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医療用医薬品一覧
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[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 218 高脂血症用剤〕
[相互作用の内容]
本剤の作用を増強する。
本剤とクロフィブラートとの相互作用の報告は多いが、クリノフィブラートとの相互作用は報告されていない。
【クリノフィブラート、クロフィブラート、フェノフィブラート、ベザフィブラートの添付文書に併用注意の記載がある】
[併用時の注意]
クロフィブラートとの併用はできるだけ避ける方がよい。
その他のフィブラート製剤の併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に十分に注意し、必要に応じて本剤の用量調節を行うこと。
[相互作用の機序]1,2)
不明。
フィブラート系薬剤がワルファリンの感受性に関係するビタミンK代謝を変化させる可能性が臨床研究から示唆される。
・クロフィブラートの血小板凝集能抑制作用による。
・本剤を血漿蛋白から遊離させる。
[相互作用の事例]
<症例事例報告>3)【クロフィブラートによるワルファリンの作用増強】
65才男性。血尿と吐血で入院した。症例は60才時に動脈血栓内膜摘出術後にワルファリン5mg/日投与を開始し、3年後、クロフィブラート2g/日の併用開始時にワルファリンを2.5mg/日に減量して継続投与していた。入院8時間後、ヘマトクリット値32%、プロトロンビン時間102秒で、腎機能の著しい悪化を示し、コーヒー様の胃内容物3Lが吸引された。デキストラン75と新鮮凍結血漿、ビタミンK1投与と輸血を行った。翌日には出血は止まり、プロトロンビン時間は20秒に短縮したが、腎機能はさらに悪化し、入院4日目朝に死亡した。クロフィブラートによるワルファリンの作用増強に起因すると考えられた。(海外)
<臨床研究報告>4)【クロフィブラートによるワルファリンの作用増強】
健康成人男子7名にワルファリン1.5mg/kgを単回投与した。次いでクロフィブラート2g/日15日間投与の最終日にワルファリン1.5mg/kgを単回投与した。また、健康成人男子3名にワルファリンをプロトロンビン活性が約35%になるように用量を設定して、21日間連続投与した。次いでクロフィブラート2g/日を併用しながら同様のワルファリン投与を行った。ワルファリン単回投与時、連続投与時とも、ワルファリンとクロフィブラートの併用で、ワルファリン単独投与時に比べてプロトロンビン活性が有意に低下した。一方、血漿中ワルファリン濃度には有意な変化はなかった。(海外)
<臨床研究報告>1)【クロフィブラートによるワルファリンの作用増強】
健康成人男子4名にワルファリンのS体またはR体0.5mg/kgを1週間間隔で単回単独投与した。次いで、1週間の間隔を置いてからクロフィブラート2gを4週連続投与し、クロフィブラート開始3週目と4週目の初めにワルファリンのS体またはR体を単独時と同様に投与した。プロトロンビン時間-時間曲線下面積でワルファリンの薬効を検討したところ、S-ワルファリンの抗凝固効果がクロフィブラート併用により明らかに増強していた。(海外)
<症例報告事例>5)【ベザフィブラートによるワルファリンの作用増強】
(症例1)65才男性。長期ワルファリン療法を施行中で、ワルファリン4~5mg/日、ベザフィブラート400mg/日とフロセミド、アミロリドを服用中であった。左手足の衰弱で入院となり、CTで脳梗塞を認めた。INRは1.5であった。ヘパリン3万単位を静注、ワルファリンを6~7mg/日へ増量してもINRは治療域に復さなかった。患者が自己判断でベザフィブラートを200mg/日に変更していたことが判明し、ベザフィブラートを400mg/日に戻したところ、INRは48時間以内に2.5となりヘパリンは離脱した。
(症例2)75才女性。ベザフィブラート400mg/日併用下に長期にワルファリン1mg/日を服用して安定した治療効果を得ていたが、骨折で入院した際、INRが5.29に上昇していた。ベザフィブラートを誤って800mg/日処方されていたことが判明し、400mg/日に減量したところ、ワルファリン1mg/日でINRは治療域に戻った。(海外)
<症例報告事例>6)【フェノフィブラートによるワルファリンの作用増強】
(症例1)71才女性。心房細動に対しワルファリン23~24mg/週を投与し、INRは1.8~2.9の間にあったが、フェノフィブラート200mg/日の併用開始後、6.7に上昇した。ワルファリンの休薬、減量で対処し、フェノフィブラートの併用下でワルファリン14~15mg/週でINRは治療域内となった。
