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  • 公開日時 : 2017/10/13 00:00
  • 更新日時 : 2019/05/07 18:02
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【ワーファリン】 Ⅷ‐3.抗てんかん剤との相互作用(適正使用情報別冊(Ⅷ 相互作用各論) 第3版 2019年3月更新第9版)

【ワーファリン】  Ⅷ‐3.抗てんかん剤との相互作用(適正使用情報別冊(Ⅷ 相互作用各論) 第3版 2019年3月更新第9版)
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回答


[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]

〔薬効分類 113 抗てんかん剤〕


[相互作用の内容]

本剤の作用を増強する可能性がある(一過性)。

【バルプロ酸の添付文書に併用注意の記載がある】


[併用時の注意]

併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に注意すること。

また、血液凝固能検査では反映されない出血傾向増大に注意すること。

 

[相互作用の機序]1,2)

バルプロ酸が本剤を血漿蛋白の結合部位から遊離させる。

バルプロ酸が血液凝固因子(血液凝固第Ⅰ因子:フィブリノゲン)の肝生合成を減弱させる2)。

バルプロ酸の血小板凝集抑制作用による。

 

[相互作用の事例]

<症例報告事例>1)【ワルファリンの作用の一過性の増強】

患者は、ワルファリン投与量を2.5mg~5.0mg/日で用量変更し、INR1.8~2.6に維持されていた。バルプロ酸250mg(1日2回)を併用したところ、INRは3.9に上昇した。以前のINR治療域を得るために数度、ワルファリンの投与量調整を行った後、併用前のワルファリン投与量に戻った。このため一時的な相互作用が示唆された。血漿蛋白結合置換の相互作用が想定されるワルファリンとバルプロ酸のアルブミン結合率は90%以上であった。(海外)

 

<症例報告事例>3)【ワルファリンの作用の一過性の増強】

68才女性。統合失調症、分裂感情障害の症例で、深部静脈血栓症を発症して内科に入院した。入院3週前、抗精神病薬投与は中止した。入院後ヘパリンで加療し、次いでワルファリン療法を導入し、2.5mgと5mgの1日交替投与でプロトロンビン時間比1.4~1.6倍、INR1.8~2.6で安定した。この間に患者は妄想的・偏執的となり、精神科受診となった。ワルファリン投与下にバルプロ酸500mg/日とフルフェナジン5mg/日の投与を開始した。バルプロ酸の初回投与後、プロトロンビン時間は2.0倍、INRは3.9となり、ワルファリンを2.5mg隔日投与とした。バルプロ酸投与開始以降、ワルファリンの効果を治療域に保つために何度も用量を変更した。バルプロ酸とフルフェナジンの開始3週後、精神症状が改善し精神科を退院した。その後、ワルファリン2.5mgと5mgの1日交替投与で抗凝固効果は安定した。(海外)

 

【参考文献】    [文献請求番号]
1)Stoysich AM et al.: Pharmacotherapy,    15,    107(1995)    WF-0831
2)USP-DI,22nd ed.,Vol.Ⅰ,        265(2002)    WF-1157
3)Guthrie SK et al.: J. Clin. Psychopharmacol.,     15,    138(1995)    WF-2093
 



[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]

〔薬効分類 113 抗てんかん剤〕


[相互作用の内容]

本剤の作用を増強または減弱する。

また、フェニトイン中毒が起こることがある。

【フェニトイン、ホスフェニトインナトリウム、エトトインの添付文書に併用注意の記載がある】


[併用時の注意]

両剤それぞれの用量調節を要する。

互いにその作用に影響を及ぼすことがあるので、併用はできるだけ避けることが望ましい。

やむを得ず併用する時は、併用開始時および併用中止時は、本剤は頻回な血液凝固能検査、フェニトインは血中濃度モニタリングに基づき用量を調節し、その後も定期的にモニタリングを実施すること。

 

[相互作用の機序]1)

[本剤の作用増強]フェニトインが本剤を血漿蛋白の結合部位から遊離させる。

[本剤の作用減弱]長期併用すると、フェニトインが本剤の肝薬物代謝酵素を誘導する。

[フェニトインの作用増強]本剤がフェニトインの肝代謝を阻害して、フェニトイン中毒が起きることがある。

 

[相互作用の事例]

<症例報告事例>2)【ワルファリンの作用増強】

ワルファリン2.5mgを週に5日、5mgを週に2日服用していた患者に、フェニトイン300mg/日の併用を開始したところ、ワルファリン投与を2.5mg/日に減量したにも関わらず、1ヵ月のうちに、安定していたプロトロンビン時間が約21秒から32秒にまで延長した。フェニトイン投与を中止すると、併用前の処方でプロトロンビン時間をコントロールすることができた。(海外)

 

<症例報告事例>3)【ワルファリンの作用増強、減弱】

70才女性。ワルファリン5mg/日を投与し、プロトロンビン時間比を1.73~2.28に維持していた。フェニトイン200mg/日の併用を開始したところ、ワルファリンを2.5~5mg/日に減量したにも関わらず、併用後6日間にプロトロンビン時間比は2.44まで上昇した。ワルファリン投与量を5mg/日に戻したところ、プロトロンビン時間比は1.39~1.58とフェニトイン投与前値以下に減少した。(海外)

 

