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  • 公開日時 : 2022/09/28 15:37
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【メリスロン】 良性発作性頭位めまい症(BPPV)に使用することはできますか?

【メリスロン】 
 
良性発作性頭位めまい症(BPPV)に使用することはできますか?
 
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回答

メリスロンは、メニエール病、メニエール症候群、眩暈症の疾患に伴うめまい、めまい感に対する効能及び効果が認められております。
国内においてBPPVに対するメリスロン錠の有効性及び安全性を詳細に検討した臨床試験は実施していませんが、 BPPVに対する薬物治療や海外においてメリスロンの有用性について検討された以下の情報があります。
なお、保険については地区審査機関のご判断となります。
 
■BPPVの薬物治療について
良性発作性頭位めまい症診療ガイドラインには、次の記載があります。(引用1)
「良性発作性頭位めまい症(BPPV)の薬物治療は、他の原因によるめまいに対する薬物治療と変わるものではなく、抗めまい薬、抗不安薬、血管拡張薬などを単独または組み合わせて使用することが多い。
BPPVは自然治癒例が少ないことから、薬物治療によりめまいを抑制し、自然軽快を図る。また、頸椎異常などのために頭位治療※1を行うことができない症例、頭位治療を希望しない症例では、薬物治療が適応となる。
ただし、薬物治療は、BPPVの原因を除去する治療法ではないので治療効果が上がらない場合があり、1週~2週程度で改善徴候がない場合は、治療可能ならば頭位治療への移行を検討した方が良い。
なお、前記のように頭位治療後の軽度めまい症状に対しても薬物治療が有用である。」
 
※1 BPPVの病因が半規管内(またはクプラ)の耳石(デブリ)であるとの考えから、頭部の運動により耳石を半規管内から卵形嚢へ移動させることを想定した治療
 
■BPPVに対するベタヒスチンの有用性について(海外文献)
●The Effects of Betahistine in Addition to Epley Maneuver in Posterior Canal Benign Paroxysmal Positional Vertigo
BPPVに対するEpley法加えたベタヒスチンの効果について
後半規管型BPPV患者にEpley法に加えてベタヒスチン48mg/日※2を1週間服用させたところ、Epley法単独群やEpley+偽薬服用群と比べて、有意な症状軽減※3があった。(引用2)
 
※2 本邦で承認されている1日用量はベタヒスチンメシル酸塩として18~36mgです。
※3 統計解析は、Student t-test、Chi square/Fisher Exact testによりp<0.05
 
●Does Anti Vertiginous drugs have any role in BPPV management: A study in East Singhbhum population
抗めまい薬はBPPV管理において何らかの役割を果たすか(インドでの研究)
BPPV患者(n=120)を対象としたプロスペクティブ二重盲検無作為化試験。A群:体位変換のみを実施、B群:体位変換とベタヒスチン24mgの1日2回(48mg/日)※2の5日間投与を実施し、体位変換操作の回数を比較したところ、B群の方が体位変換のため3回訪問した例はなく、93.3%が初診で完治し、有意に良好※4であった。(引用3)
 
※2 本邦で承認されている1日用量はベタヒスチンメシル酸塩として18~36mgです。
※4 統計解析の結果は、Kruskal-Wallis H test、Mann-Whitney U testによりP=0.005
 
■メニエール病・遅発性内リンパ水腫診療ガイドラインにおけるベタヒスチンの用量に関する記載
CQ1メニエール病に抗めまい薬は有効か? ◆付記 より抜粋
「(前文略)海外で市販されているベタヒスチンはベタヒスチン塩酸塩(分子量 209.12)であるが、本邦で市販されているものはベタヒスチンメシル酸塩(分子量 328.41)である。ベタヒスチン塩酸塩16mgはベタヒスチンメシル酸塩24mgに相当する。海外のRCT(Randomized Controlled Trial)で用いられている1日量ベタヒスチン塩酸塩16~48mgは、ベタヒスチンメシル酸塩に換算すると24~72mgとなる。
しかし、本邦におけるベタヒスチンメシル酸塩用量は18~36mgと低用量である。本邦における用量の見直しが必要となる可能性がある。また、本邦のベタヒスチンメシル酸塩は1日量36mgで使用すべきであり、1日量18mgでは効果が低い可能性がある。」(引用4)
 
【関連情報】
■良性発作性頭位めまい症(BPPV)について
BPPV(Benign paroxysmal positional vertigo)は、特定頭位で誘発されるめまい(頭位誘発性めまい)を主徴とし、これに随伴する眼振を特徴とします。
頭位誘発性めまいの原因にはBPPVの他に、中枢障害によるめまい(中枢性頭位めまい症)、椎骨脳底動脈循環不全、頸性めまいなどが挙げられますが、BPPVは内耳の前庭器(耳石器,半規管))の障害で発症する疾患で、めまい疾患における患者比率は、末梢性めまい疾患の中で最も高率です。(引用1)
 
■海外製品の効能効果、用法用量
メリスロンの成分は、ベタヒスチンメシル酸塩になりますが、海外のベタヒスチン製剤は塩酸塩になります。
 
カナダ
pdf.hres.ca/dpd_pm/00040504.PDF (最終閲覧日:2022年4月19日閲覧)
英国
www.medicines.org.uk/emc/product/1172/smpc (最終閲覧日:2022年4月19日閲覧)
オーストラリア
www.ebs.tga.gov.au/ebs/picmi/picmirepository.nsf/pdf?OpenAgent&id=CP-2010-PI-04024-3&d=20210802172310101 (最終閲覧日:2022年4月19日閲覧)
 

【引用】
1)良性発作性頭位めまい症診療ガイドライン(医師用) Ⅴ.BPPV の治療 2.薬物治療
Equilibrium Res Vol. 68(4) 218-225,2009 [NEURO-1011]
2)Guneri,E.A.et al.,:Otolaryngol.Head Neck Surg.<USA> (2012) 146巻 1号 P.104-108 [MRS-0132]
3)Kumar,A. et al.,: Al Ameen J.Med.Sci. (2020) 13巻 2号 P.94-98 [MRS-0133]
4)一般社団法人日本めまい平衡医学会メニエール病・遅発性内リンパ水腫診療ガイドライン2020年版 Clinical Question CQ1 メニエール病に抗めまい薬は有効か? [MRS-0134]
 
【作成年月】
2022年5月
 

 
KW:Benign paroxysmal positional vertigo、眩暈症、エプリー法、ベタヒスチン、末梢性めまい

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