(症例2)80才女性。心房細動でワルファリン20mg/週を投与し、INRは2.3~3.0であった。フェノフィブラート160mg/日の併用開始1週後、INRは2.7でワルファリンを18mg/週とした。その2週後、INRは4.6となり、ワルファリンを休薬、減量した。約1ヵ月後、フェノフィブラートの併用下で、ワルファリン13~14mg/週でINRは概ね治療域となった。(海外)
<症例報告事例>7)【フェノフィブラートによるワルファリンの作用増強】
79才男性。ワルファリン46mg/週を投与し、INRは3近傍にあった。中性脂肪が高値のため、ゲムフィブロジル(本邦販売なし)投与を開始、ワルファリンを44mg/週とした。3週後、INR3.98でワルファリンを42mg/週に減量した。以降、ワルファリン42mg/週でINRは2.67~3.33であった。中性脂肪値が低下しないため、ゲムフィブロジルを中止し、フェノフィブラート67mg 1日3回投与とした。ワルファリン投与量は不変とした。フェノフィブラート開始4週後、失神のエピソードと下血にて救急受診。INRは18、血圧70/40mmHgで、赤血球と新鮮凍結血漿を投与した。フェノフィブラートは中止し、シンバスタチンに変更した。その後、ワルファリン42mg/週でINRは2.44~3.06に維持されている。(海外)
<症例報告事例>8)【フェノフィブラートによるワルファリンの作用増強】
47才男性。ワルファリン12.5mgと15mgを毎日交互に投与し、INRは概ね2.0~2.5であった。中性脂肪、総コレステロール、HDLコレステロール高値のため、フェノフィブラート200mg/日の投与を開始した。1週後、上腹部不快感、悪心、脇腹痛、褐色尿が出現し、尿潜血陽性。INRは8.5を超えており、入院としてビタミンK10mgを投与。ワルファリンとフェノフィブラートを中止。2日後、INRは正常に復した。ワルファリンとフェノフィブラートの相互作用を疑い、ワルファリン再開後、14mg/日投与でINR1.8~2.3と安定している所に、フェノフィブラート200mg/日を再投与した。13日後、INRは5.0となり、両薬を中止。その2日後、ワルファリンを10mg/日より再開。14mg/日でINRが治療域近傍になった所で、フェノフィブラート200mg/日を投与した。INRは治療域以上に上昇した。(海外)
<臨床研究報告>9)【クロフィブラートによるワルファリンの作用増強】
健康成人4名にまずワルファリンを静注し、続いて安定した抗凝固効果が数日間持続するまでワルファリンを経口投与した。ワルファリンは単独およびクロフィブラート連続投与中に併用にて投与した。クロフィブラート併用時、ワルファリン単独投与時と比べて、ワルファリンの抗凝固効果は増強された。一方、ワルファリン総血漿中濃度は低下し、遊離ワルファリン濃度には変化がなかった。また、薬剤投与前および投与中にビタミンK1を静注した結果から、クロフィブラートがビタミンK1の代謝回転を変化させる、またはビタミンK依存性凝固因子の合成を低下させる可能性が示唆された。(海外)
<基礎研究報告>10)【クロフィブラートによるワルファリンの作用増強】
イヌ2匹に対しワルファリン2.5mg/日を連日投与した。血中ワルファリン濃度とプロトロンビン時間が安定した後、クロフィブラート250mg/日を併用した。クロフィブラート併用によりワルファリンの血中濃度は上昇し、半減期とプロトロンビン時間は延長し、1匹では重大な出血事故を来たした。この時のプロトロンビン時間は81秒であった。他の1匹ではクロフィブラート投与中止後徐々にワルファリン血中濃度は低下し、プロトロンビン時間は短縮した。
【参考文献】 [文献請求番号]
1)Bjornsson TD et al.: Phamacokinet. Biopharm., 5, 495(1977) WF-1343
2)USP-DI,22nd ed.,Vol.Ⅰ, 265(2002) WF-1157
3)Solomon RB et al.: N.Y. State J. Med., 73, 2002(1973) WF-0757
4)O’Reilly RA et al.: Thromb. Haemost., 27, 309(1972) WF-0751
5)Beringer TR: Postgrad. Med. J., 73, 657(1997) WF-1108
6)Kim KY et al.: Ann. Pharmacother., 37, 212(2003) WF-1492
7)Aldridge MA et al.: Pharmacotherapy, 21, 886(2001) WF-1539
8)Ascah KJ et al.: Ann. Pharmacother., 32, 765(1998) WF-1542
9)Bjornsson TD et al.: Clin. Pharmacol. Ther., 21, 99(1979) WF-0763
10)Hunninghake DB et al.: Arch. Intern. Med., 121, 349(1968) WF-0732