1)本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
(解説)
本剤の成分に対し、過敏症の既往歴のある患者に本剤を投与した場合、より重篤な過敏症の発現につながるおそれがあります。
2)急性閉塞隅角緑内障の患者
(解説)
抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがあります。 ベンゾジアゼピン系薬剤は弱い抗コリン作用を有するため、眼圧が上昇するおそれがあるので、禁忌としています。急性閉塞隅角緑内障とは瞳孔と角膜側方部とのなす角(隅角)が狭くなっている(10~20度)病態です。抗コリン作用などにより瞳孔が拡大すると、隅角がさらに狭くなり、眼房水が流出路に到達できなくなり、眼圧が上昇します。
3)重症筋無力症の患者
(解説)
ベンゾジアゼピン系薬剤は筋弛緩作用を有するため、重症筋無力症の症状を悪化させるおそれがあるので、禁忌としています。
<原則禁忌内容とその理由>
肺性心、肺気腫、気管支喘息及び脳血管障害の急性期等で呼吸機能が高度に低下している患者
(解説)
炭酸ガスナルコーシスを起こしやすいです。
ベンゾジアゼピン系薬剤はまれに呼吸抑制があらわれることがあるので、呼吸機能が高度に低下している患者には投与しないことが望ましいです。
呼吸不全により、動脈血のpHの低下と炭酸ガスの蓄積が起こり(呼吸性アシドーシス)、うっ血乳頭、頭痛、意識障害などの精神症状や循環障害を起こすものを炭酸ガス中毒といいます。さらに高度の呼吸性アシドーシス、意識障害及び自発呼吸の減弱を起こしたものを炭酸ガスナルコーシスといい、動脈血炭酸ガス分圧が正常(40mmHg)の3倍になると、昏睡状態になります。(引用1)
【引用】
1)サイレース錠1mg・2mgインタビューフォーム 2019年8月改訂(改訂第9版)Ⅷ. 安全性(使用上の注意等)に関する項目 2. 禁忌内容とその理由(原則禁忌含む)
【更新年月】
2021年2月