• No : 1269
  • 公開日時 : 2016/11/16 00:00
  • 更新日時 : 2024/12/10 14:20
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【アリセプト・レビー小体型認知症】 長期投与したときの安全性・有効性について教えてください。

【アリセプト・レビー小体型認知症】 
 
長期投与したときの安全性・有効性について教えてください。
 
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回答

インタビューフォーム「V.治療に関する項目」に以下の記載があります。
レビー小体型認知症(DLB)患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験及び継続長期投与オープン試験(引用1、2)
 
■安全性
通期(5mg群及び10mg群(実薬群合計)の被験者における長期安全性(投与期間:52週間))において、実薬群合計で発現率が高かった主な有害事象は、鼻咽頭炎(17.7%[17/96])、パーキンソニズム(12.5%[12/96])であった。実薬群合計で5%以上の被験者に認められた副作用はパーキンソニズム(10.4%[10/96])のみであり、次いで、食欲減退及び不眠症(各4.2%[4/96])の発現率が高かった。なお、これらの副作用は、検証期において5mg群の1例に認められた不眠症を除き、いずれも軽度又は中等度の事象であった。
また、「消化器症状」、「パーキンソン症状」、「精神症状」、「不整脈」の通期における有害事象発現率(5mg群、10mg群、実薬群合計)は以下のとおりである。 
 
●消化器症状 
消化器症状の有害事象は、実薬群合計(5mg群+10mg群)で31.3%(30/96)の被験者に認められた。また、実薬群合計で5%以上の被験者に認められた消化器症状の有害事象(PT)は、下痢、食欲減退(各6.3%[6/96])、便秘、悪心(各5.2%[5/96])であった。なお、実薬群で認められた消化器症状の有害事象は、治療期24週以降に5mg群の1例に認められた腸閉塞(発現時投与量10mg、治験薬との因果関係なし)を除き、いずれも軽度又は中等度の事象であった。 
 
●パーキンソン症状 
パーキンソン症状の有害事象は、実薬群合計(5mg群+10mg群)で12.5%(12/96)の被験者に認められ、そのPT別の発現率は、パーキンソニズム12.5%(12/96)、体幹前屈症1.0%(1/96)であった。また、これらの有害事象は、いずれも軽度又は中等度の事象であった。 
 
●精神症状 
精神症状の有害事象は、実薬群合計(5mg群+10mg群)で18.8%(18/96)の被験者に認められた。また、実薬群合計で5%以上の被験者に認められた精神症状の有害事象(PT)は不眠症のみであった(6.3%[6/96])。なお、実薬群で認められた高度の精神症状の有害事象は5例10件であり、このうち、治療期24週以降に認められたものは2例3件(幻視[発現時投与量10mg]、幻覚及び妄想症[発現時投与量5mg]、いずれも治験薬との因果関係はなし)であった。 
 
●不整脈 
不整脈に関する有害事象は、実薬群合計(5mg群+10mg群)で9.4%(9/96)の被験者に認められた。また、実薬群合計のPT別の不整脈に関する有害事象発現率は、いずれの事象も5%未満であった。
なお、実薬群で認められた不整脈に関する有害事象は、治療期24週以降に10mg群の1例に認められた意識消失(発現時投与量5mg、治験薬との因果関係はなし)を除き、いずれも軽度又は中等度の事象であった。
 
■有効性
有効性については、MMSEの評価でベースライン(0週)との比較において、検証期(12週)に有意な改善が認められ(p<0.05, t検定)、52週においても有意な改善が確認された(p<0.05, t検定)。5mg群の24週時点での変化量が3点未満の集団では、24週との比較において10mg増量後に有意な増加が認められた(p<0.05, t検定)。 
NPI-2の評価においても、5mg群では治療期12週から52週にかけて、10mg群では治療期4週から52週にかけて、ベースラインとの比較において有意な減少が認められた(p<0.05, t検定)。
 
■DLB患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験及び継続長期投与オープン試験
アリセプト錠の効能又は効果は以下の通りです。(引用3)
アルツハイマー型認知症及びレビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制。
 
レビー小体型認知症における用法及び用量は以下の通りです。(引用4)
通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1~2週間後に5mgに増量し、経口投与する。5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により5mgまで減量できる。
投与開始12週間後までを目安に、認知機能検査、患者及び家族・介護者から自他覚症状の聴取等による有効性評価を行い、認知機能、精神症状・行動障害、日常生活動作等を総合的に評価してベネフィットがリスクを上回ると判断できない場合は、投与を中止すること。投与開始12週間後までの有効性評価の結果に基づき投与継続を判断した場合であっても、定期的に有効性評価を行い、投与継続の可否を判断すること。
 
【関連情報】
MMSE、NPIについてはインタビューフォーム「V.治療に関する項目」に以下の記載があります。(引用5)
■MMSE
認知機能を評価する方法で、「見当識、記銘、注意、計算、近時・遠隔記憶、了解、読書、書字・デザイン」から評価する。簡単に種々の認知能力を評価でき、さらに動作性能力も評価できる。得点の範囲は 30~0点(正常→重度)である。
 
■NPI
介護者による精神症状を評価するための方法。妄想、幻覚、興奮、うつ、不安、多幸、無感情、脱抑制、易刺激性、異常行動の10項目につき、それぞれの頻度を1~4の4段階で、重症度を1~3の3段階で評価する。点数が高いほど頻度、重症度が大きいことを示している。各項目のスコアは頻度×重症度で表され(1~12点)、10項目で合計1~120点となる。
 

【引用】
1)アリセプト錠3mg・5mg・10mg・細粒0.5%・D錠3mg・5mg・10mg・内服ゼリー3mg・5mg・10mg・ドライシロップ1%インタビューフォーム 2024年9月改訂(改訂第34版) V.治療に関する項目 5.臨床成績 (4)検証的試験2)安全性試験 レビー小体型認知症(DLB)患者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験及び継続長期投与オープン試験
2)Mori,Etsuro. et al. : Alzheimers Res.Ther. 7(5),p1-13,2015 [ART-2900] (本研究はエーザイ株式会社の支援を受けて実施されました)
3)アリセプト錠3mg・5mg・10mg・細粒0.5%・D錠3mg・5mg・10mg・内服ゼリー3mg・5mg・10mg・ドライシロップ1%電子添文 2024年9月改訂(第4版) 4.効能又は効果
4)アリセプト錠3mg・5mg・10mg・細粒0.5%・D錠3mg・5mg・10mg・内服ゼリー3mg・5mg・10mg・ドライシロップ1%電子添文 2024年9月改訂(第4版) 6.用法及び用量
5)アリセプト錠3mg・5mg・10mg・細粒0.5%・D錠3mg・5mg・10mg・内服ゼリー3mg・5mg・10mg・ドライシロップ1%インタビューフォーム 2024年9月改訂(第34版) V.治療に関する項目 5.臨床成績 (4)検証的試験 1)有効性検証試験・臨床効果 レビー小体型認知症
 
【更新年月】
2024年12月

 
【図表あり】