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  • No : 1577
  • 公開日時 : 2017/10/18 00:00
  • 更新日時 : 2021/03/18 11:30
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【ワーファリン】 II‐4.5.冠動脈疾患を有する心房細動患者(適正使用情報 改訂版〔本編〕 2020年2月発行)

【ワーファリン】 
 
II‐4.5.冠動脈疾患を有する心房細動患者(適正使用情報 改訂版〔本編〕 2020年2月発行)
 
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回答

冠動脈疾患に対するワルファリンの効果を踏まえ、そのベネフィットと出血リスクを考慮して、抗血小板療法の併用の要否について判断する。米国胸部疾患学会(ACCP)「エビデンスに基づいた診療ガイドライン」第9版(2012)「総論」4)、安定している冠動脈疾患の記載を示すが、心筋梗塞、PCI施行、ステント留置、バイパス術後など様々な状況で異なる。「Ⅱ-3 心筋梗塞」の項の「1. 心筋梗塞を含む急性冠症候群に対する抗凝固療法の概略」などにまとめている。(「Ⅱ-3 心筋梗塞」の項参照)
 

 

OBS Gaoら(2010)87)は、薬剤溶出ステント(DES)留置した心房細動患者におけるワルファリン+アスピリン+クロピドグレルの3剤併用療法がアスピリン+クロピドグレルの2剤併用療法より、死亡および重大な脳・心血管事故を有意に抑制し、抗血栓薬3剤併用のベネフィットを確認した。出血にPT-INRの注意深いモニターを支持した。


OBS Lopezら(2010)88)は、非ST上昇型の急性冠症候群で入院中に心房細動を認めた患者において、ワルファリン投与の6ヵ月死亡率、心筋梗塞発症率への関与についてメタ解析にて検討した。ワルファリン処方比率は低く、CHADS2スコアや出血リスクによる差もなかった。6ヵ月の死亡・心筋梗塞発症に対して有意に関連する独立因子は、入院中の冠動脈バイパス術施行(ハザード比0.30)、CHADS2スコア2以上(同3.51)、退院時ワルファリン処方(同0.39)、退院時アスピリン処方(同0.47)であった。


RCT WEOST(2013) 89)では、1年以上の経口抗凝固療法を必要とし、経皮的冠動脈手技(PCI)の適応となる重度の冠動脈病変を有する患者を対象とし、無作為割付によりワルファリン(目標は適応による:INR 2.0)+クロピドグレルの2剤併用群、アスピリンを加えた3剤併用群と出血性イベントなどを比較した。2剤併用群では3剤併用群より出血イベント発生率が有意に少なかった。また、副次評価項目(死亡、心筋梗塞、脳卒中、責任血管の再血行再建術、ステント血栓症)についても2剤併用群が3剤併用群より有意に少なかった。


WOEST研究を契機にDOAC毎に各々臨床試験115)が計画、実施されている。しかし、いずれの臨床試験も、比較対象とするワルファリン群は、安全性のみならず有効性も劣った3剤併用群としているため、評価の難しい内容となる。ワルファリン群における出血リスクが懸念され被験者の保護の観点から十分な配慮が望まれる。


 
【参考文献】    [文献請求番号]

4)You,J.J. et al.: Chest,    141,    e531S(2012)    WF-3662

87)Gao,F. et al.: Circ.J.,    74,    701(2010)    WF-3200

88)Lopes,R.D. et al.: Am.J.Med.,    123,    134(2010)    WF-3498

89)Dewilde.W.J.M. et al.: Lancet,    381,    1107(2013)     WF-3815

115)Gibson,C. et al.: N.Engl.J.Med.,     375,    2423(2016)    WF-4478

【図表あり】
 
【更新年月】
2021年1月
 

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