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ワルファリンは胃および上部小腸から完全に吸収されるため吸収不良に起因する治療抵抗性は極めてまれである。回腸切除術後にわずか30cmしか空腸が残されていない患者でさえ、糞便から回収されたワルファリン未変化体は検出限界以下であった3)。
しかし、まれな事例としてTalstadら4)は、後天的なワルファリン吸収不良を報告している。1日10~12mgの経口ワルファリン投与で2年間にわたり良好な抗凝固効果が得られていた患者で、原因不明のワルファリン抵抗性が現れ、1日量を50mgに増量しても満足なコントロールができなかった。原因を探求するために、30mgのワルファリンを単回静注及び経口投与し、その後に得られた血中濃度の比較を行った。その結果、静注投与後のAUC値は経口投与後の3倍の値を示したが吸収及び排泄速度には異常は認められなかった。このため薬物耐性の原因は、 ワルファリンの吸収不良と考えられた。またこの患者は、ジクマロールでも同様の薬物耐性を示したが、フェニンジオン等では良好なコントロールが得られた。
【参考文献】 [文献請求番号]
3)Kearns PJ et al. : J. Parenter. Enter. Nutr., 10, 100(1986) WF-0258
4)Talstad I et al.: J. Intern. Med., 236, 465(1994) WF-0893
【更新年月】
2021年1月