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医療用医薬品一覧
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[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 396 糖尿病用剤〕
[相互作用の内容]
本剤とスルホニル尿素系糖尿病用剤を併用すると、初めは相互に作用を増強する。
しかし、併用を継続していくと、本剤の作用は減弱するが、スルホニル尿素系糖尿病用剤の低血糖作用は増強し、スルホニル尿素系糖尿病用剤の毒性の危険性が強まる。
【グリベンクラミド、クロルプロパミド、トルブタミドの添付文書に併用注意の記載がある】
[併用時の注意]
トルブタミドなどのスルホニル尿素系糖尿病用剤と抗凝固薬との相互作用は広く知られているが、多くはジクマロールでの報告であり、ワルファリンでの報告は少ない。
しかし併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に注意すること。
また、出血等の臨床症状にも注意すること。
一方、スルホニル尿素系糖尿病用剤の血糖降下作用の増強にも注意すること。
[相互作用の機序]1)
[本剤の作用増強]スルホニル尿素系糖尿病用剤が本剤を血漿蛋白から遊離させる。
スルホニル尿素薬とワルファリンの代謝酵素(CYP2C9)は共通なので、理論的には代謝阻害の可能性もあり得る。
[経口血糖降下剤の作用増強]併用を継続していくと、スルホニル尿素系糖尿病用剤の肝での代謝が減少する。
[相互作用の事例]
<症例報告事例>2)【グリベンクラミドによるワルファリンの作用増強】
77才女性。ワルファリン2~3mg/日で抗凝固効果は長期に渡り安定していた。心不全を起こし入院した。入院時、ワルファリン3mg/日でINRは2.0であった。血糖値が18~20mmol/L(約320~360mg/dL)でインスリン投与を開始した。4日後にインスリンをグリベンクラミド10mg/日に変更、この時点のINRは2.3であった。グリベンクラミド開始48時間後、右肩と上腕に皮下出血斑の訴えがあり、2時間後には胸壁や腹部の軟部組織へと拡大した。INRは6.6で、ワルファリンを中止して新鮮凍結血漿を投与した。しかしINRは依然として5.2であった。グリベンクラミド中止後24時間以内にINRは2.2に低下した。患者は軟部組織の出血拡大と巨大血腫形成に感染症を併発して死亡した。(海外)
<臨床研究報告>3)【トルブタミド、相互作用なし】
糖尿病でトルブタミドまたはインスリンを投与中の患者で、ワルファリンを10日以上併用した症例をレトロスペクティブに調査した。トルブタミド投与群とインスリン投与群のワルファリン初回投与量、ワルファリン維持用量、ワルファリン投与開始時のプロトロンビン活性、ワルファリン維持療法時のプロトロンビン活性には何れも有意差はなかった。(海外)
<症例報告事例>4)【ワルファリンによるグリベンクラミドの血糖降下作用増強】
72才女性。50才頃に糖尿病を指摘されており、グリベンクラミド5mg/日とボグリボース0.6mg/日を内服中で、副作用なく経過していた。某日、左第1・2指脱力を来し、脳梗塞疑いで当院入院となった。頭部MRIで右前頭葉深部白質梗塞を、経食道心エコーで卵円孔開存を認め、RIベノグラフィーで右下肢深部静脈血栓症が疑われた。これら所見より奇異性脳塞栓症と診断し、二次予防目的でワルファリン4mg投与を開始した。ワルファリン開始6日目17時頃、気分不良が出現。血糖値は47mg/dLで、氷砂糖摂取も効果なく、血糖値は30分後には37mg/dLと更に低下。この後もブドウ糖液静注、夕食摂取、グルカゴン製剤静注を行うも低血糖は持続した。翌4時には著明な発汗を認め、血糖値27mg/dLであったが、ブドウ糖液静注と氷砂糖摂取で4時40分には血糖値130mg/dL、6時には血糖値227mg/dLと回復した。ワルファリンは継続とし、グリベンクラミドをグリクラジドに変更したところ、その後は低血糖は出現しなかった。
<基礎研究報告>5)【トルブタミド連続投与によるワルファリンの作用減弱】
プロトロンビン時間と部分トロンボプラスチン時間がコントロール値の2倍になるように、ワルファリンをイヌに連続投与した。ここにトルブタミド20mg/kgを静注すると、トルブタミド投与後6時間までプロトロンビン時間と部分トロンボプラスチン時間は経時的に延長した。続いて、ワルファリンを同様に投与し、トルブタミド20mg/kgを8日間経口投与にて併用した。プロトロンビン時間、部分トロンボプラスチン時間はワルファリン非投与対照イヌと同等まで短縮し、抗凝固活性は失われた。
【参考文献】 [文献請求番号]
1)USP-DI,22nd ed.,Vol.Ⅰ, 265(2002) WF-1157
2)Jassal SV et al.: Br. Med. J., 303, 789(1991) WF-0524
3)Poucher RL et al.: JAMA, 197, 1069(1966) WF-0720
4)永沼 雅基ら: 脳卒中, 25, 334(2003) WF-1658
5)Reimer SM et al.: Clin. Chem., 13, 1091(1967) WF-0719
[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 396 糖尿病用剤〕
[相互作用の内容]
本剤の作用を増強したとの報告がある。
[併用時の注意]
血液凝固能検査値に変動がなくても、併用時には出血等の臨床症状に十分注意して投与すること。
ビグアナイド系薬はフィブリン溶解現象の原因となり、抗凝固療法がさほど強力でない場合でも出血事故を来たす可能性がある。
[相互作用の機序]
ビグアナイド系薬のフィブリン溶解現象がワルファリンの効果を増強する可能性がある。
[相互作用の事例]
