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  • 公開日時 : 2017/10/13 00:00
  • 更新日時 : 2019/04/26 18:00
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【ワーファリン】 Ⅷ‐2.2.バルビツール酸誘導体との相互作用(適正使用情報別冊(Ⅷ 相互作用各論) 第3版 2019年3月更新第9版)

【ワーファリン】  Ⅷ‐2.2.バルビツール酸誘導体との相互作用(適正使用情報別冊(Ⅷ 相互作用各論) 第3版 2019年3月更新第9版)
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回答

[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]

〔薬効分類 112 催眠鎮静剤、抗不安剤〕


〔薬効分類 113 抗てんかん剤〕


[相互作用の内容]

本剤の作用を減弱する。

【アモバルビタール、セコバルビタール、バルビタール、フェノバルビタール、ペントバルビタールの添付文書に併用注意の記載がある】


[併用時の注意]

本剤投与中の患者にバルビツール酸誘導体を追加投与する時は、本剤の増量を要するので、血液凝固能検査により本剤の投与量を変えること。

バルビツール酸誘導体の併用を中止する場合、本剤の作用が増強されるので、血液凝固能検査の値を十分に監視し、必要があれば本剤を減量すること。

 

[相互作用の機序]1)

バルビツール酸誘導体が本剤の肝薬物代謝酵素(CYP2C9)を誘導する。

プリミドンは還元型のフェノバルビタール誘導体であるため、代謝されるとフェノバルビタールに変換されるのでフェノバルビタールと同様のCYP2C9誘導作用を発揮する。

 

[相互作用の事例]

<臨床研究報告>2)【フェノバルビタールによるワルファリンの作用減弱】

ワルファリン長期服用者16名に、フェノバルビタール2mg/kg/日を4週間併用投与した。フェノバルビタール投与によりプロトロンビン時間は短縮し、ワルファリン投与量を増加させたにも関わらず、プロトロンビン時間の短縮は併用期間中持続した。ワルファリン投与量は、併用4週目には5.7mg/日から7.1mg/日へと、約25%の増量を必要とした。また、フェノバルビタールの投与を中止しても、2週間後までプロトロンビン時間を治療域内にコントロールできなかった。(海外)

 

<臨床研究報告>3)【フェノバルビタールによるワルファリンの作用減弱】

健康成人男子10名にて、ワルファリンとフェノバルビタールの相互作用を検討した。第1日、ワルファリン40~60mgを単回経口投与し、投与72時間後までプロトロンビン時間と血漿ワルファリン濃度を測定した。ワルファリン投与72時間後(第4日)より、フェノバルビタール120mg/日を第24日まで21日間連続投与した。第22日(フェノバルビタール投与19日目)、第1日と同量のワルファリンを投与し、投与72時間後までプロトロンビン時間と血漿ワルファリン濃度を検討した。最初のワルファリン投与時に比し、フェノバルビタールの併用により、血漿ワルファリン濃度は有意に低下、ワルファリン半減期は有意に短縮し、プロトロンビン時間も有意に短縮した。フェノバルビタール併用で肝薬物代謝酵素が誘導されるためと推測された。(海外)

 

<臨床研究報告>4)【フェノバルビタールによるワルファリンの作用減弱】

健康成人6名に対しフェノバルビタール90mg/日を連日経口投与した。フェノバルビタール投与開始4週後、8週後にワルファリン50mgを単回投与し、ワルファリン50mg単独単回投与時の凝固活性の変化、ワルファリン体内動態と比較した。フェノバルビタールはワルファリンの抗凝固効果を減弱し、投与19時間後の血中濃度を低下させ、半減期を短縮した。フェノバルビタールのワルファリン効果減弱作用は投与期間依存的に増強され、その機序として薬物代謝酵素誘導が考えられた。(海外)

 

<症例報告事例>5)【バルビタールによるワルファリンの作用減弱】

52才女性。僧帽弁置換術、急性血栓閉塞に対する血栓除去術の既往があり、血栓除去術後、精神科に入院した。抗精神病薬、催眠鎮静薬投与で精神症状は安定していたが、トロンボテストのコントロールは不良であった。約2年後、高度の全身倦怠感、胸内苦悶、呼吸困難を来たした。トロンボテスト値は47.5%で、血栓弁と診断し、再僧帽弁置換術を施行した。摘出弁の両蝶番部に器質化血栓が認められた。本症例では抗凝固療法が不十分だったと思われ、原因として催眠鎮静薬に用いていたバルビタールによるワルファリンの代謝亢進が考えられた。

 

<症例報告事例>6)【セコバルビタール・アモバルビタール合剤によるワルファリンの作用減弱】

55才女性。ワルファリン必要量は180~200mg/日で、180mg/日投与でも血漿ワルファリン濃度は2.2μg/mLであり、一方、ワルファリンのクリアランスは81.8L/日であった。セコバルビタール・アモバルビタール合剤の服用が判明、同剤を中止したところ、ワルファリン必要量は激減した。(海外)

 

