電子添文には、排泄に関する以下の記載があります。
16. 薬物動態
16.5 排泄(引用1)
16.5.1 尿中排泄
健康成人男子5名にフルニトラゼパム4mg注)を単回経口投与後、72時間までの尿中に還元体として投与量の8.6%、開還体及び水酸化体として4.7%が排泄された。(引用2)
注)本剤の承認された用法及び用量は「通常成人1回、フルニトラゼパムとして、0.5~2mgを就寝前又は手術前に経口投与する。なお、年齢・症状により適宜増減するが、高齢者には1回1mgまでとする。」である。
【関連情報】
インタビューフォームには、分布、代謝及び排泄に関する以下の記載があります。
■分布
・血液-脳関門通過性(引用3)
<参考>
ラットに14C‒フルニトラゼパム1mg/kgを経口投与した場合の脳の放射活性濃度は、投与1時間後で0.15μg/gであり、血液中濃度0.16μg/gとほぼ同等であった。(引用4)
・血液-胎盤関門通過性(引用5)
<参考>
妊娠14日目及び19日目のラットに14C‒フルニトラゼパム5mg/kgを経口投与した場合の投与後2時間目の胎児の頭部、胴部及び母ラット血中の総放射能活性は以下の通りであった。(引用6)
・乳汁への移行性(引用7)
<参考>外国人のデータ
妊婦に2mgを経口投与した結果では、投与11時間後から27時間後にかけて乳汁中濃度は血漿中濃度より少し低い濃度で推移していた。
<参考>
母ラットに14C‒フルニトラゼパム5mg/kgを経口投与した結果では、乳汁中の総放射能活性は血液中の45~68%で、ほぼ平行した経時的推移を示した。未変化体の乳汁中からの消失は早く7時間後にはほとんど検出されなかった。
・髄液への移行性(引用8)
該当資料なし
・その他の組織への移行性(引用9)
<参考>
雄ラットに14C‒フルニトラゼパム1mg/kg及び5mg/kgを経口投与した後、経時的に各臓器、組織中の放射活性を測定した。
消化管内容物、肝臓にきわめて高い放射活性が、脂肪(特に褐色脂肪)、副腎、腎臓にもやや高い放射活性が認められた。
5mg/kg経口投与においても1mg/kg投与と同様の結果が得られた。(引用4)
・血漿蛋白結合率(引用10)
<参考>外国人のデータ
フルニトラゼパム濃度が1~20ng/mLにおけるヒト血漿蛋白との結合型の割合は77.6~79.6%であった。
■代謝
・代謝部位及び代謝経路(引用11)
主として肝で代謝される。
ヒトにおける主要代謝産物は1‒デスメチル体(I)、7‒アミノ体(II)、3‒ヒドロキシ体(III)である。(引用2)
<参考>
ラットに14C‒フルニトラゼパム1mg/kg経口投与後の胆汁中代謝物パターン(S‒2、7が主代謝物)(引用12)
・代謝に関与する酵素(CYP等)の分子種、寄与率(引用13)
該当資料なし
・初回通過効果の有無及びその割合(引用14)
初回通過効果 約50%(引用2)
・代謝物の活性の有無及び活性比、存在比率(引用15)
活性(未変化体に対する力価)
毒性
ラット経口投与 LD50(mg/kg)
■排泄(引用17)
・排泄部位及び経路
ヒトでは尿中排泄が主である。
・排泄率
健康成人男子5名にフルニトラゼパム4mg注)を単回経口投与後、72時間までの尿中に還元体(7‒アミノ体)として投与量の8.6%、開環体及び水酸化体(3‒ヒドロキシ体)として4.7%が排泄された。(引用2)
注)4mg単回投与は承認外用量である。
<参考>外国人のデータ
健康成人に2.6mg経口投与168時間迄の尿中排泄率は80~90%であった。
・排泄速度
該当資料なし
【引用】
1)サイレース錠1mg・錠2mg電子添文 2023年4月改訂(第1版) 16.薬物動態 16.5排泄
2)深沢英雄ら:臨床薬理, 1978;9(3):251-265 [SIL-0070]
3)サイレース錠1mg・錠2mgインタビューフォーム 2024年3月改訂(第10版) VII.薬物動態に関する項目 5.分布 (1)血液-脳関門通過性
4)立石 満ら:応用薬理, 1980;19(2):201‒215 [SIL-0066]
5)サイレース錠1mg・錠2mgインタビューフォーム 2024年3月改訂(第10版) VII.薬物動態に関する項目 5.分布 (2)血液-胎盤関門通過性
6)立石 満ら:応用薬理, 1980;19(2):223‒230 [SIL-0068]
7)サイレース錠1mg・錠2mgインタビューフォーム 2024年3月改訂(第10版) VII.薬物動態に関する項目 5.分布 (3)乳汁への移行性
8)サイレース錠1mg・錠2mgインタビューフォーム 2024年3月改訂(第10版) VII.薬物動態に関する項目 5.分布 (4)髄液への移行性
9)サイレース錠1mg・錠2mgインタビューフォーム 2024年3月改訂(第10版) VII.薬物動態に関する項目 5.分布 (5)その他の組織への移行性
10)サイレース錠1mg・錠2mgインタビューフォーム 2024年3月改訂(第10版) VII.薬物動態に関する項目 5.分布 (6)血漿蛋白結合率
11)サイレース錠1mg・錠2mgインタビューフォーム 2024年3月改訂(第10版) VII.薬物動態に関する項目 6.代謝 (1)代謝部位及び代謝経路
12)立石 満ら:応用薬理, 1980;19(2):191‒199 [SIL-0065]
13)サイレース錠1mg・錠2mgインタビューフォーム 2024年3月改訂(第10版) VII.薬物動態に関する項目 6.代謝 (2)代謝に関与する酵素(CYP等)の分子種、寄与率
14)サイレース錠1mg・錠2mgインタビューフォーム 2024年3月改訂(第10版) VII.薬物動態に関する項目 6.代謝 (3)初回通過効果の有無及びその割合
15)サイレース錠1mg・錠2mgインタビューフォーム 2024年3月改訂(第10版) VII.薬物動態に関する項目 6.代謝 (4)代謝物の活性の有無及び活性比、存在比率
16)矢島 孝ら:応用薬理, 1981;21(1):123‒142 [SIL-0054]
17)サイレース錠1mg・錠2mgインタビューフォーム 2024年3月改訂(第10版) VII.薬物動態に関する項目 7.排泄
【更新年月】
2025年3月