総合製品情報概要には、国際共同第II相プラセボ対照比較試験について以下のように記載されています(引用1、2、3)
■試験概要
5. 効能又は効果に関連する注意(一部抜粋)
5.2 承認を受けた診断方法、例えばアミロイドPET、脳脊髄液(CSF)検査、又は同等の診断法によりアミロイドβ病理を示唆する所見が確認され、アルツハイマー病と診断された患者のみに本剤を使用すること。
6. 用法及び用量
通常、レカネマブ(遺伝子組換え)として10mg/kgを、2週間に1回、約1時間かけて点滴静注する。
■有効性:主要評価項目 ADCOMSのベースラインからの変化量(12ヵ月)
国際共同第II相プラセボ対照比較試験の主要評価項目の結果は以下の通りでした。
主要評価項目である投与12ヵ月後におけるADCOMSのベースラインからの変化量は、レケンビ10mg/kg隔週群がADCOMSの悪化をプラセボ群と比較して少なくとも25%抑制する確率は64%と算出され、成功基準として設定した80%以上は達成されなかった(主要解析、ベイズ流解析)。
なお、投与12ヵ月後においてADCOMSの悪化をプラセボ群と比較して抑制する(25%未満の抑制も含む)確率はレケンビ10mg/kg隔週群で97.6%であった。10mg/kg隔週群がレケンビのED90を満たす群として特定された※1。
主要評価項目についてMMRMでの頻度論の解析も実施した(副次解析)。多重性の調整は行わなかった。
レケンビ10mg/kg隔週群における変化量の調整済み平均値のプラセボ群との差は-0.046であり、プラセボ群と比較して35%の悪化抑制※2が示された。
※1:201試験Core Studyの主要目的は、投与後12ヵ月におけるADCOMSを指標として最も有効な用法及び用量を決定することであり、ADCOMSのベースラインからの変化量についての各投与群の結果等を踏まえ、レケンビ10mg/kg隔週投与が最も有効な用法及び用量であると同定された。
※2:(ADCOMS変化量の群間差/プラセボ群のADCOMS変化量)×100
■安全性
有害事象発現率は、プラセボ群87.3%(214/245例)、レケンビ2.5mg/kg隔週群88.5%(46/52例)、レケンビ5mg/kg月1回群92.2%(47/51例)、レケンビ5mg/kg隔週群87.0%(80/92例)、レケンビ10mg/kg月1回群93.7%(237/253例)、レケンビ10mg/kg隔週群85.7%(138/161例)であった。
主な有害事象は、プラセボ群では上気道感染16.3%(40例)、尿路感染および転倒が各13.1%(32例)、レケンビ2.5mg/kg隔週群では頭痛15.4%(8例)、上気道感染13.5%(7例)、尿路感染9.6%(5例)、レケンビ5mg/kg月1回群では上気道感染、上咽頭炎、下痢および脳微小出血が各13.7%(7例)、レケンビ5mg/kg隔週群では頭痛および尿路感染が各18.5%(17例)、転倒14.1%(13例)、レケンビ10mg/kg月1回群では注入に伴う反応23.3%(59例)、頭痛16.2%(41例)、アミロイド関連画像異常-浮腫/滲出液貯留9.9%(25例)、レケンビ10mg/kg隔週群では注入に伴う反応19.9%(32例)、頭痛13.7%(22例)、上気道感染および尿路感染が各10.6%(17例)であった。
重篤な有害事象は、プラセボ群17.1%(42例)、レケンビ2.5mg/kg隔週群15.4%(8例)、レケンビ5mg/kg月1回群7.8%(4例)、レケンビ5mg/kg隔週群17.4%(16例)、レケンビ10mg/kg月1回群11.5%(29例)、レケンビ10mg/kg隔週群13.0%(21例)であった。主な重篤な有害事象は、プラセボ群では転倒4例、変形性関節症および失神が各3例、レケンビ5mg/kg月1回群では一過性脳虚血発作2例、レケンビ10mg/kg月1回群では非心臓性胸痛2例、レケンビ10mg/kg隔週群ではアミロイド関連画像異常-浮腫/滲出液貯留3例、関節痛および脳微小出血が各2例であった。
死亡に至った有害事象は、プラセボ群では急性呼吸不全および肉腫が各1例、レケンビ2.5mg/kg隔週群では脳新生物および心停止が各1例、レケンビ5mg/kg隔週群では菌血症・肝不全・急性腎障害・凝血異常・白血球減少症および代謝性脳症を含む多臓器機能不全症候群1例、レケンビ10 mg/kg月1回群では脊髄損傷1例であった。
投与中止に至った有害事象は、プラセボ群5.7%(14例)、レケンビ2.5mg/kg隔週群13.5%(7例)、レケンビ5mg/kg月1回群7.8%(4例)、レケンビ5mg/kg隔週群10.9%(10例)、レケンビ10mg/kg月1回群18.6%(47例)、レケンビ10mg/kg隔週群14.9%(24例)であった。主な投与中止に至った有害事象は、プラセボ群では注入に伴う反応2例、レケンビ5mg/kg月1回群では脳微小出血2例、レケンビ5mg/kg隔週群ではアミロイド関連画像異常-浮腫/滲出液貯留および脳表ヘモジデリン沈着症が各3例、レケンビ10mg/kg月1回群ではアミロイド関連画像異常-浮腫/滲出液貯留25例、脳微小出血8例、注入に伴う反応および脳表ヘモジデリン沈着症が各5例、心房細動および錯乱状態が各2例、レケンビ10mg/kg隔週群ではアミロイド関連画像異常-浮腫/滲出液貯留16例、注入に伴う反応4例、心房細動および脳微小出血が各2例であった。
【引用】
1)レケンビ点滴静注200mg・500mg総合製品情報概要 臨床成績 p12‐21 (LEQ1001CSG)
2)[承認時評価資料]:国際共同臨床第II相試験(201試験) [LEQ-0011]
3)Swanson CJ, et al.: Alzheimers Res Ther. 2021; 13(1): 80. [LEQ-0001]
[利益相反:本試験はエーザイ(株)の資金提供によって行われた。著者にエーザイ(株)社員や資金提供を受けた者が含まれる。]
【更新年月】
2024年9月