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  • No : 1635
  • 公開日時 : 2017/10/18 00:00
  • 更新日時 : 2019/04/26 13:12
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【ワーファリン】 Ⅷ‐7.[アミオダロン塩酸塩]不整脈用剤との相互作用(適正使用情報別冊(Ⅷ 相互作用各論) 第3版 2019年3月更新第9版)

【ワーファリン】  Ⅷ‐7.[アミオダロン塩酸塩]不整脈用剤との相互作用(適正使用情報別冊(Ⅷ 相互作用各論) 第3版 2019年3月更新第9版)
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回答

[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]

〔薬効分類 212 不整脈用剤〕

 

[相互作用の内容]

本剤の作用を増強する。【アミオダロンの添付文書に併用注意の記載がある】

 

[併用時の注意]

併用開始4~6日後に、相互作用によりプロトロンビン時間が有意に延長し、重大な致死的出血が生じることがある。

本剤を1/3~1/2に減量し、併用開始後はプロトロンビン時間等、血液凝固能検査を頻回に実施し、厳密に観察する。

また、アミオダロン投与中止後もその作用は4ヵ月以上も持続するので注意すること(アミオダロンの半減期が2~9週間と長いため)。

 

 

[相互作用の機序]1)

アミオダロンが本剤の肝薬物代謝酵素(CYP2C9)を阻害する。

アミオダロンには甲状腺機能異常の副作用があることから、本剤の作用に影響する可能性がある。

 

[相互作用の事例]

<症例報告事例>2)【ワルファリンの作用増強】

68才女性。ワルファリン3mg/日でトロンボテスト値は20%前後であった。アミオダロンの投与を開始した1週後より咽頭部不快感・疼痛を訴えた。その1週後、著明な口腔粘膜下出血を認め、ヘモグロビンは6.3g/dLであった。ワルファリンとアミオダロンを中止、ビタミンK投与と輸血を施行。出血時点でのプロトロンビン時間比は著しく低下し、活性化部分トロンボプラスチン時間は著しく延長していた。

 

<臨床研究報告>3)【ワルファリンの作用増強】

アミオダロンを導入した92例中35例が、ワルファリン投与中の症例であった。この内32例で、アミオダロンによるワルファリンの作用増強を認めた。アミオダロンの影響は経時的に大きくなり、アミオダロンの血中濃度が定常状態に達する時間に一致していた。INR/ワルファリン投薬量(ワルファリンのクリアランスの指標)をアミオダロン投与前後で比較したところ、併用前のワルファリンのクリアランスが大きい患者ではアミオダロンの影響が小さかった。

 

<臨床研究報告、基礎研究報告>1)【ワルファリンの作用増強】

健康成人男子5名にて、アミオダロン300mg/日3日間投与がワルファリンの薬効と体内動態に与える影響を検討した。プロトロンビン時間-時間曲線下面積はアミオダロン併用で上昇したが、有意差はなかった。一方、ワルファリンのクリアランスと消失速度定数はアミオダロンにより有意に低下した。(海外)

ヒト肝ミクロソームを用いた実験で、アミオダロンはS-ワルファリンの7-水酸化を30%低下させた。S-ワルファリン6,8-水酸化、R-ワルファリン6,7,8-水酸化も16~20%阻害された。アミオダロンのCYP2C9阻害作用でワルファリンの代謝が阻害されると示唆された。

 

<臨床研究報告>4)【ワルファリンの作用増強】

器質的心疾患でワルファリンを投与中の患者で、治療抵抗性の頻脈性不整脈を有する25例に対し、アミオダロンを投与した。アミオダロンは300~400mg/日で14日投与した後に200mg/日投与とした。毎朝INRを測定してワルファリン投与量を調節した。また、アミオダロン投与7日目の朝の服薬前に、アミオダロンと代謝物デスエチルアミオダロンの血漿中トラフ(谷)濃度を測定した。アミオダロン投与前と投与7日目のINR/ワルファリン投与量の差(ΔINR/Dose)は、血漿中アミオダロン濃度とは相関しないが、血漿中デスエチルアミオダロン濃度とはr=0.45で有意な相関を示した。特発性拡張型心筋症に心室性頻拍を合併した1例のINR、血漿中アミオダロン/デスエチルアミオダロン濃度を、アミオダロン開始前から14日目まで経時的に観察した。INR/ワルファリン用量は、血漿デスエチルアミオダロン濃度とパラレルに上昇していた。デスエチルアミオダロンはアミオダロンより強力にCYP2C9を阻害するので、デスエチルアミオダロンのS-ワルファリン代謝阻害が相互作用の機序と示唆された。

 

