,PTH 及び1,25(OH)2D3により惹起される骨吸収を3×10-6~3×10-5mol/Lの濃度で抑制した。また、マウス骨髄細胞培養系において、メナテトレノンは1,25(OH)2D3による破骨細胞の分化誘導を3×10-6~3×10-5mol/Lの濃度で抑制した。(引用7、8)
18.5血清オステオカルシン濃度に対する作用
骨粗鬆症患者120名に対し、メナテトレノン45mg/日を2年間投与したところ、血清オステオカルシン濃度は上昇し、非カルボキシル化オステオカルシン濃度は低値を示した。(引用9)
【引用】
1)グラケーカプセル15mg電子添文 2022年12月改訂(第1版) 18.薬効薬理
2)Akiyama Y. et al.:Jpn. J. Pharmacol., 1993;62:145-153[KTZ-0794](本研究は著者にエーザイ(株)の社員が含まれる。)
3)Mawatari T. et al.:J. Bone Mineral Res., 2000;15(9):1810-1817[KTZ-0953]
4)Hara K. et al.:Bone, 1993;14:813-818[KTZ-0796](本研究は著者にエーザイ(株)の社員が含まれる。)
5)Koshihara Y. et al.:Calcif. Tissue Int., 1996;59:466-473[KTZ-0857]
6)Koshihara Y. et al.:J. Bone Mineral Res., 1997;12(3):431-438[KTZ-0865]
7)Hara K. et al.:J.Bone Mineral Res., 1993;8(5):535-542[KTZ-0799](本研究は著者にエーザイ(株)の社員が含まれる。)
8)Akiyama Y. et al.:Eur. J. Pharmacol., 1994;263:181-185[KTZ-0801](本研究は著者にエーザイ(株)の社員が含まれる。)
9)Shiraki M. et al.:J. Bone Mineral Res., 2000;15(3):515-521[KTZ-0942]
【更新年月】
2024年6月