電子添文には、用法及び用量、薬剤投与時の注意について、以下の記載があります。
6. 用法及び用量(引用1)※1
通常、小児には、1日40~80mg(力価)/kgを2~4回に分けて静脈内注射又は点滴静注する。
なお、年齢、症状に応じて適宜増減するが、難治性又は重症感染症には、小児では1日量150mg(力価)/kgまで増量し3~4回に分けて投与する。
通常、未熟児、新生児には、1回20mg(力価)/kgを生後3日までは1日2回、4日以降は1日2~3回静脈内注射又は点滴静注する。
※1 小児投与に関する記載のみ抜粋
14. 適用上の注意
14.2 薬剤投与時の注意(引用2)
〈筋肉内注射〉
14.2.3 低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児には筋肉内投与しないこと。
【関連情報】
小児および低出生体重児・新生児の薬物動態は以下になります。
■小児に静脈投与した際の血清中濃度(引用3)
小児に本剤10mg(9名)、20mg(30名)及び50mg(力価)(2名)/kgを単回静脈内注射した場合、投与15分後の平均血清中濃度は50.1、160.4及び179.2μg/mLであった。半減期は1.35~1.56時間と健康成人に比べてやや短かった。(引用4)
■低出生体重児・新生児における血清中濃度(引用5)
・点滴静注
低出生体重児12名、新生児22 名に本剤20mg/kgを1時間で点滴静注した場合、最高血清中濃度は点滴静注終了直後にみられた。新生児では最高血清中濃度が36.2~46.8μg/mLに達し、半減期は2.60~3.61 時間、低出生体重児では最高血清中濃度が35.7~46.4μg/mLに達し、半減期は 2.83~3.10時間であり、新生児、低出生体重児ともに日齢の増加とともに半減期は短縮する傾向を示した。(引用6)
・静脈内投与
低出生体重児4名、新生児17名に本剤10mg/kgを静脈内投与した場合、平均血清中濃度は投与30分後に低出生体重児では22.0μg/mLに達し、半減期は4.47時間であった。また、新生児では平均血清中濃度は投与30分後に20.6~26.6μg/mLに達し、半減期は3.03~3.96時間であった。(引用6)
小児における髄液への移行性は、以下になります。
■髄液への移行性
化膿性髄膜炎5例、無菌性膜炎3例について測定したところ、移行は一般に良好で、大腸菌性髄膜炎、インフルエンザ菌性髄膜炎には十分な濃度であった。化膿性髄膜炎の男児(1歳11ヵ月、8歳)に本剤50mg/kg/回静脈内投与した場合、投与1時間後の髄液中濃度は9.0μg/mL(11病日)、8.2μg/mL(4病日)を示した。7歳の男児に3病日から42mg/kg/回静脈内投与した例は、4病日で7.0μg/mLを示した。継続的に髄液移行を検討した男児2例(3ヵ月、7歳)に100mg/kg/回及び42mg/kg/回静脈内投与したピーク値は、6.9μg/mL(7病日)、7.0μg/mL(4病日)で、治療経過にしたがって移行量は低下した。無菌性髄膜炎においても男児(6歳)、女児(4歳)に50mg/kg/回静脈内投与した場合、7.4μg/mL(6病日)、14..5μg/mL(4病日)、男児(5歳)に70mg/kg/回静脈内投与した場合、0.42μg/mL(1病日)を示した。(引用4)
【引用】
1)アザクタム注射用0.5g・1g電子添文 2024年6月改訂(第2版) 6.用法及び用量
2)アザクタム注射用0.5g・1g電子添文 2024年6月改訂(第2版) 14.2 薬剤投与時の注意〈筋肉内注射〉 14.2.3
3)アザクタム注射用0.5g・1gインタビューフォーム 2024年6月改訂(第9版) VII.薬物動態に関する項目 1.血中濃度の推移 (2)臨床試験で確認された血中濃度 6.小児に静脈内投与した際の血清中濃度
4)藤井良知ら:Jpn. J. Antibiot., 1985;38(11):31953216 [AZT-0268]
5)アザクタム注射用0.5g・1gインタビューフォーム 2024年6月改訂(第9版) VII.薬物動態に関する項目 1.血中濃度の推移 (2)臨床試験で確認された血中濃度 7.低出生体重児・新生児における血清中濃度
6)藤井良知ら:Jpn. J. Antibiot., 1990;43(3):543562 [AZT-0559]
【更新年月】
2024年12月