<臨床研究報告>5)【ワルファリンの作用増強】

安定したワルファリン療法施行中に、アミオダロンの併用を開始し、1年以上両薬を併用した43例を対象として、両薬の相互作用を検討した。アミオダロン投与開始前、ワルファリン平均投与量は5.2mg/日、INR平均は2.02であった。アミオダロンは800~1600mg/日をLoading Doseとして1週投与し、以降漸減して200~400mg/日を維持用量とした。アミオダロンの開始用量は平均909mg/日で、1週後には平均327mg/日投与となった。この後、アミオダロン維持用量は漸減し、1年後には平均246mg/日投与となった。ワルファリンの平均用量は、アミオダロン併用開始1週後4.3mg/日、2週後3.5mg/日、4週後3.3mg/日、7週後2.9mg/日と、アミオダロン併用開始前に比し有意に減少した。アミオダロンのワルファリン増強効果は併用開始7週後が最大で、以降は徐々にワルファリン必要量は増し、1年後の平均ワルファリン用量は4.2mg/日となった。観察期間中の併用アミオダロン用量と観察回数は、400mg/日が253回、300mg/日が39回、200mg/日が288回、100mg/日が24回であった。アミオダロン用量とワルファリン必要量は、r2=0.94の有意な逆相関を示した。これらの結果より、アミオダロンを100mg/日、200mg/日、300mg/日、400mg/日投与する際、各々ワルファリンを25%、31%、35%、38%減量する必要があると考えられた。(海外)

 

<臨床研究報告>6)【ワルファリンの作用増強】

投与量の安定したワルファリン、ジゴキシン療法中の79例(ワルファリン単独投与25例、ジゴキシン単独投与2例、両剤併用52例)に対し、アミオダロンの併用を開始した。ワルファリンは目標INR1.5~2.5で、併用開始7日以上前から投与していた。アミオダロンは400mg/日で2週投与し、第3週以降は血清アミオダロン値が治療域(0.5~2.0μg/mL)となるように100~300mg/日で用量を設定した。ワルファリンとの相互作用は77例で検討した。アミオダロン、代謝物デスエチルアミオダロンの血清中濃度が定常状態になるには、数ヵ月(200日以上)を要した。S-ワルファリンの経口クリアランスは、アミオダロン併用開始後2週までに約40%の有意な低下を示したが、それ以降はあまり変化しなかった。R-ワルファリンの経口クリアランスは、アミオダロン併用開始後、僅かに低下したものの、有意な変化ではなかった。R-ワルファリンの経口クリアランスは、血清アミオダロン、デスエチルアミオダロン濃度と有意な逆相関を示した。一方、S-ワルファリンの経口クリアランスは、血清のアミオダロン値>0.4μg/mL、デスエチルアミオダロン値>0.2μg/mLでは殆ど変化がなかった。アミオダロンは脂溶性が高く、肝ミクロソームのアミオダロン、デスエチルアミオダロン濃度は、投与開始2週でS-ワルファリン代謝を阻害するのに十分な値となると思われた。(海外)

 

<臨床研究報告>7)【ワルファリンの作用増強】

ワルファリン内服中に、心室性不整脈または心房細動でアミオダロンを追加投与した18例にて、INRとワルファリン必要量の変化を検討した。

(1)アミオダロンを400mg/日で併用開始した11例では、INRは併用開始前の1.7に比し、併用開始1週後は2.8、2週後は2.9、3週後は2.2、4週後は2.7、5~8週後は2.4と、何れの時点でも有意に高値であった。一方、ワルファリン1日量は、併用開始前の2.6mgと比べ、1週後は2.7mgと差はないが、2週後、3週後、4週後、5~8週後は、各々2.3mg、2.1mg、2.0mg、2.0mgと、有意に少量であった。アミオダロン平均1日投与量は、併用開始1週後280mg、2週後215mgで、3週後以降は195mgであった。

(2)アミオダロンを200mg/日で併用開始した7例のINRは、併用開始前の2.1と比し、1週後には2.7と有意に上昇したが、2週後は2.5、3週後は2.4、4週後は2.2で、投与前値と有意差はなかった。一方、ワルファリン1日用量は、併用開始前の2.4mgに比し1週後(2.5mg)と2週後(2.2mg)には有意な差はないが、3週後は1.9mg、4週後は2.0mgと、併用開始前より有意に少量となった。アミオダロン平均1日投与量は、併用開始~2週後が200mg、3~4週後は186mgであった。

 

<症例報告事例、基礎研究報告>8)【ワルファリンの作用増強】

(症例報告)57才女性。脳塞栓症にてワルファリン3mg/日を投与中であった。上室性頻拍、洞性徐脈、心房細動、心室期外収縮に対しペースメーカー植込を行い、数種の抗不整脈投与を試みた。次いでアミオダロン600mg/日の投与を開始した。この際、プロトロンビン時間のBCR(British Corrected Ratio)が1.5であったため、ワルファリンを5mg/日に増量した。アミオダロン開始後、BCRは5を超え、消化管出血を来たし、ワルファリンを中止してビタミンKを投与した。約1ヵ月後、脳血管障害再発にて他院に入院となり、ワルファリン投与が再開された。この入院の3週間前、アミオダロンは中止されていた。次いで当院に転院となり、アミオダロンの投与を再開した。アミオダロン再開時、ワルファリンは休薬した。アミオダロン再開3日前のBCRは2.5であったが、アミオダロン再開後はワルファリン休薬にも関わらず4.5まで上昇し、その4日後にビタミンKを投与するまで高値のまま維持された。(海外)

