国内第II相試験(231試験)において全般的臨床症状的評価、認知機能が評価されております。
製品情報概要に以下の記載があります。(引用1、2)
高度アルツハイマー型認知症を対象とした国内第Ⅱ相臨床試験(プラセボ対照二重盲検比較試験)(231試験)
目的
プラセボ群とアリセプト5mg群及び10mg群の用量反応性、並びにプラセボ群に対する各実薬群の優越性を検討した。併せて本剤の安全性についても検討する。
対象
高度アルツハイマー型認知症患者325例にアリセプトまたはプラセボを投与した。そのうち、
安全性解析対象例302例(5mg群:101例 10mg群:96例 プラセボ群:105例)
有効性解析対象例290例(5mg群: 96例 10mg群:92例 プラセボ群:102例)を解析対象例とした。
方法
観察期間(4週間)ののち、プラセボを1日1回、4週間投与後、アリセプト5mg群、10mg群、またはプラセボ群に割り付け、1日1回経口投与した。投与期間は24週。なお5mg群は最初の2週間は3mg/日を投与し、その後5mg/日に増量した。10mg群は最初の2週間は3mg/日、その後4週間は5mg/日を投与し、6週後より10mg/日に増量した。
評価項目
有効性評価項目: 主要評価項目 CIBIC-plus(全般的臨床症状評価)(最終※3)、SIB(認知機能)の投与開始時からの変化量(投与8、16、24週後、最終
副次評価項目 ADCS-ADL-sev(日常生活動作の評価) 等
■全般臨床症状評価
CIBIC-plus(全般的臨床症状評価)(最終)[主要評価項目(検証的解析結果)]
主要評価項目(検証的解析結果)であるCIBIC-plus(全般的臨床症状評価)の改善率はアリセプト5mg群で32.3%(31/96例)、アリセプト10mg群で46.7%(42/90例)、プラセボ群で23.8%(24/101例)であった。その結果、アリセプト10mg群のプラセボ群に対する優越性が検証された(p=0.003、Cochran-Mantel-Haenszel検定)。また、アリセプト5mg群はプラセボ群に対して有意差が認めらず、優越性が検証されなかった(p=0.151、Cochran-Mantel-Haenszel検定)。
最終時のCIBIC plus
■認知機能評価
SIBの投与開始時からの変化量(各評価時点、最終※6)[主要評価項目(最終※6のみ検証的解析結果)]
主要評価項目(最終※6のみ検証的解析結果)であるSIB(各評価時点、最終※6)の投与開始時からの変化量(平均値)は、以下のとおりであった。最終※6の変化量(平均値)は、アリセプト5mg群で2.5点、アリセプト10mg群で4.7点、プラセボ群で-4.2点であった。その結果、アリセプト10mg群のプラセボ群に対する優越性が検証された(p<0.001、共分散分析)。さらにアリセプト5mg群のプラセボ群に対する優越性も検証された(p<0.001、共分散分析)。
副作用(引用)
アリセプト10mg群では96例中45例(46.9%)の副作用が認められた。その主な副作用は、嘔吐12例(12.5%)、食欲不振6例(6.3%)、下痢4例(4.2%)、食欲減退4例(4.2%)、血中CK増加4例(4.2%)であった。アリセプト5mg群では101例中29例(28.7%)の副作用が認められた。その主な副作用は、嘔吐2例(2.0%)、下痢1例(1.0%)、食欲減退1例(1.0%)、落ち着きのなさ1例(1.0%)、便秘1例(1.0%)、血中CK増加1 例(1.0%)、転倒1例(1.0%)、挫傷1例(1.0%)であった。
プラセボ群では105例中22例(21.0%)の副作用が認められた。その主な副作用は、嘔吐4例(3.8%)、下痢1例(1.0%)、食欲不振1例(1.0%)、食欲減退1例(1.0%)、便秘1例(1.0%)、血中CK増加1例(1.0%)であった。
重篤な副作用は3例3件[攻撃性(プラセボ群)、胃潰瘍(プラセボ群)、痙攣(10mg群)]に認められた。死亡は2例2件[急性心筋梗塞(5mg群)、不整脈(10mg群)]に認められ、不整脈は10mg/日に増量する前の5mg/日投与時に発現した。投与中止に至った副作用は、16例23件に認められ、プラセボ群では攻撃性、易興奮性、胃潰瘍、5mg群では急性心筋梗塞、胸部不快感、パーキンソニズム、悪心/異常感、10mg群では攻撃性、精神障害/嘔吐、経口摂取減少、食欲減退/便秘、精神障害、不整脈、嘔吐/悪心/食欲不振、狭心症、食欲減退/浮動性めまい/頭痛であった。
錠、D錠、内服ゼリーの用法及び用量は以下の通りです。
〈アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制〉
通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1~2週間後に5mgに増量し、経口投与する。高度のアルツハイマー型認知症患者には、5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により適宜減量する。
【関連情報】
CIBIC plus、SIBについてはインタビューフォーム「V.治療に関する項目」に以下の記載があります。(引用3)
■CIBIC plus
患者の臨床症状を4領域(状態のあらまし、認知機能、行動、日常生活動作能力)に分けて評価する方法である。それぞれの項目について患者と介護者に面接し、患者の症状について投与前と比較し、全般的な変化を「大幅な改善、中程度の改善、若干の改善、不変、若干の悪化、中程度の悪化、大幅な悪化」の7段階の評価と判定不能で評価する。CIBIC plusの評価は、評価の偏りを避けるために患者の担当医とは異なる医師を評価者としており、患者だけでなく介護者にも面接をする。
■SIB
高度に障害された認知機能を評価するもので、高度の認知症患者を念頭において作成されている。SIBは高度例に対する認知機能検査として、信頼性の高い評価方法である。SIBは、社会的相互行為、記憶、見当識、注意、実行、視空間能力、言語、構成、名前への志向の9項目(40の質問項目)から構成され、患者との面接によって合計得点100点で評価する。
【引用】
1)アリセプト錠3mg・5mg・10mg・細粒0.5%・D錠3mg・5mg・10mg・内服ゼリー3mg・5mg・10mg・ドライシロップ1% 製品情報概要 臨床成績 高度アルツハイマー型認知症を対象とした国内第Ⅱ相臨床試験(231試験)(承認時評価資料) p9-10 (ART1692CSG)
2)Homma, A. et al.:Dement. Geriatr.Cogn. Disord., 2008;25(5):399-407 [ART-1700] (本研究はエーザイ株式会社の支援を受けて実施されました)
3)アリセプト錠3mg・5mg・10mg・細粒0.5%・D錠3mg・5mg・10mg・内服ゼリー3mg・5mg・10mg・ドライシロップ1%インタビューフォーム 2024 年9月改訂(改訂第34 版) V.治療に関する項目 5.臨床成績 (4)検証的試験 1)有効性検証試験・臨床試験 高度のアルツハイマー型認知症
【更新年月】
2025年1月