<臨床研究報告>7)【アモバルビタール、セコバルビタールによるワルファリンの作用減弱】

(研究1)安定したワルファリン療法施行中の3例に対し、ワルファリン用量は一定のままアモバルビタール200mg/日を投与した。血漿ワルファリン濃度は有意に低下し、トロンボテスト値は上昇した。アモバルビタールは肝酵素を誘導した。

(研究2)安定したワルファリン療法施行中の3例に対し、ワルファリン用量は一定のままセコバルビタール100mg/日を投与した。血漿ワルファリン濃度の有意な低下とトロンボテスト値上昇を示した。しかし、ラットにセコバルビタールを投与しても、肝酵素は変化しなかった。(海外)

 

<臨床研究報告>8)【セクブタバルビタール(本邦販売なし)によるワルファリンの作用減弱】

長期抗凝固療法施行中の12例(フェンプロクモン7例、ワルファリン5例)にセクブタバルビタールを15mg1日4回で1週間、続いて30mg1日4回で2週間併用した。セクブタバルビタール投与開始前の5週間は、フェンプロクモン群は18.8~20.1mg/週、ワルファリン群は36~39mg/週の投与で、プロトロンビン時間は22.2~23.2秒に安定していた。セクブタバルビタール開始1週後、フェンプロクモン群は19.7mg/週、ワルファリン群は39mg/週の投与でプロトロンビン時間は20.2秒となった。セクブタバルビタール開始2週後、3週後には、フェンプロクモンは21.4mg/週、22.7mg/週、ワルファリンは44mg/週、46mg/週へと増量したにも関わらず、プロトロンビン時間は18.9秒、16.9秒へと短縮した。セクブタバルビタールによる抗凝固効果の減弱は、投与中止後も6週以上残存した。(海外)

 

<基礎研究報告>9)【セコバルビタール、アモバルビタールによるワルファリンの作用減弱】

イヌに対しセコバルビタール16mg/kg、アモバルビタール14mg/kgを12日間各々経口投与した(各群2匹)。各薬物の投与前後にワルファリン10mg/kgを経口投与した。セコバルビタール、アモバルビタール投与により、ワルファリンの半減期は著しく短縮した。

 

<臨床研究報告>10)【フェノバルビタール、セコバルビタールによるワルファリンの作用減弱】

健康成人男子1名と心血管系疾患の男性患者16例に、プロトロンビン時間が18~22秒となるようにワルファリンを連続投与した。次いでフェノバルビタール0.1g/日またはセコバルビタール0.1g/日を4週間併用し、続く4週はワルファリン単独投与とした。検討期間中、ワルファリンの維持用量は不変とした。各薬剤に対し無作為に10例を割り付けた。フェノバルビタール投与開始前の4週、投与中の4週、投与終了後の4週の平均プロトロンビン時間は19.6秒、17.0秒、18.4秒であった。セコバルビタール投与開始前の4週、投与中の4週、投与終了後の4週の平均プロトロンビン時間は19.7秒、18.3秒、18.0秒であった。フェノバルビタール、セコバルビタールによりプロトロンビン時間が有意に短縮した。ワルファリンの効果減弱作用は投与開始2週後より現れ、中止3週後まで残存した。(海外)

 

<臨床研究報告>11)【セコバルビタール、アモバルビタールによるワルファリンの作用減弱】

健康成人8名にワルファリン40~60mgを単回経口投与した。次いでセコバルビタール100~200mg/日(平均175mg/日)またはアモバルビタール100~200mg/日(162mg/日)を21日間投与し、投与終了時にワルファリンを再度単回経口投与した。ワルファリンの投与量は1回目と同じ量とした。ワルファリンの半減期/投与63時間後のプロトロンビン時間平均値は、セコバルビタールの投与前後では42.1時間/20.0秒と27.7時間/16.9秒、アモバルビタールの投与前後では46.1時間/20.2秒と32.4時間/16.8秒であった。セコバルビタール、アモバルビタールの投与によりワルファリンの半減期、投与63時間後のプロトロンビン時間の平均値はいずれも有意に短縮した。(海外)

 

【参考文献】    [文献請求番号]
1)USP-DI,22nd ed., Vol.Ⅰ,        265(2002)    WF-1157
2)Robinson DS et al.: J. Pharmacol. Exp. Ther.,    153,    250(1966)    WF-0733
3)MacDonald MG et al.: Clin. Pharmacol. Ther.,    10,    80(1969)    WF-1341
4)Solomon HM et al.: JAMA,    216,    1997(1971)    WF-2046
5)木村 希望ら: 胸部外科,    50,    313(1997)    WF-1546
6)Bentley DP et al.: Br. J. Clin. Pharmacol.,    22,    37(1986)    WF-1761
7)Breckenridge A et al.: Ann. N.Y. Acad. Sci.,    179,    421(1971)    WF-2097
8)Antlitz AM et al.: Curr. Ther. Res.,     10,    70(1968)    WF-0836
9)Hunninghake DB et al.: Arch. Intern. Med.,    121,    349(1968)    WF-0732
10)Udall JA: Am. J. Cardiol.,    35,    67(1975)    WF-0726
11)Robinson DS et al.: Ann. Intern. Med.,    72,    853(1970)    WF-0755

【図表あり】

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