(基礎研究)ウサギ5羽にワルファリンを皮下注してBCRを上昇させた。そこにアミオダロン35mg/日を4日間皮下注したところ、BCRは急激な上昇を示し、2羽は消化管出血により死亡した。

 

<臨床研究報告>9)【ワルファリンの作用増強】

健康成人男子6名にワルファリンのラセミ体1.5mg/kg、R体1.5mg/kg、S体0.75mg/kgを単独、またはアミオダロン400mg/日の連日経口投与の第4日に併用にて、単回経口投与した。ワルファリン投与によるプロトロンビン時間の延長は、ラセミ体、R体、S体いずれの投与時もアミオダロンにより有意に増強され、その持続時間も著しく延長した。プロトロンビン時間-時間曲線下面積はアミオダロン併用によりラセミ体投与時で1.98倍、R体投与時で2.06倍、S体投与時で3.28倍へと、いずれも有意に増大した。ワルファリンのAUCはアミオダロン併用によりラセミ体投与時で2.00倍、R体投与時で1.60倍、S体投与時で2.11倍へと有意に増大した。ワルファリンの半減期はラセミ体投与時、R体投与時、S体投与時ともアミオダロン併用により有意に延長した。血漿ワルファリンクリアランスはラセミ体、R体、S体投与時のいずれも、アミオダロン併用で有意に低下した。(海外)

 

<臨床研究報告>10)【ワルファリンの作用増強】

当院でワルファリンとアミオダロンの併用投与を受けた30例を(1)ワルファリン単独投与期とアミオダロン併用投与期の記録が揃っている第1群17例、(2)アミオダロン併用期の記録のみの第2群13例に分けた。この30例と性、年齢、体重、プロトロンビン時間が対応するワルファリン単独投与の20例を、第3群(対照)とした。平均プロトロンビン時間比とワルファリン平均投与量は、第1群のワルファリン単独期が28.4%、36.7mg/週、第1群のアミオダロン併用期が29%、24.3mg/週、第2群(アミオダロン併用)が27.9%、21.4mg/週、第3群(ワルファリン単独)が26.5%、38mg/週であった。第1群ではアミオダロン併用開始によりワルファリン必要量が34%減少していた。第1群の内15例でアミオダロンによる抗凝固効果の増強が認められ、他の1例ではアミオダロン併用中止による抗凝固効果の減弱を示した。アミオダロンとワルファリンの相互作用は併用開始1週後より現れ始め、アミオダロン中止6~8週後まで残存した。アミオダロン投与量とワルファリン必要量減少率は、r=0.77で有意な相関を示した。アミオダロン併用により血漿ワルファリンクリアランスは有意に低下し、アミオダロン併用時はワルファリン投与量が少ないにも関わらず、血漿ワルファリン濃度は単独時と有意差がなかった。遊離形ワルファリン分画にはアミオダロンの影響は認められなかった。(海外)

 

<臨床研究報告>11)【ワルファリンの作用増強】

安定した長期ワルファリン療法施行中の9例にアミオダロンの投与を開始した。アミオダロン開始3~4週後、5例で出血を来たした(肉眼的血尿4例、斑状出血1例)。9例のプロトロンビン時間はアミオダロン併用開始により併用前に比し有意に延長し、プロトロンビン時間を治療域に保つためにワルファリンを平均で32.9%減量した。4例ではアミオダロン投与を数ヵ月後に中止したものの、抗凝固効果の増強はさらに1ヵ月半~4ヵ月の間持続した。(海外)

 

 

【参考文献】    [文献請求番号]

1)Heimark LD et al.: Clin. Pharmacol. Ther.,    51,    398(1992)    WF-0693

2)島田 恵ら: Prog. Med.,    19(S-1),    685(1999)    WF-1205

3)上野 和行: Prog. Med.,    20(S-1),    485(2000)    WF-1268

4)Naganuma M et al.:J. Cardiovasc. Pharmacol. Ther.,    6,    363(2001)    WF-1444

5)Sanoski CA et al.: Chest,    121,    19(2002)    WF-1646

6)Matsumoto K et al.: J. Pharm. Technol.,    19,    83(2003)    WF-1652

7)桜井 健二ら: Prog.Med.,    23,    3092(2003)    WF-1654

8)Rees A et al.: Br. Med. J.,    282,    1756(1981)    WF-0460

9)O’Reilly RA et al.: Clin. Pharmacol. Ther.,    42,    290(1987)    WF-0492

10)Almog S et al.: Eur. J. Clin. Pharmacol.,    28,    257(1985)    WF-0413

11)Martinowitz U et al.: N. Engl. J. Med.,    304,    671(1981)    WF-0874

【図表あり】

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