hhcホットライン (平日9時~18時 土日・祝日9時~17時)
フリーダイヤル0120-419-497
Eisai hhc hotline Product Q&A
キーワードまたは文章で検索できます(200文字以内)
Q&A検索
キーワードの間に半角スペースを入れるとAND検索になります。
キーワードの間に"|"を入れるとOR検索になります。
キーワードの間に" -"を入れるとハイフンの後ろのキーワードを除外して検索します。
Drug Information
使用期限検索
  • 文字サイズ変更
  • S
  • M
  • L
PAGE TOP
  • No : 1389
  • 公開日時 : 2017/10/12 00:00
  • 更新日時 : 2021/03/08 09:50
  • 印刷

【ワーファリン】 III‐1.4.初回投与量1~5mgとした(Daily dose法が推奨される)理由(適正使用情報 改訂版〔本編〕 2020年2月発行)

【ワーファリン】 
 
III‐1.4.初回投与量1~5mgとした(Daily dose法が推奨される)理由(適正使用情報 改訂版〔本編〕 2020年2月発行)
カテゴリー : 

回答

ワーファリンの初回投与量については、医療環境、疾病動向、治療方法などの変化、医学・薬学に関連する科学の進歩があり、初回投与量決定や出血リスクの高い患者などの報告と共に現在の医療実態を踏まえた見直しが必要であった。

第三者機関を通じて「ワーファリン」処方実態調査を実施した結果、初回投与量の選択は概ね1~5mgの範囲が一般的であった。最適な「用法・用量」の設定に関しては、日本血栓止血学会で「用法・用量」の変更案の検討が行われ、同学会からは厚生労働省へ変更の要望書が提出された。2011年12月、用法及び用量の記載内容の一部変更が承認となった。

 

1)初回投与量決定に関連する報告

出血性合併症の発現リスクと早期に効果を得るベネフィットを十分勘案して投与量を決定することが重要である。最近、国内では初回投与量を5mg以下とする報告6,7)が一般的である。 

また、欧米のガイドラインでは、10mg超の大量負荷投与は推奨されていない。この背景としては、大量負荷投与された場合、出血性合併症や皮膚壊死の発現リスクを高める可能性があり、急速導入が必要ない場合やヘパリンを併用できる場合、初回投与量は少量とされている8,9,10)。 

以下に初回投与量を少量とすることを推奨する臨床研究報告を示す。

Harrisonら11)は、Loadingにおける5mgと10mgの比較において、5mgは10mgに比べて過度の抗凝固が生じることが少ない。用量が少ないほど、ワルファリン療法開始後36 時間でのプロテインC減少による潜在的な過凝固状態への進展を避けられると報告している。Crowther ら12)は、10mgのLoadingが4、5 日までにINR 2.0~3.0 に達するのに5mgほど効果的ではないと報告している。Agenoら13)は、出血リスクの高い対象において、低用量のLoadingは過度の抗凝固を減少し、用量調節の回数を少なくして治療目標の規則的な到達を得たとしている。

 

2)出血リスクの高い患者に関連する報告

医学・薬学に関連する科学の進歩に伴い、出血リスクの高い患者の存在が認められ、初回投与量を一律に多くすると、一部の患者では過剰投与となる可能性が明らかになってきており、初回投与量を慎重に決定する必要がある。以下に出血リスクの高い患者の存在が認められていることを示唆する研究報告の要約を示す。これらの報告から初回投与量は5mg以下が推奨される。

Shepherdら14)は、高齢者の薬物動態を検討し、若年者(20~40 歳)に比べ、高齢者(65~94歳)での血漿クリアランスが有意に低下することを報告している。続いて、Gurwitz ら15)は、ワルファリンの投与量が高齢者で減少することを示した。さらに、Garcia ら16)は、経験的な初期用量である5mg/日は、高齢者の多くで抗凝固効果過剰となる可能性があり、高齢者においては低用量から開始すべきと報告している。

ワルファリン投与初期にヘパリンを併用することは、ワルファリンの効果の発現が遅れることをカバーするだけでなく、プロテインCの急速な低下による血栓形成の危険を避ける意義もある。


 
【参考文献】    [文献請求番号]
1)青﨑 正彦ら(前川 正ら監修):ワーファリン, Ⅳ.投与の実際(メディカルジャーナル社、東京),    55(1998)    WF-2253
2)中村 和男ら: 病院薬学,    19,    34(1993)    WF-0781
3)岩出 和徳ら: 検査と技術,    33,    731(2005)    WF-2272
4)小野 歩ら: 日本医事新報,    4252,    14(2005)    WF-2184
5)Aithal GP et al.: Lancet,    353,    717(1999)    WF-1154
6)笠井 宏樹ら: 日本血栓止血学会誌,    19,    183(2008)    WF-3136
7)矢坂 正弘: 治療学,    43,    18(2009)    WF-3142
8)Ansell J et al.: Chest,    133,    160S(2008)    WF-3000
9)Hirsh J et al.: Circulation,    107,    1692(2003)    WF-1665
10)Baglin TP et al.: Br. J. Haematol.,    132,    277(2005)    WF-2269
11)Harrison L et al.: Ann. Intern. Med.,    126,    133(1997)    WF-3030
12)Crowther MA et al.: Arch. Intern. Med.,    159,    46(1999)    WF-3031
13)Ageno W et al. Am. J. Cardiol.,    88,    40(2001)    WF-3032
14)Shepherd AM et al.: Br. J. Clin. Pharmacol.,    4,    315(1977)    WF-3159
15)Gurwitz JH et al.: Ann. Intern. Med.,    116,    901(1992)    WF-0746
16)Garcia D et al. Chest,    127,    2049(2005)    WF-3034

【図表あり】
 
【更新年月】
2021年1月
 

アンケート:ご意見をお聞かせください