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  • No : 1653
  • 公開日時 : 2017/10/19 00:00
  • 更新日時 : 2019/05/07 18:21
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【ワーファリン】 Ⅷ‐13.2.3)[防御因子増強剤]消化性潰瘍用剤との相互作用(適正使用情報別冊(Ⅷ 相互作用各論) 第3版 2019年3月更新第9版)

【ワーファリン】  Ⅷ‐13.2.3)[防御因子増強剤]消化性潰瘍用剤との相互作用(適正使用情報別冊(Ⅷ 相互作用各論) 第3版 2019年3月更新第9版)
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回答

[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]

〔薬効分類 232 消化性潰瘍用剤〕

 

[相互作用の内容]

本剤の作用を減弱したとの症例報告がある。

但し、コントロールされた臨床研究では否定的である。

 

[併用時の注意]

十分な情報で評価が確立するまで、一応の注意が必要である。

投与間隔を空けるなどの方法が考えられる。

 

[相互作用の機序]

不明。

スクラルファートが本剤の吸収を阻害する。

 

[相互作用の事例]

<症例報告事例>1)【ワルファリンの作用減弱】

59才男性。心筋梗塞、消化性潰瘍、糖尿病があり、クロルプロパミド250mg/日、ジゴキシン0.25mg/日、フロセミド40mg/日、塩化カリウム40mg当量/日の投与とワルファリン5mgと7.5mgの1日交替投与を行っていた。某日、心筋梗塞疑いにて入院したが新たな梗塞巣はみつからなかった。翌日、消化性潰瘍に起因するとみられる消化管出血があり、ワルファリンを中止して新鮮凍結血漿6単位を投与し、マガルドラート(制酸剤)とスクラルファートの投与を開始した。入院4日目、スクラルファートの投与下にワルファリン投与を再開した。続く1週間、プロトロンビン時間は12.5~14.5秒と、治療域に達しなかった。今回の入院前は約2ヵ月にわたりワルファリンの血中濃度は1.5~1.6ng/mLでプロトロンビン時間は26~29秒であった。ワルファリン再開後、血中濃度は0.5~0.6ng/mLであった。ワルファリン再開6日後、スクラルファートを中止したところ、その9日後にはワルファリンの血中濃度は1.6ng/mL、プロトロンビン時間は19秒となった。ワルファリン5mgと7.5mgの1日交替投与で退院となった2週後、ワルファリンの血中濃度は1.4ng/mL、プロトロンビン時間は30.6秒であった。

 

<症例報告事例>2)【ワルファリンの作用減弱】

71才女性。血栓静脈炎、肺動脈塞栓症、胃潰瘍および心房細動等に対してワルファリン、スクラルファート等による薬剤を投与中、プロトロンビン時間比の低下が認められた。スクラルファートの投与中止後、プロトロンビン時間比は治療域に戻った。(海外)

 

<症例報告事例>3)【同時投与によるワルファリンの作用減弱】

62才女性。末梢静脈閉塞の症例。スクラルファート 1g1日3回(9、15、21時)を服用していた。血行障害により右足先切断術後ワルファリン5~7.5mg/日(17時)を開始し、プロトロンビン時間は最終的に15.5秒であった。そして転院し、服用時間が、スクラルファート 1g1日3回(8、14、20時)、ワルファリン5 mg/日(20時)に変更になった。転院時18.5秒のプロトロンビン時間が徐々に短縮したのでワルファリンを増量し、最終的に10 mg/日でプロトロンビン時間 12.4秒であった。肺炎の併発により当院に復院したので、スクラルファートとワルファリンの服用時刻を前に戻した。復院時のプロトロンビン時間が19.4秒であったのでワルファリンを4日間中断した。その後、ワルファリン5 mg/日でプロトロンビン時間14~16秒となった。(海外)

 

<症例報告事例>4)【ワルファリンの作用減弱】

55才男性。深部静脈血栓症を来たして入院し、ヘパリン注射、スクラルファート4g/日とインドメタシン75mg/日の経口投与を開始した。スクラルファート投与4時間後よりワルファリン5mg/日の投与を開始した。しかし4日後になってもプロトロンビン時間はほとんど延長しなかった。ビタミンK摂取量を最小限にし、ワルファリンを10mg/日にしたが効果はなかった。そこでワルファリンをスクラルファートと同時に夕方投与して、プロトロンビン時間を朝測定することとしたが、ワルファリンを17.5mg/日としてもプロトロンビン時間は治療域に達しなかった。スクラルファートとインドメタシンを中止してワルファリンを10mg/日に減量した。プロトロンビン時間は2日以内にコントロール比1.5倍以上に達した。(海外)

 

 

<臨床研究報告>5)【相互作用なし】

長期ワルファリン療法を施行中の入院患者8例に、スクラルファート1gを1日3回2週間併用した。ワルファリンの投与量は一定とした。トロンボプラスチン時間、血漿ワルファリン濃度にはスクラルファート併用の影響は認められなかった。(海外)


 

【参考文献】    [文献請求番号]

1)Mungall D et al.: Ann. Intern. Med.,    98,    557(1983)    WF-0473

2)Rey AM et al.: DICP, Ann. Pharmacother.,    25,    745(1991)    WF-0647

3)Parrish RH et al.: Ann. Pharmacother.,    26,    1015(1992)    WF-1211

4)Braverman SE et al.: Drug Intell. Clin. Pharm.,    22,    913(1988)    WF-2094

5)Neuvonen PJ et al.: Br. J. Clin. Pharmacol.,    20,    178(1985)    WF-1756

【図表あり】

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