<症例報告事例>1)【フェンホルミン(本邦販売なし)併用による出血】
64才女性。深部静脈血栓症に対しワルファリン12mg/日の投与を開始し、安定した抗凝固効果を得ていた。約5ヵ月後、軽度の糖尿病を指摘され、フェンホルミン徐放製剤50mg/日の投与でコントロールした。フェンホルミン開始3ヵ月後、重度の血尿で入院した。プロトロンビン時間のBCR(British Corrected Ratio)は2.4と推奨域(1.8~3.0)内で、活性化部分トロンボプラスチン時間も60秒(推奨域60~70秒)であった。フィブリン溶解現象を疑い検査を行ったところ、オイグロブリン(ユーグロブリン)溶解時間45分(正常域2~5時間)、フィブリノゲン価1/6(正常域1/64~1/128)であった。ワルファリン中止により血尿は止まり、入院6日後に退院した。ビグアナイド系薬はフィブリン溶解現象の原因となり、抗凝固療法がさほど強力でない場合でも出血事故を来たす可能性があることに留意すべきである。(海外)
【参考文献】 [文献請求番号]
1)Hamblin TJ: Lancet, 2, 1323(1971) WF-0724
[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 396 糖尿病用剤〕
[相互作用の内容]
本剤の作用を増強したとの報告がある。【ボグリボースの添付文書に併用注意の記載がある】
[併用時の注意]
臨床上問題にならない程度と思われる。
併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に注意すること。
[相互作用の機序]
不明。
[相互作用の事例]
<症例報告事例>1)【アカルボースによるワルファリンの作用増強】
66才男性。脳梗塞の既往があり、血栓症、高血圧、糖尿病の治療のため、ワルファリン、ホシノプリル、ヒドロクロロチアジド、グリピジド、インスリン、ジフェンヒドラミンが処方されていた。ワルファリンの用量は42.5 mg/週で、過去10ヵ月間にわたりINR値は2.53~3.13に安定していた。糖尿病をより良くコントロールするためにアカルボースが追加された(1週目25 mg/日、2週目50 mg/日、3週目75 mg/日)。アカルボース開始4日前のINRは3.09であったが、アカルボース開始2週間後には4.85に上昇した。ワルファリンを1日中止した。翌日、アカルボースを中止し、ワルファリン 40mg/週を再開した。その1週間後のINRは3.28、2週間後のINRは2.84に低下した。(海外)
<症例報告事例>2)【ボグリボースによるワルファリンの作用減弱】
51才女性。脳梗塞、糖尿病で入院中、深部静脈血栓症を併発し、ワルファリン投与を開始。血糖コントロール目的にてボグリボース併用を開始したところ、プロトロンビン値がボグリボース併用開始前の37.3%(3回測定の平均値)から、併用中は80.5%(2回測定の平均値)に上昇した。ボグリボースを中止したところ、プロトロンビン値は47.5%(2回測定の平均値)となった。ボグリボースを再投与したところ、プロトロンビン値は再投与前の40%から67.3%へと上昇した。ボグリボースを中止したが、プロトロンビン値は64.7%であった。アカルボースでは、影響は認められなかった。<2002年5月の第45回日本糖尿病学会年次学術集会の学会抄録>
<臨床研究報告>3)【ボグリボース、相互作用なし】
プロトロンビン時間比が30~40 %となる維持用量のワルファリンを服用中の健康成人男子12名に、ボグリボース5mg 1日3回を5日間経口投与した。プロトロンビン時間比、血漿中S-ワルファリン、R-ワルファリン濃度にはボグリボーズ併用による変化は認められなかった。(海外)
【参考文献】 [文献請求番号]
1)Morreale AP et al.: Am. J. Health-Syst. Pharm., 54, 1551(1997) WF-1021
2)馬場 泰人ら: 糖尿病, 45(S-2), S135(2002) WF-1721
3)Fuder H et al.: Eur. J. Clin. Pharmacol., 53, 153(1997) WF-1091
[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 396 糖尿病用剤〕
[相互作用の内容]
本剤との相互作用はないと考えられる。【ナテグリニドの添付文書に併用注意の記載がある】
[併用時の注意]
十分な情報で評価が確立するまで、一応の注意が必要である。
ナテグリニドの添付文書によると、低血糖症状(空腹感、あくび、悪心、無気力、だるさ等の初期症状から血圧上昇、発汗、ふるえ、顔面蒼白等の症状を経て意識消失、けいれん、昏睡にいたる)、血糖降下作用が増加されることがあるので、血糖値モニターその他患者の状態を十分に観察し、必要であればナテグリニドを減量する。
[相互作用の事例]
<臨床研究報告>1)【相互作用なし】
健康成人男子12名にワルファリン30mgを単回単独朝食前投与、またはナテグリニド120mg 1日3回4日間食前投与の第2日朝食前に単回併用投与した。S-ワルファリン、R-ワルファリンのAUC0-∞、AUC0-168、最高血漿中濃度、同到達時間、プロトロンビン時間の最高値および同到達時間、プロトロンビン時間-時間曲線下面積、INRの最高値および同到達時間、INR-時間曲線下面積には、ナテグリニド併用による有意な変化はなかった。ワルファリンの血中濃度、プロトロンビン時間、INRの経時的変化は単独時と併用時で近似したグラフを描いた。また、ナテグリニド投与初日(ナテグリニド単独投与時)と投与2日目(ワルファリン併用時)のナテグリニドの体内薬物動態には差はなかった。(海外)
【参考文献】 [文献請求番号]
1)Anderson DM et al.: J. Clin. Pharmacol., 42, 1358(2002) WF-1500