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  • No : 1462
  • 公開日時 : 2017/10/16 00:00
  • 更新日時 : 2019/05/07 18:19
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【ワーファリン】 Ⅷ‐13.6.その他の消化器官用剤(鎮吐剤)との相互作用(適正使用情報別冊(Ⅷ 相互作用各論) 第3版 2019年3月更新第9版)

【ワーファリン】  Ⅷ‐13.6.その他の消化器官用剤(鎮吐剤)との相互作用(適正使用情報別冊(Ⅷ 相互作用各論) 第3版 2019年3月更新第9版)
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回答

[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]

〔薬効分類 239 鎮吐剤〕


[相互作用の内容]

本剤の作用を減弱したとの報告がある。【アプレピタント、ホスアプレピタントの添付文書に併用注意の記載がある】

 

[併用時の注意]

本剤投与中の患者にアプレプタント(ホスアプレピタント)を追加投与する時は、本剤の増量を要するので、血液凝固能検査により本剤の投与量を変えること。

アプレプタント(ホスアプレピタント)の併用を中止する場合、本剤の作用が増強されるので、血液凝固能検査の値を十分に監視し、必要があれば本剤を減量すること。

 

長期ワルファリン療法を施行している患者には、がん化学療法の各コースにおける本剤処方の開始から2週間、特に7日目から10日目には、患者の血液凝固状態に関して綿密なモニタリングを行うこと。【アプレピタント、ホスアプレピタントの添付文書の重要な基本的注意に記載がある】

 

[相互作用の機序]1)

アプレプタント(活性本体)が本剤の肝薬物代謝酵素(CYP2C9)を誘導する。

 

[相互作用の事例]

<臨床研究報告>1)【ワルファリンの作用減弱】

海外の臨床薬理試験で、アプレピタントは催吐性癌化学療法に伴う悪心・嘔吐の予防に有効なニューロキニン-1受容体拮抗薬である。健康成人非喫煙者23名にてワルファリンとアプレピタントの相互作用を検討した。INRが1.3~1.8となるワルファリン維持量を設定した後、維持量ワルファリンを10~12日間投与した。次に被験者をアプレピタント群(第1日125mg、第2~3日80mg経口投与)11例、プラセボ群12例に分け、維持量ワルファリンをさらに7日間投与した。アプレピタントまたはプラセボの投与開始前日(第-1日)と投与第3日にワルファリンの体内薬物動態を、第-1~8日(ワルファリン終了翌日)にワルファリン血漿トラフ(谷)濃度を検討した。INRは期間中毎日測定した。第-1日と比し、第3日のR-ワルファリンのAUC(0-24)はアプレピタント群で有意に上昇したが、S-ワルファリンのAUC(0-24)、両エナンチオマーの最高血漿中濃度に有意差はなかった。アプレピタント群とプラセボ群の間には、S-ワルファリン、R-ワルファリンのAUC(0-24)、最高血漿中濃度いずれも有意差はなかった。ワルファリン血漿トラフ濃度の幾何平均値比は、アプレピタント群でプラセボ群に比しR体の第3日で18%の有意な上昇、第7日で9%の有意な低下、S体の第5~8日で最大34%の有意な低下を、INRの幾何平均比は第7~8日にアプレピタント群でプラセボ群に比し7~11%の有意な低下を示した。アプレピタントのCYP2C9誘導が原因と思われた。(海外)

 

<症例報告事例>2)【アプレピタントによるワルファリンの作用減弱】

33才女性にて、子宮頸癌に動注シスプラチン+フルオロウラシル療法1コース、広汎子宮全摘術施行、再度3コース、パクリタキセル+カルボプラチン(TC)療法5コース、イリノテカン療法10コース、エトポシド療法3コース施行し、術後2年目に左腎静脈血栓でワルファリン2.5mg投与開始(INR 1.59)した。TC療法に変更し、アプレピタントを併用し、ワルファリン4.5mgに増量(INR 1.49)した。TC療法終了に伴いアプレピタント中止、INRが著明に上昇した。

58才女性にて、卵巣癌、右膝窩静脈に血栓があり、術後ワルファリン2mgとTC療法開始した(アプレピタント併用なし)。TC療法1コース後INR 2.11、TC療法2コース目(アプレピタント併用開始)、3コース目INR 1.37にてワルファリン漸増した。TC療法6コース目終了時、ワルファリン7mgでINR 1.87であった。アプレピタント休薬にて、腹腔内出血を発現し、INR 8.27に上昇した。ワルファリン中止後に肺血栓塞栓症を発症し、治療に難渋した。

 

<症例報告事例>3)【ホスアプレピタントによるワルファリンの作用減弱】

25才男性にて、精巣腫瘍、深部静脈血栓症にてワルファリン服用中にTIP療法(シスプラチン+イフォスファミド+パクリタキセル)を施行した。TIP療法2日目にホスアプレピタントを投与した。TIP療法開始時、ワルファリン7.5mg投与でINR 2前後、ホスアプレピタント投与前INR 1.69にて、ワルファリン8.5mgに増量した。TIP療法4日目INR 2.79、7日目1.65に低下、8日目ワルファリン9mgに増量した。9日目INR 2.02、11日目2.52、14日目3.18にて、14日目ワルファリン8.5mgに減量、17日目INR 3.80にて、さらに8mgに減量し、コントロール可能となった。

 

 

【参考文献】    [文献請求番号]
1)Depre,M. et al.: Eur. J. Clin. Pharmacol.,    61,    341(2005)    WF-2325
2)野元 正崇ら: 日本産科婦人科学会雑誌,     66,     655(2014)    WF-4036
3)山口 高雅ら: クリニカルファーマシ,     21,     243(2013)    WF-4028

【図表あり】

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