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医療用医薬品一覧
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[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 114 解熱鎮痛消炎剤〕
[相互作用の内容]
本剤の作用を増強する可能性がある。
【アセトアミノフェンの添付文書に併用注意の記載がある】
[併用時の注意]
アセトアミノフェンを大量(1~2g/日以上)投与しない限り相互作用は生じないか、またはわずかな本剤の作用増強と思われる。
また、アセトアミノフェンの血小板凝集抑制作用や出血の副作用は、アスピリン程ではない。
しかし、併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に注意し、必要に応じて本剤の用量調節を行うこと。
[相互作用の機序]
不明。
[相互作用の事例]
<症例報告事例>1)【ワルファリンの作用増強】
66才女性。脳卒中発作の後にワルファリン療法を開始し、ワルファリン3mg/日でプロトロンビン時間が15~19秒であった。腰痛のためアセトアミノフェンとコデインの配合剤(含量不明)を10日間で48錠服用したところ、血尿と歯肉出血を生じた。翌日の受診時、プロトロンビン時間は96秒に延長していた。新鮮凍結血漿3単位投与でプロトロンビン時間は正常に復した。(海外)
<症例報告事例>2)【ワルファリンの作用増強】
24才男性。ワルファリン服用中で、プロトロンビン時間がコントロールの1.5倍以内(5週間前は13.6秒)に維持されていた。階段で転倒し、鎮痛目的で1錠中にアセトアミノフェン650mgとプロポキシフェン(本邦販売なし)100mgを含有する鎮痛剤を服用した。この鎮痛剤の推奨用量は1日最大6錠であったが、3日間で30錠を服用した。転倒4日後、側腹痛と血尿で受診した。プロトロンビン時間は50秒以上、部分トロンボプラスチン時間は100秒以上に延長していた。(海外)
<臨床研究報告>3)【クマリン系抗凝固薬の作用増強】
クマリン系抗凝固薬を投与中の20例に、二重盲検にてアセトアミノフェン2g/日またはプラセボを3週間投与した。アセトアミノフェン群は、プラセボ群と比べて有意にトロンボテスト時間が延長した。(海外)
<臨床研究報告>4)【経口抗凝血薬の作用増強】
経口抗凝固薬(ワルファリン、ジクマロール、アニスインジオン、フェンプロクモン)を投与中の患者で、アセトアミノフェン併用がプロトロンビン時間に与える影響を検討した。プロトロンビン時間はアセトアミノフェン投与で有意に延長した。(海外)
<臨床研究報告>5)【ワルファリンの作用増強】
ワルファリン療法中にINRが6を超える要因を知るために、INR2~3を目標として1ヵ月以上のワルファリン投与を受けた患者2,000例を対象として、ケースコントロール研究を実施した。INRが6を超えた93例とINR1.7~3.3の196例を比較した。アセトアミノフェン9.1g/週以上投与例では、INRが6を超えるオッズ比が10.0であった。(海外)
<臨床研究報告>6)【相互作用なし】
健康成人男子20名を2群に分け、ワルファリンとアセトアミノフェンとの相互作用をクロスオーバー法で検討した。アセトアミノフェン併用期は、アセトアミノフェン1gを1日4回22日間経口投与し、第2日と第16日にワルファリン20mgをアセトアミノフェン投与1時間後に経口投与した。ワルファリン単独期は、ワルファリン20mgを経口投与した。両セッションの間に14日のウォッシュアウト期を設けた。ワルファリン単独期、アセトアミノフェン併用期第2日と第16日のR-ワルファリンおよびS-ワルファリンの血中濃度推移、プロトロンビン時間、第Ⅶ因子濃度推移に有意差はなかった。(海外)
<症例報告事例>7)【ワルファリンの作用増強】
74才男性。ワルファリン5mg/日でINRは2.7前後で安定していた。某日、INRは3.4であったが、翌週には4.0に上昇した。肩痛のためアセトアミノフェン2g/日を3日間服用していたことが判明し、ワルファリンを1日休薬した。翌週、INRは2.2へと低下していた。その後、本症例に再度アセトアミノフェン4g/日を3日間投与した。アセトアミノフェン4g/日投与開始の4日前、INRは2.3、第Ⅶ因子活性は29.4%、第Ⅹ因子活性は27.0%、血漿ワルファリン濃度は1.54μg/mLであった。アセトアミノフェン4g/日投与終了の翌日、INRは6.4、第Ⅶ因子活性は15.5%、第Ⅹ因子活性は20.2%、血漿ワルファリン濃度は1.34μg/mLであった。(海外)
