適正使用ガイドには、ARIAの種類や具体的な症状について以下のように記載されています。(引用1)
■アミロイド関連画像異常(ARIA)とは(引用2、3、4)
アミロイド関連画像異常(ARIA; amyloid-related imaging abnormalities)は、アミロイドβ(Aβ)が関与して起こるMRI所見で、ARIA-E(edema/effusion)とARIA-H(hemosiderin deposit/hemorrhage)の2種類に大別されます。ARIAは、抗Aβモノクローナル抗体製剤を投与した患者で発現率が高くなります。
■ARIAの種類
ARIAはARIA-EとARIA-Hの2種類に大別されます。(引用2、3、4)
(引用2、3、5)
(画像:引用4)
■ARIAの一般的な特徴
〈MRI上の特徴〉
・ARIAは通常、MRIモニタリングによって検出される。(引用6、7)
・ARIA-Eの多くは治療経過の初期に発現し、投与継続に伴い減少する。(引用6、8)
・ARIA-EとARIA-Hは同時に発現する場合がある。(引用3)
・ARIAの発生機序上、血球成分の漏出があれば蛋白液も漏出しているとされるため、ARIA-Hが発現した場合はARIA-Eも発現している可能性が高いと考えられる。(引用5)
・ARIA-Eの多くは消失すると考えられる。重症度によって、消失するまで治療の継続、中断、中止、再開を判断する。(引用5、9-11)
・抗Aβモノクローナル抗体の臨床試験において、ARIA-Eは時間の経過とともにMRI上消失したが、ARIA-Hはその後も残存したことが報告されている。(引用3、8)
〈臨床症状の特徴〉
・ARIAの多くは無症状である。(引用6)
・頻度は低いものの重症な神経症状(脳症、局所神経症状、痙攣、てんかん重積状態など)が起こり、入院や治療(集中治療、副腎皮質ステロイドの投与、抗てんかん薬の投与)が必要となる場合がある。(引用6、8)
・ARIA-E :一過性で非特異的であることが多い。頭痛、錯乱、吐き気、嘔吐、視覚障害、精神神経症状、浮動性めまい、疲労、歩行障害など(引用6、8)
・ARIA-H :一般的に無症状(引用6)
【関連情報】
電子添文には、ARIA‐E、ARIA‐Hについて以下のように記載されています。
11.副作用
11.1 重大な副作用
11.1.2アミロイド関連画像異常(ARIA) (引用12)
ARIA-E としてARIA-浮腫/滲出液貯留(12.6%)、ARIA‐HとしてARIA-微小出血及びヘモジデリン沈着(13.6%)、 脳表ヘモジデリン沈着症(5.2%)、脳出血(0.4%)があらわれることがある。
(1) ARIAは臨床症状を伴わないことが多いが、痙攣やてんかん重積等の重篤な事象が起こることがある。ARIAに関連する症状としては、頭痛、錯乱、視覚障害、めまい、吐き気、歩行障害等が報告されている。
(2) ARIAは再発することがあるため、投与を再開した場合は、注意深く患者の状態を観察するとともに、定期的なMRI検査の実施を検討すること。
(3) ARIAが再発した患者において、本剤の投与を再開した経験は限られている。
【引用】
1)レケンビ点滴静注200mg・500mg適正使用ガイド p12-13 [DI-J‐989]
2)Sperling RA, et al.: Alzheimers Dement 2011; 7(4): 367-385 [NEURO-1177]
3)Barakos J, et al.: AJNR Am J Neuroradiol 2013; 34(10): 1958-1965 [NEURO-1178]
4)Barakos J, et al.: J Prev Alzheimers Dis 2022; 9(2): 211-220 [NEURO-1181]
5)Cogswell PM, et al.: AJNR Am J Neuroradiol 2022; 43(9): E19-E35 [NEURO-1207]
6)Filippi M, et al.: JAMA Neurol 2022; 79(3): 291-304 [NEURO-1180]
7)Sperling R, et al.: Lancet Neurol 2012; 11(3): 241-249
8)Salloway S, et al.: JAMA Neurol 2022; 79(1): 13-21 [NEURO-1192]
9)Ostrowitzki S, et al.: Alzheimers Res Ther 2017; 9(95) P1‐15 [NEURO-1189]
10)Ketter N, et al.: J Alzheimers Dis 2017; 57: 557-573
11)Cummings J, et al.: J Prev Alzheimers Dis 2022; 9(2): 221-230 [LEQ-0005]
(利益相反:著者にエーザイ株式会社の支援を受けた者が含まれる。)
12)レケンビ点滴静注200mg・500mg電子添文 2024年6月作成(第3版) 11. 副作用11.1重大な副作用 11.1.2アミロイド関連画像異常(ARIA)
【更新年月】
2025年1月
KW:浮腫、ARIAとは、脳出血、ARIA、脳浮腫