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  • No : 15047
  • 公開日時 : 2020/03/11 17:24
  • 更新日時 : 2024/05/16 18:26
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【デエビゴ】  服用して就寝した後、睡眠途中で一時的に起床して活動した場合の平衡機能及び認知機能(注意力、記憶力)等への影響は?

【デエビゴ】 
 
服用して就寝した後、睡眠途中で一時的に起床して活動した場合の平衡機能及び認知機能(注意力、記憶力)等への影響は?
 
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回答

電子添文には、睡眠途中の一時的な起床時の注意について以下のように記載されています。
7. 用法及び用量に関連する注意(引用1)
7.2 本剤は就寝の直前に服用させること。また、服用して就寝した後、睡眠途中で一時的に起床して仕事等で活動する可能性があるときは服用させないこと。
 
ご参考までに55歳以上の健康成人及び健康高齢者を対象とした臨床薬理試験(外国108試験)において、デエビゴ錠5又は10㎎を就寝前に投与し、夜間起床時(本剤投与約4時間後)及び翌朝起床時(本剤投与約8時間後)における平衡機能及び認知機能(注意力、記憶力)等に対する影響を検討し、インタビューフォームには以下のように記載されています。(引用2、3)
 
■平衡機能、聴覚覚醒及び認知機能に及ぼす影響(55歳以上の健康成人)[外国108試験]
(外国人データ)
 
目的:夜間起床時※1の平衡機能について、レンボレキサント(5mg、10mg)のゾルピデムER※2に対する優越性をベースラインからの変化量を指標に検証する。
対象:健康成人(65歳以上の男性又は55歳以上の女性) 63例
試験方法:レンボレキサント5mg、10mg、ゾルピデムER6.25mg又はプラセボを4つの投与順序のいずれかに無作為に割り付け、就床直前(5分以内)に単回経口投与した。各投与期の間は、14日以上のウォッシュアウト期間を設けた。
評価項目
薬力学評価項目
<主要解析>
夜間起床時における身体動揺値のベースラインからの変化量(ゾルピデムER群との比較)
 
<副次解析>
以下のベースラインからの変化量
翌朝起床時※3における身体動揺値(ゾルピデムER群との比較)
夜間起床時及び翌朝起床時における身体動揺値(プラセボ群との比較)
夜間睡眠時における聴覚覚醒閾値(AAT※4)(ゾルピデムER群及びプラセボ群との比較)
夜間起床時及び翌朝起床時における認知機能スコア(ゾルピデムER群及びプラセボ群との比較)
 
※1:治験薬投与後約4時間
※2:ゾルピデム酒石酸塩徐放性製剤(国内未承認薬)
※3:治験薬投与後約8時間
※4:夜間睡眠中の覚醒に要した外部刺激(アラーム音)の最小音量
 
<探索的解析>
夜間覚醒後(治験薬投与後約4時間の夜間評価実施後)の再入眠時における睡眠潜時(RSL)のベースラインからの変化量(ゾルピデムER群及びプラセボ群との比較) 等
 
安全性評価項目:
有害事象、臨床検査、バイタルサイン、体重、12誘導心電図、身体所見
 
解析方法
主要解析及び副次解析(AATを除く)の検定には、投与、投与順序、投与期、ベースライン値、時点(投与後4時間及び8時間)、投与と時点の交互作用、ベースライン値と時点の交互作用を固定効果、被験者を変量効果とした経時測定クロスオーバー型混合効果モデルを用いた。ベースラインからの変化量の最小二乗平均値、最小二乗平均値の投与群間の差及びその95%信頼区間、並びにp値を算出した。主要解析及び副次解析の検定は閉手順にて行い、レンボレキサントの低用量(5mg)群とゾルピデムER群間で検定を行い、その結果、当該変化量がレンボレキサント5mg群に比べてゾルピデムER群で有意に大きい場合にのみ、レンボレキサントの高用量(10mg)群とゾルピデムER群間で検定を行うこととした。
なお、AAT(副次解析)は夜間起床時のみの測定項目であるため、検定には、投与、投与順序、投与期、ベースライン値を固定効果、被験者を変量効果としたモデルを用いた。また、RSL(探索的解析)の解析には、副次解析である夜間起床時におけるAATのベースラインからの変化量の解析と同一のモデルを用いた。
 
安全性:副作用発現率は、プラセボ群1.8%(1/57例)、ゾルピデムER※2群1.7%(1/58例)、レンボレキサント5mg群3.4%(2/59例)、10mg群1.7%(1/58例)であった。有害事象は、プラセボ群では鼻咽頭炎5.3%(3/57例)、頭痛、悪夢がそれぞれ1.8%(1/57例)、ゾルピデムER群では倦怠感、四肢損傷、うつ病、咳嗽がそれぞれ1.7%(1/58例)、レンボレキサント5mg群ではヘモグロビン異常、筋痙縮、頭痛、睡眠時麻痺、覚醒時幻覚、悪夢がそれぞれ1.7%(1/59例)、10mg群では眼脂、腟膿瘍、挫傷、転倒、頭痛、歯科インプラント埋込みがそれぞれ1.7%(1/58例)であった。
試験期間中、重篤な有害事象、死亡例はなかった。投与中止に至った副作用は、レンボレキサント5mg群の1例(睡眠時麻痺・覚醒時幻覚、同一患者)に認められた。

