hhcホットライン
(平日9時~18時 土日・祝日9時~17時)
フリーダイヤル0120-419-497
|
医療用医薬品一覧
|
ワルファリン療法での維持量は、個人差が大きく、血液凝固能検査(トロンボテスト、プロトロンビン時間)を行いつつ決定する(Ⅲ-1「ワルファリン療法への導入」の項参照)。
また、目標とする治療域によっても維持量は異なる(各適応疾患の治療域についてはⅢ-7「治療域の設定根拠」の項参照)。
成人の場合1~10mgまでの広範囲にわたるが、一般には1~5mgのことが多い8)。
維持量が9mg以上の場合は、服薬コンプライアンス・アドヒアランス不良などを含むワルファリンレジスタンス(Ⅲ-10「血液凝固能が不安定な時(原因と対応)」の項、Ⅶ-3「耐性(レジスタンス)」の項参照)を疑い、注意深い対応が必要である。
ワルファリンの代謝酵素の一つであるチトクロームP-450(CYP2C9)には遺伝子多型が確認され、ワルファリンの光学異性体S体の代謝能低下に影響することが知られており(Ⅳ-5「代謝」の項参照)2,3)、1mg以下の少量でも治療域に達する可能性がある。一方、ワルファリンが阻害するビタミンK代謝サイクルのビタミンK依存性エポキシドレダクターゼのサブユニット(VKORC1)の遺伝子多型が数種発見されている4)。その一部がワルファリンの抗凝固作用の感受性低下に関与し、維持投与量を増加することが報告5,6,7)され、耐性への関与も考えられている。
つまり、CYP2C9の遺伝子多型の症例では少量で作用が発現し、VKORC1の遺伝子多型の症例では維持量が2倍前後増える可能性が考えられ、維持量の個人差を考慮する場合、遺伝子多型の情報は重要と考えられる。
【参考文献】 [文献請求番号]
1)青﨑 正彦:循環器科, 10, 218(1981) WF-0017
2)Takahashi H et al.: Clin. Pharmacol. Ther., 63, 519(1998) WF-1118
3)Aithal GP et al.: Lancet, 353, 717(1999) WF-1154
4)Rost S et al.: Nature, 427, 537(2004) WF-2220
5)Sconce EA et al.: Blood, 106, 2329(2005) WF-2224
6)Rieder MJ et al.: N. Engl. J. Med., 252, 2285(2005) WF-2247
7)Mushiroda T et al.: J. Hum. Genet., 51, 249(2006) WF-2308
8)市川 創造ら:新薬と臨床, 61, 299(2012) WF-3605
【更新年月】
2021年1月