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  • 公開日時 : 2017/10/16 00:00
  • 更新日時 : 2019/04/26 18:11
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【ワーファリン】 Ⅷ‐16.3.ビタミンE剤との相互作用(適正使用情報別冊(Ⅷ 相互作用各論) 第3版 2019年3月更新第9版)

【ワーファリン】  Ⅷ‐16.3.ビタミンE剤との相互作用(適正使用情報別冊(Ⅷ 相互作用各論) 第3版 2019年3月更新第9版)
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回答

[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]

〔薬効分類 315 ビタミンE剤〕


[相互作用の内容]

本剤の作用を増強したとの報告がある。


[併用時の注意]

報告が一様でなく、相互作用は明らかでない。

十分な情報で評価が確立するまで、一応の注意が必要である。

併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に注意すること。

 

[相互作用の機序]

不明。

ビタミンK依存性血液凝固因子の活性を干渉する可能性がある。

 

[相互作用の事例]

<症例報告事例>1)【ワルファリンの作用増強】

55才男性。心筋梗塞に対しワルファリン投与を開始した約2ヵ月後、脈がとぶため受診した。プロトロンビン時間は12.7秒であった。高脂血症、房室ブロック、心室性期外収縮があり、ワルファリン5mg/日、ジゴキシン0.25mg/日、フェニトイン400mg/日、フロセミド60mg/日、塩化カリウム液30mL/日、クロフィブラート2g/日投与とした。約1ヵ月後、フェニトインに替えてキニジン投与としたが、下痢を来たし約1ヵ月でプロカインアミドに変更した。この時点でプロトロンビン時間は31.4秒に延長しており、ワルファリンを3日間休薬した。プロトロンビン時間は10日後には18.9秒となった。ワルファリン療法導入の約半年後の受診時、腕、腹部、恥骨部の皮下出血斑と血尿があり、プロトロンビン時間は36.6秒に延長していた。2ヵ月前よりビタミンE 1200IU/日を服用していることが判明した。ワルファリン、ビタミンEを中止し、翌日にはプロトロンビン時間は24.9秒になった。ワルファリンは5mgと2.5mgを1日交替で再開した。その後約2ヵ月わたり臨床的・血液学的状態が安定している時に、ビタミンE 800IU/日の7週投与を試験的に行った。プロトロンビン時間はビタミンE投与前に比し投与4週後より延長し、ビタミンK依存性凝固因子活性も低下、皮下出血斑が現れた。ワルファリン血漿中濃度は変化しなかった。(海外)

 

<臨床研究報告>2)【相互作用なし】

(試験1)ワルファリン服用中の患者12人を、ビタミンE 800IU/日、ビタミンE 1200IU/日、プラセボ群に無作為に割り付け、二重盲検法にて各4週間投与し、週2回採血してINRを測定した。(中止・脱落1人)その結果、ビタミンE投与群にINR値の上昇は認められなかった。


(試験2)ワルファリン服用中の患者9人に、ビタミンE 1200IU/日またはプラセボの投与を告知した後、全員にビタミンE 1200IU/日を4週間投与した。(中止・脱落3人)その結果、INR値の上昇は認められなかった。ビタミンEを1ヵ月投与した患者13人のINR値に変動が認められなかったことから、ワルファリンとビタミンEとの間に薬物相互作用はないと考えられた。(海外)

 

 

<基礎研究報告>3)【ワルファリンの作用増強】

(研究1)イヌにワルファリン7.5~15mg/日を単独またはビタミンE800IU/日併用にて経口投与した。ビタミンE単独投与ではプロトロンビン時間、ビタミンK依存性凝固因子に対し有意な影響はなかった。ビタミンEとワルファリンを併用すると、ワルファリン単独時に比しプロトロンビン時間が延長し、プロトロンビンプロコンベルチンテスト値注)、第Ⅱ因子・第Ⅶ因子活性が低下した。イヌにワルファリン25mgを単独またはビタミンE 400~800IU併用にて単回静注した。ビタミンE併用によりワルファリン単独時に比しプロトロンビン時間は延長し、プロトロンビンプロコンベルチンテスト値は低下した。


(研究2)ラットにビタミンE 1000IU/kgまたは溶媒を7日間腹腔内投与し、第7日にワルファリン0.1mg/kgを腹腔内投与した。ワルファリン単独時に比しビタミンE併用時では、トロンボプラスチンで測定した第Ⅱ因子活性が大きく低下した。


(研究3)ワルファリン長期投与中の心疾患患者12例にビタミンE 100~400IU/日を投与した。第Ⅱ因子活性はビタミンE併用前に比し併用1週後より有意に低下し、4週の検討期間中維持された。

注)一時北欧諸国で使用され、トロンボテストの原型となった検査方法。

 

 

[ビタミンEの血液凝固能への影響]

<症例報告事例>4)【ビタミンE大量投与による低プロトロンビン血症】

神経芽細胞腫の2男児例にビタミンEを投与した際の凝血能を検討した。

(症例1)8才。放射線療法とビタミンE 2300mg/m2の9日間持続静注を行った。9日目にカテーテル挿入部の出血を認め、血小板数は3.3万/mm3、プロトロンビン時間は37秒、活性化部分トロンボプラスチン時間は67秒であった。新鮮凍結血漿、ビタミンK3の投与で60時間後には凝血能は正常化した。その後もビタミンE 2300mg/ m2を5日間持続投与すると、凝血能は同様な低下を示した。第Ⅶ因子欠損、第Ⅸ・第Ⅹ因子の低下が認められた。ビタミンE 2400mg/m2を3時間で投与した際は、凝血能に変化はなかった。ビタミンE 2300mg/ m2とビタミンK3 10mgを併用にて5日間静注した場合、第Ⅶ因子は低下したが他の凝血能は不変であった。


(症例2)5才。ビタミンE 2300mg/m2を単独で5日間、3時間で静注した。2日間の休薬の後、続く5日間はビタミンK310mgを静注した10分後よりビタミンE 2300mg/m2を同様に静注した。ビタミンEの単独投与により第Ⅶ・第Ⅸ・第Ⅹ因子は低下し、プロトロンビン時間と活性化部分トロンボプラスチン時間は延長した。ビタミンE投与前にビタミンK3を投与しておくと、凝血能や凝固因子に変動は認められなかった。(海外)

 

 

<臨床研究報告>5)【ビタミンEは凝血能に無影響】

ビタミンEを平均2.9年(4ヵ月~21年)にわたり服用している28名(健康成人22名、何らかの疾病を有する者6名)のプロトロンビン時間、部分トロンボプラスチン時間は、ビタミンE非服用の健康成人対照18名と同等であった。(海外)

 

 

【参考文献】    [文献請求番号]
1)Corrigan JJ Jr: JAMA,    230,    1300(1974)    WF-2038
2)Kim JM: Am. J. Cardiol,    77,    545(1996)    WF-0971
3)Corrigan JJ Jr: Ann. N.Y. Acad. Sci.,    393,    361(1982)    WF-2039
4)Helson L: Thromb. Res.,    35,    11(1984)    KY-0026
5)Farrell PM et al.: Am. J. Clin. Nutr.,    28,    1381(1975)    E-0910

【図表あり】

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