電子添文には、薬効薬理に関する以下の記載があります。
18.薬効薬理(引用1)
18.1 作用機序
脊髄反射及びγ-運動ニューロン自発発射を抑制し、筋緊張緩和作用を発揮する。
18.2 骨格筋の緊張亢進緩和作用
18.2.1 実験的固縮の抑制
ラットにおける丘間切断除脳固縮(γ-固縮)及び虚血性除脳固縮(α-固縮)を用量依存的に抑制することが確認されている。(引用2)
18.2.2 脊髄反射の抑制
脊髄ネコにおいて後根刺激による単シナプス性並びに多シナプス性反射電位をほぼ同程度に抑制することが確認されている。(引用2)
18.2.3 γ-系を介して筋紡錘の感度を緩和
ヒト筋紡錘から出る求心性神経(Ia線維)の活動を投与後20分で抑制することが確認されている。本薬は動物においてγ-運動ニューロン自発発射を抑制するが、筋紡錘には直接作用しないことが確認されているので、本薬はγ-系を介して筋紡錘の感度を緩和する。(引用2、3)
18.3 血管拡張、血流増加作用
18.3.1 血管拡張作用
血管平滑筋に対するCa++拮抗作用(モルモット)、並びに筋交感神経抑制作用(ヒト)により血管を拡張する。(引用4、5)
18.3.2 血流増加作用
ヒト、サル及びイヌにおいて皮膚・筋血流や外頸動脈、内頸動脈、椎骨動脈の血流を増加することが確認されている。(引用6、7、8、9)
18.4 脊髄で鎮痛及び疼痛反射抑制作用を示す
ラットで本薬を脊髄に灌流すると、Tail Pinchによる疼痛反射を抑制し、本薬を除くと回復することから、脊髄レベルで鎮痛作用を有することが示された。(引用10)
18.5 随意運動を円滑にする
脳卒中患者等の痙性麻痺例に用い、Cybexのトルク曲線及び筋電図の改善がみられ、痙縮筋の筋力を低下することなく上下肢の伸展・屈曲動作を滑らかにするなど、随意運動を円滑にする。(引用11)
【引用】
1)ミオナール錠50mg・顆粒10%電子添文 2023年7月改訂(第1版) 18.薬効薬理
2)田中和夫ら:日本薬理学雑誌,1981;77(5):511-520[MYO-0032](本研究はエーザイ株式会社の支援を受けて実施された)
3)間野忠明ら:脳と神経,1981;33(3):237-241[MYO-0053](本研究はエーザイ株式会社の支援を受けて実施された)
4)Fujioka M. et al.:J. Pharmacol. Exp. Ther.,1985;235(3):757-763[MYO-0127]
5)Iwase S. et al.:Electroencepharol. Clin. Neurophysiol.,1987;66(5):1-7[MYO-0216]
6)本村喜代二ら:Biomed. Thermol,,1989;9(1):142-146[MYO-0203]
7)Shichino K. et al.:8th Asian Neurol. Satellite Sympo.,1992:83-94[MYO-0283]
8)杉本秀芳ら:基礎と臨床,1987;21(12):4882-4886[MYO-0168](本研究はエーザイ株式会社の支援を受けて実施された)
9)Mano T. et al.:8th Asian Neurol. Satellite Sympo.,1992:95-101[MYO-0284]
10)石突正文ら:日本整形外科学会雑誌,1989;63(7):S1238[MYO-0220]
11)渡辺誠介ら:臨牀と研究,1981;58(5):1610-1616[MYO-0052](本研究はエーザイ株式会社の支援を受けて実施された)
【更新年月】
2024年5月