<臨床研究報告>8)【ワルファリンの作用増強】
目標INR2~3にて安定した長期ワルファリン療法を施行中の患者11例にアセトアミノフェン1gまたはプラセボを1日4回14日間経口投与した。ワルファリン投与量はアセトアミノフェン期の試験開始前が3.80mg/日、プラセボ期の試験開始前が3.75mg/日であった。アセトアミノフェン期、3例でINR上昇によりアセトアミノフェン投与を途中で打ち切った(4日目が1例、9日目が2例)。アセトアミノフェン投与により、4日後にはINRが併用前に比し平均で+0.6の有意な上昇を示し、試験期間を通じて高値を示した。プラセボ投与ではINRの有意な変動は認められなかった。INR最大値の平均はアセトアミノフェン期が3.47、プラセボ期が2.61であった。INRはアセトアミノフェンにより最大で平均1.04上昇したが、プラセボでは最大で平均0.20の上昇に留まり、両群間に有意差が認められた。(海外)
<症例報告事例、基礎研究報告>9)【アセノクマロールの作用増強】
(症例報告)77才女性。目標INR2~3にてアセノクマロールを投与中であったが、アセトアミノフェン2~2.5g/日を連日服用したところINRが9.1まで上昇した。アセトアミノフェン中止、アセノクマロール休薬で対処した。
(基礎研究報告)アセトアミノフェンはビタミンK依存性 γ-カルボキシラーゼ、ビタミンKエポキシドレダクターゼの活性に対し無影響であった。アセトアミノフェン代謝物NAPQI(N-acetyl-para-benzoquinone imine)は、(1)還元型(ハイドロキノン型)ビタミンKの酸化作用、(2)ビタミンK依存性 γ-カルボキシラーゼの阻害作用により、ビタミンKサイクルを阻害した。アセトアミノフェン代謝物がビタミンKサイクルを阻害することで、抗凝固薬の作用が増強されると考えられた。(海外)
<症例報告事例>10)【ワルファリンの作用増強】
63才女性。ワルファリン4.7mg/日で安定した抗凝固効果を得ていた。某日、転倒して膝を打ち受診した。両膝に皮下出血斑、左膝蓋骨と脛骨の上に圧痛があったが骨折はなく、杖歩行が可能となった後に退院した。4日後、左膝の痛みが急に増悪し受診した。膝蓋反射消失と膝の進展不能を伴う、L2~L4領域の皮膚知覚帯の感覚消失が認められ、ヘモグロビンは11.0g/dL、INRは7.5であった。INRは約1ヵ月前には2.5であり、ワルファリン用量や合併症治療薬の変更は行っていなかった。後腹膜出血による大腿神経根圧迫を疑い、新鮮凍結血漿とビタミンKを投与した。INRは1.9となったが、ヘモグロビンは8.8g/dLに低下した。腹部CTで左腸骨筋血腫を認めた。怪我の後、患者が自己判断で疼痛コントロール目的にアセトアミノフェン500mg錠を8~10錠服用していたことが判明した。(海外)
【参考文献】 [文献請求番号]
1)Bartle WR et al.: JAMA, 265, 1260(1991) WF-0567
2)Justice JL et al.: Postgrad. Med., 83, 217(1988) WF-0503
3)Boeijinga JJ et al.: Lancet, 8270, 506(1982) WF-0458
4)Antlitz AM et al.: Curr. Ther. Res., 10, 501(1968) WF-0753
5)Hylek EM et al.: JAMA, 279, 657(1998) WF-1089
6)Kwan D et al.: J. Clin. Pharmacol., 39, 68(1999) WF-1184
7)Gebauer MG et al.: Pharmacotherapy, 23, 109(2003) WF-1496
8)Mahe I et al.: Br. J. Clin. Pharmacol., 59, 371(2005) WF-2006
9)Thijssen HH: Thromb. Haemost., 92, 797(2004) WF-2023
10)Andrews FJ: Emerg. Med. J., 19, 84(2002) WF-2090