軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症、高度アルツハイマー型認知症における長期投与時の安全性についてインタビューフォームに以下の記載があります。
●軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症
インタビューフォーム「V.治療に関する項目」に長期投与試験の安全性に関して以下の記載があります。(引用1,2)
軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症に対して本剤を52週間投与(3mg/日を1週間投与後、5mg/日を51週間投与)し、長期投与による本剤の安全性と有効性について検討した。
全症例265例中安全性解析対象から除外された症例は5例であり、260例を対象に安全性の解析を行った。
概括安全度は、「安全性に問題なし」が72.7%(189/260)、「安全性にやや問題あり」が18.5%(48/260)、「安全性に問題あり」が4.6%(12/260)、「安全性にかなり問題あり」が4.2%(11/260)であった。
有害事象の発現率は45.0%(117/260)であり、このうち副作用は27.3%(71/260)であった。
主な副作用は、本剤の薬理作用に基づくと考えられる消化器症状であった。
副作用の程度は主に軽度から中等度であり、高度の副作用が2例(4件)で認められたが、本剤を中止又は休薬することにより症状は消失又は軽快した。
副作用の発現時期別では、投与24週後から52週後までの副作用発現率は投与初期と比較して低く、長期投与により副作用発現頻度が増加する傾向は認められず、新たに発現した特記すべき副作用は認められなかった。
●高度アルツハイマー型認知症
インタビューフォーム「V.治療に関する項目」に国内第II相試験の安全性に関して以下の記載があります。(引用3)
高度アルツハイマー型認知症患者を対象とした二重盲検比較試験(プラセボ群、5mg群、10mg群、 24週間投与、以下231試験)の完了例を対象とし、漸増法を用いて10mg/日の長期投与(52週間)による安全性を検討した。なお、患者の症状によっては、5mg/日に減量可能とし、その後の症状の経過から10mg/日に再び増量できることとした。
安全性解析対象集団189例における副作用の発現率は、51.3%(97/189)であった。主な副作用は、悪心9.5%(18/189)、食欲不振及び下痢が各6.3%(12/189)、食欲減退5.8%(11/189)、不眠症及び嘔吐が各4.2%(8/189)、落ち着きのなさ3.7%(7/189)の順に高く、消化器症状が多かった。
本剤の薬理作用に基づくと考えられる消化器症状の副作用発現率は27.0%(51/189)であった。
時期別の消化器症状の副作用発現率を検討した結果、6~8週の発現率が16.8%(31/184)で最も高く、次いで8~16週の発現率が6.1%(11/181)、2~6週の発現率が4.8%(9/188)で高かった。
【引用】
1)アリセプト錠3mg・5mg・10mg・細粒0.5%・D錠3mg・5mg・10mg・内服ゼリー3mg・5mg・10mg・ドライシロップ1%インタビューフォーム 2024 年9月改訂(改訂第34版) V.治療に関する項目 5.臨床成績 (4)検証的試験 2)安全性試験 軽度及び中等度アルツハイマー型認知症
2)東儀英夫ら:臨床評価 28(1),p97-126(2000) [ART-0313] (本研究はエーザイ株式会社の支援を受けて実施されました)
3) アリセプト錠3mg・5mg・10mg・細粒0.5%・D錠3mg・5mg・10mg・内服ゼリー3mg・5mg・10mg・ドライシロップ1%インタビューフォーム 2024 年9月(改訂第34版) V.治療に関する項目 5.臨床成績 (4)検証的試験 2)安全性試験 高度アルツハイマー型認知症を対象とした国内第Ⅱ相臨床試験(231試験)
【更新年月】
2025年1月
【図表あり】