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医療用医薬品一覧
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[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 114 解熱鎮痛消炎剤〕
[相互作用の内容]
本剤の作用を増強する可能性がある。【トラマドールの添付文書に併用注意の記載がある】
[併用時の注意]
併用開始時および併用中止時は、必ず血液凝固能検査値の変動に十分注意し、本剤の用量調節を行うこと。
[相互作用の機序]
不明。
[相互作用の事例]
<症例報告事例>1)【ワルファリンの作用増強】
76才男性。足拇指の血性水疱を訴えて来院した。患者は大動脈弁置換の既往が有り、高血圧、前立腺肥大、左脚ブロック、変形性関節症のため、ワルファリン5 mg/日、カプトプリル、ヒドロクロロチアジド/トリアムテレンを服用し、INRは2.9~3.7にあった。1ヵ月前から頸部関節痛に対し、トラマドール50mg 1日3回が追加され、INRは7.31に上昇していた。トラマドールとワルファリンの中止によりINRは治療域に復した。ワルファリンを再開した。(海外)
<症例報告事例>2)【ワルファリンの作用増強】
61才女性。僧帽弁置換術、脳卒中の既往が有り、痙攣、甲状腺機能低下の治療のため、ワルファリン42.5~45mg/週、ジゴキシン、フェニトイン、レボチロキシン、葉酸が投与され、INR 2.5-3.5で安定していた。患者が上腕部に斑状出血を訴えた。INRは10.6に上昇していた。2週間前から2~3日前まで、患者の骨格筋痛に対して、トラマドール 50mg 1日4回が投与されていた。ワルファリンの中断により、INRは2.5-3.5に低下した。ワルファリンの用量を再設定した。最終的にワルファリン45 mg/週で、INRは2.5~3.5に安定した。(海外)
<症例報告事例>3)【ワルファリンの作用増強】
豪州医薬品副作用調査会(ADRAC)では、ワルファリンとトラマドールの相互作用の報告を11例受け付けている。安定したワルファリン療法施行中の患者にトラマドール投与を開始してから、INR上昇や出血が起こるまでの期間は、6週間という例外を除くと、3~7日であった。5例では、トラマドール中止後1~4日で回復を示したが、76才と88才の2例は脳出血により死亡した。内1例は、INRが5.0となった後も、ワルファリンとトラマドールを6日間継続していた。(海外)
<臨床研究報告>4)【ワルファリンの作用増強】
1995年~2003年3月に、スウェーデン医薬品副作用調査会(SADRAC)で受け付けたワルファリンとトラマドールの相互作用によるINR上昇は17例で、58~89才、ワルファリン投与量11.2~66.2mg/週で、トラマドール投与開始前には全例、INRは治療域で安定していた。トラマドールは50~400mg/日が投与され、併用開始1.5~60日後までの観察で、INRは3.4~>8.5へと上昇し、6例で出血が認められた。INRはトラマドール中止の1~11日後には低下した。トラマドールを継続投与した1例では、ワルファリンを62.5mg/週から35mg/週へと減量した。これら症例の内10例で、CYP2D6、CYP2C9、CYP2C19の遺伝子型を検討した。CYP2C9、CYP2C19の遺伝子多型は、一般に報告されている遺伝子多型の比率と同様であった。CYP2D6遺伝子多型は、7例(70%)でCYP2D6*4対立遺伝子を有しており、スウェーデン人の平均とされる42.2%に比し高い傾向(p=0.07)であった。また、CYP2D6を阻害するような薬剤を併用中の症例が4例で、CYP2D6*4対立遺伝子保有者と合せ8例で、CYP2D6の活性低下が相互作用に関与していると示唆された。(海外)
(参考)トラマドール自体はCYP2D6で代謝される薬物であるので、ワルファリンとの相互作用を生じた患者ではCYP2D6の遺伝子多型あるいは阻害薬の併用によりトラマドールの血中濃度が極めて高くなっており、それがワルファリンとの相互作用に関係している可能性がある。但し、日本人ではCYP2D6の活性欠損者は1%未満と、欧米人よりはるかに少ない。
【参考文献】 [文献請求番号]
1)Scher ML et al.: Ann. Pharmacother., 31, 646(1997) WF-1175
2)Sabbe JR et al.: Pharmacotherapy, 18, 871(1998) WF-1176
3)Aust.Adv.Drug Reactions Bull., 23, 16(2004) WF-1796
4)Hedenmalm K et al.: Eur. J. Clin. Pharmacol., 60, 369(2004) WF-1798