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  • 公開日時 : 2019/04/05 00:00
  • 更新日時 : 2021/03/18 08:12
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【ワーファリン】 V‐17.周術期管理~ その他の大手術(診療科・領域別)(適正使用情報 改訂版〔本編〕 2020年2月発行)

【ワーファリン】 
 
V‐17.周術期管理~ その他の大手術(診療科・領域別)(適正使用情報 改訂版〔本編〕 2020年2月発行)
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回答

ここには大手術として、消化器外科、呼吸器外科、胸部外科などの手術の報告を集めた。

 

1.開腹・開胸手術での検討

OBS 原西ら(1997)1)は、周術期の抗凝固療法をワルファリンからヘパリンに変更した開腹術例について検討し、ヘパリンの至適投与量、再開時期の決定は難しく、個々の症例について外科医、循環器内科、麻酔科医の密な連絡が必要と報告した。

OBS 国内での血栓性素因を併存する開心術症例の検討(2000)2)

OBS 国内の観察研究として、児島ら(2002)3)は、抗血栓療法を要する患者での一般外科の周術期管理について検討した。開胸・開腹を伴う手術でワルファリンは手術前日まで内服し、トロンボテスト値20%前後で、術後は内服可能となった時点でワルファリンを再開している。適切な周術期管理により、抗血栓療法を治療域に維持したままでの手術が可能であると報告した。

OBS 国内の集積報告として、青柳ら(2005)4)は、心血管疾患合併の胃癌症例について検討した。ワルファリンは術前7日前までに中止し、ヘパリン置換した。周術期は血液凝固能検査を頻回に測定し、退院後も厳格な経過観察の必要性を報告した。

OBS 甲状腺癌による甲状腺全摘術患者の甲状腺機能低下のワルファリンへの影響のレトロスペクティブ検討(2006)5)

OBS 肝移植後の抗凝固療法の安全性 ケースコントロールスタディ(2009)6)

 その他にも心臓血管外科手術時の出血(2002)7)、心疾患患者の周術期管理(2002)8)などの報告がある。

Case 葉玉ら(1992)9)は、心臓手術後の抗凝固療法中の一般外科手術について、当施設での方法や30例の症例提示により、抗凝固療法に対する管理の重要性を示した。

 

 

2.開腹・開胸手術の事例

 国内症例にて、抗凝固療法中の手術施行のいくつかの参考事例がある。

Case 人工弁置換術後 肝細胞癌による広範囲の肝切除術症例(1994)10)

Case 人工弁置換術後 プロポフォール全身麻酔下に開腹術 (2000)11)  

Case 人工弁 Budd-Chiari症候群に対して緊急生体肝移植を施行した事例(2002)12)

Case 肝臓癌術前に無症候性肺塞栓症と診断された症例の手術施行事例(2004)13)

Case 抗血栓療法継続下に外科処置を行った術後性上顎嚢胞の症例(2007)14)

Case 腎移植時の周術期抗凝固療法(2008)15)

Case アンチトロンビン欠乏症 胃癌、上行結腸癌の手術(2010)16)

Case 心房細動 CO2レーザーの腫瘍蒸散術(乳頭状扁平上皮癌の切除)(2012)17)

Case 補助人工心臓植込み術後 急性胆嚢炎の開腹手術(2012)18)

Case 心房細動 胃癌手術(術後ティーエスワン(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤)との相互作用) (2013)19)

Case 人工弁置換術後 膵頭十二指腸切除(2013)20)

 

【血栓塞栓イベント】

Case 直腸癌術後の急性血栓性肺塞栓症発症後に抗血栓療法で対応(2002)21)

Case 開腹脾摘術施行にて門脈・脾静脈血栓症発症後の抗凝固療法の実施(2005)22)

Case 脊髄腫瘍摘出術の周術期の術後脳梗塞(2005)23)

Case 門脈合併切除・再建術中に血栓閉塞(プロテインC活性低下)した肝門部胆管癌(2007)24)  

Case 消化器外科手術後の急性肺血栓塞栓症例の集積報告(2008)25)

  (抗血栓療法が行われていなかった事例)

Case 急性大動脈解離で上行大動脈置換術後に肺塞栓症発症(先天性プロテインC欠乏症)(2009)26)

 

【出血イベント】

Case 緊急虫垂切除術時の挿管操作によると思われる舌根部周囲血腫(2011)27)

 

【参考文献】    [文献請求番号]

1)原西保典ら: 臨床麻酔,     21,     1693 (1997)     WF-2718

2)田辺 貞雄ら: 人工臓器,     29,     109 (2000)     WF-1303

3)児島 亨ら: 日本臨床外科学会雑誌,     63,     2085 (2002)     WF-1488

4)青柳 慶史朗ら: 臨床と研究,     82,     1535 (2005)     WF-2190

5)Bucerius,J. et al.: Thyroid,     16,     369 (2006)     WF-2430

6)Widen,A. et al.: Blood Coagul.Fibrinolysis,     20,     615 (2009)     WF-3329

7)藤村 博信 ら: 日本血栓止血学会誌,     13,     87 (2002)     WF-1417

8)内藤 嘉之ら: Lisa,     9,     310 (2002)     WF-1395

9)葉玉 哲生ら: 歯科ジャーナル,     35,     201 (1992)     WF-0768

10)Shimada,M. et al.: Hepato-Gastroenterol.,     41,     290 (1994)     WF-3825

11)多渕 八千代ら: 麻酔,     49,     269 (2000)     WF-1251

12)小川 絵里ら: 移植,     37,     177 (2002)     WF-1578

13)畑 泰司ら: 日本消化器外科学会雑誌,     37,     1877 (2004)     WF-3826

14)高須 曜ら: 日本口腔診断学会雑誌,     20,     161 (2007)     WF-2499

15)外間 実裕ら: 第41回日本臨床腎移植学会抄録集,         125 (2008)     WF-2906

16)西尾 康平ら: 日本臨床外科学会雑誌,     71,     2728 (2010)     WF-3452

17)梶浦 智嗣ら: 皮膚科の臨床,     55,     689 (2013)     WF-3942

18)松山 翔ら: 日本心臓血管外科学会雑誌,     41,     304 (2012)     WF-3765

19)境 雄大ら: 外科,     75,     1109 (2013)     WF-3985

20)古賀 睦人ら: 臨床と研究,     90,     513 (2013)     WF-3819

21)安藤 敏典ら: 日本臨床外科学会雑誌,     63,     42 (2002)     WF-1448

22)Ikeda,M. et al.: Ann.Surg.,     241,     208 (2005)     WF-2013

23)沢野 由加梨ら: 臨床麻酔,     29,     1613 (2005)     WF-2183

24)那須 裕也ら: 日本消化器外科学会雑誌,     40,     301 (2007)     WF-2460

25)久森 重夫ら: 日本消化器外科学会雑誌,     41,     283 (2008)     WF-2775

26)佐々木 昭暢ら: 呼吸と循環,     57,     1083 (2009)     WF-3108

27)渡部 達範ら: 麻酔,     60,     100 (2011)     WF-3511

 

【更新年月】

2021年1月

 

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