<夜間起床時における平衡機能の結果>
身体動揺値のベースラインからの変化量(平均値)は、プラセボ群-1.1U、ゾルピデムER群20.4U、レンボレキサント5mg群5.8U、10mg群8.1Uであり、ゾルピデムER群及びレンボレキサント10mg群では臨床的意義があると考えられる変化量(増加量)の閾値(7U)※5を超えていた。
レンボレキサント各用量群におけるプラセボ群との変化量の差(最小二乗平均値)は、5mg群では6.8U(p=0.0171)、10mg群では9.3U(p=0.0011)であり、プラセボ群との間に有意差が認められた。
 
※5:閾値(7U)は、アルコールの血中濃度0.05%に相当するため、臨床的意義のある値とされる(引用4,5)
 
<夜間睡眠時における聴覚覚醒閾値(AAT)の結果>
夜間睡眠時の聴覚覚醒に及ぼす影響を検討するため、聴覚覚醒閾値(AAT)のベースラインからの変化量を検討した結果、レンボレキサント各用量群とプラセボ群との変化量の差(最小二乗平均値)は、5mg群2.1dB、10mg群-2.0dBであり、いずれも有意差は認められなかった。
 
<夜間起床時における認知機能(PAB検査)の結果>
・注意反応力
夜間起床時における認知機能スコア(注意反応力)のベースラインからの変化量(平均値)は、プラセボ群50.9ms、ゾルピデムER群135.5ms、レンボレキサント5mg群127.9ms、10mg群252.5msであり、いずれも臨床的意義があると考えられる変化量(延長時間)の閾値(48.8ms)を超えていた。
当該最小二乗平均値のプラセボ群と実薬各群との比較では、レンボレキサント5mg群及びゾルピデムER群についてはプラセボ群に対する有意差は認められなかったが、レンボレキサント10mg群とプラセボ群との変化量の差(最小二乗平均値)は202.2msであり、有意差が認められた(p=0.0001)。
 
・注意持続力
夜間起床時における認知機能スコア(注意持続力)のベースラインからの変化量(平均値)は、プラセボ群-0.30U、ゾルピデムER群-3.86U、レンボレキサント5mg群-1.50U、10mg群-3.21Uであった。当該最小二乗平均値のプラセボ群と実薬各群との比較では、レンボレキサント5mg群についてはプラセボ群に対する有意差は認められなかったが、レンボレキサント10mg群とプラセボ群との変化量の差(最小二乗平均値)は-2.92Uであり、有意差が認められた(p<0.0001)。
 
・記憶の質
夜間起床時における認知機能スコア(記憶の質)のベースラインからの変化量(平均値)は、プラセボ群6.71U、ゾルピデムER群-35.01U、レンボレキサント5mg群-6.01U、10mg群-27.85Uであった。当該最小二乗平均値のプラセボ群と実薬各群との比較では、レンボレキサント5mg群についてはプラセボ群に対する有意差は認められなかったが、レンボレキサント10mg群とプラセボ群との変化量の差(最小二乗平均値)は-34.57Uであり、有意差が認められた(p=0.0001)。
 
・記憶再生の速さ
夜間起床時における認知機能スコア(記憶再生の速さ)のベースラインからの変化量(平均値)は、プラセボ群-344.3ms、ゾルピデムER群233.6ms、レンボレキサント5mg群-132.9ms、10mg群-31.9msであった。当該最小二乗平均値のプラセボ群と実薬各群との比較では、レンボレキサント5mg群についてはプラセボ群に対する有意差は認められなかったが、レンボレキサント10mg群とプラセボ群との変化量の差(最小二乗平均値)は305.8msであり、有意差が認められた(p=0.0061)。
 
デエビゴ錠の用法及び用量は以下の通りです。(引用6)
通常、成人にはレンボレキサントとして1日1回5mgを就寝直前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日1回10mgを超えないこととする。
 
 
【引用】
1)デエビゴ錠2.5mg・5mg・10mg電子添文 2024年2月改訂(第2版) 7. 用法及び用量に関連する注意7.2
2)デエビゴ錠2.5mg・5mg・10mgインタビューフォーム 2024年2月改訂(第9版) V.治療に関する項目 5.臨床成績 (2)臨床薬理試験 2)平衡機能、聴覚覚醒及び認知機能に及ぼす影響(55歳以上の健康成人)[外国108試験](外国人データ)
3) Murphy, P. et al. : J. Clin Sleep Med. 2020 ; 16(5):765-773[DVG-0078]
4)McClelland GR.: Hum Psychopharmacol. 4(1), 3-14, 1989[DVG-0032]
5)Jongen S. et al.: Psychopharmacology. 231(12), 2435-2447, 2014[DVG-0033]
6)デエビゴ錠2.5mg・5mg・10mg電子添文 2024年2月改訂(第2版) 6.用法及び用量
 
【更新年月】
2024年2月

 
KW:睡眠中断、cognitive performance assessment battery検査

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