<症例報告事例>4)【ワルファリンによるフェニトイン中毒】

59才男性。フェニトイン300mg/日投与を受けていたが、4週間前、ワルファリン投与による治療を開始した。数日前より突然号泣、絶叫するようになり、眼振、失見当識等も発現した。薬物中毒と考えられフェニトインを中止したところ、元の状態に復した。(海外)

 

<症例報告事例>5)【ワルファリンの作用増強】

(症例1)68才男性。ワルファリン3mg/日では過少、3.5mg/日では過剰で、3.25mg/日でプロトロンビン時間25.2~25.6秒にコントロールされていた。フェニトイン400mg/日を投与すると2日目よりプロトロンビン時間が延長した。フェニトイン中止で治療域に復した。その後フェニトイン300mg/日を投与したところプロトロンビン時間は再び延長し、再現性が認められた。

(症例2)42才女性。ワルファリン7mg/日でプロトロンビン時間21.1~22.6秒であったが、フェニトイン300mg/日を併用するとプロトロンビン時間が延長した。フェニトインを中止しても治療域に戻らないので、ビタミンK1を静注した。その後ワルファリン3mg/日でコントロール中にフェニトインを300mg/日で2日、次いで200mg/日で併用したところ、同様にプロトロンビン時間の延長を示した。

(症例3)58才女性。フェニトイン200mg/日併用により、それまで安定していたプロトロンビン時間が延長した。

(症例4)75才男性。フェニトイン300mg/日併用により、それまで安定していたプロトロンビン時間が延長した。

(症例5)63才女性。ワルファリン3.5mg/日でコントロールされていたが、フェニトインを300mg/日で2日、次いで200mg/日で併用したところ、プロトロンビン時間が延長した。

 

<症例報告事例>6)【ワルファリンの作用増強】

74才男性。心原性脳塞栓症によりワルファリン投与を開始した1年後、痙攣発作が出現し、フェニトイン225mg/日の投与を開始した。約1ヵ月後に突然右股関節の可動域制限が出現した。大腿部の筋力低下および感覚障害はなかった。腹部CTで腸腰筋血腫を認め、トロンボテストは0%であった。

 

 

【参考文献】    [文献請求番号]
1)USP-DI,22 nd ed.,Vol.Ⅰ,        265(2002)    WF-1157
2)Nappi JM et al.: Ann. Intern. Med.,     90,    852(1979)    WF-1339
3)Levine M et al.: Clin. Pharm.,    3,    200(1984)    WF-0394
4)Rothermich NO: Lancet,    2,    640(1966)    WF-1340
5)本田 幸治ら: 日本内科学会雑誌,    71,    1114(1982)    WF-0101
6)阪口 真之ら: 神経内科,    53,    572(2000)    WF-1285 
 

 


[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]

〔薬効分類 113 抗てんかん剤〕


[相互作用の内容]

本剤の作用を減弱する。【カルバマゼピンの添付文書に併用注意の記載がある】


[併用時の注意]

本剤投与中の患者にカルバマゼピンを併用する時は、本剤の増量(2倍程度)を要する可能性がある。

併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に注意して本剤の用量を調節すること。

 

 

[相互作用の機序]1)

カルバマゼピンが本剤の肝薬物代謝酵素を誘導する。

カルバマゼピン併用状態で治療目的のワルファリンの投与量が調節されている場合にカルバマゼピンの投与を中止すると、酵素誘導が消去し、ワルファリンが過剰量となることがある3)。

 

[相互作用の事例]

<症例報告事例>2)【ワルファリンの作用減弱】

61才女性。心房細動術後、ワルファリン(12mg/日~15mg/日)とともにカルバマゼピン(300mg/日)などを長期間併用していた。カルバマゼピンのみ投与を中止したところ、およそ1週間後、広範囲に皮下に斑状出血が生じ、安定していたプロトロンビン時間が、12秒から70秒に延長した。ワルファリンを直ちに中止したところ、斑状出血は改善し、プロトロンビン時間も正常に戻った。(海外)

 

<臨床研究報告>1)【ワルファリンの作用減弱】

ワルファリン5mg/日投与によりプロトロンビン時間比が安定している患者に、カルバマゼピンを追加投与(1週目は200mg/日、2週目は400mg/日、3週目は600mg/日)した。併用2週間目にはプロトロンビン時間比は20%から90%に増加、カルバマゼピン中止後2週間まで増加が続いた。また、ワルファリンの血中濃度は併用開始前2.8μg/mLから、カルバマゼピン中止1週間後には1.5μg/mLまで低下した。ワルファリン半減期は、併用によりかなりの減少が認められた。(海外)

 

<症例報告事例>3)【ワルファリンの作用減弱】

56才男性。5年前の大動脈弁置換術後よりワルファリン服用を開始した。三叉神経痛のためカルバマゼピン300~500mgを15ヵ月間投与した。ワルファリン6mg/日でプロトロンビン時間は安定していたが、カルバマゼピンを中止したところプロトロンビン時間の延長を来たした。ワルファリンを4mg/日とし、再びカルバマゼピン300mg/日を開始した。ワルファリン必要量は5.5mg/日へと増加した。(海外)

 

 

【参考文献】    [文献請求番号]
1)Hansen JM et al.: Clin. Pharmacol. Ther.,    12,    539(1971)    WF-0839
2)Denbow CE et al.: South. Med. J.,     83,    981(1990)    WF-0554
3)Ross JR: Br. Med. J.,     280,    1415(1980)    WF-0198

【図表あり】

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