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  • No : 1383
  • 公開日時 : 2017/10/11 00:00
  • 更新日時 : 2021/03/18 11:25
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【ワーファリン】 II‐6.1.静脈血栓症(適正使用情報 改訂版〔本編〕 2020年2月発行)

【ワーファリン】 
 
II‐6.1.静脈血栓症(適正使用情報 改訂版〔本編〕 2020年2月発行)
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回答

静脈血栓塞栓症は、1856年にVirchowが提唱した①血流の停滞、②静脈内皮障害、③血液凝固能の亢進の3徴の概念が該当する静脈の血栓形成による病態である。静脈血栓塞栓症では、臨床的に深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症が重要であり、一連の疾患として密接に関連している。例えば深部静脈血栓症が形成されるとその血栓が血流を飛来し、右心を経由し、肺動脈を塞ぐことで肺血栓塞栓症を発現する。肺血栓塞栓症の予防には深部静脈の血栓への対応が必要であり、常に一連の疾患として診断、治療、予防を考慮することが重要となる。


・肺血栓塞栓症の分類

肺血栓塞栓症は、急速に発現する致死的な急性肺血栓塞栓症、器質化血栓による肺動脈の慢性的な閉塞により生じる慢性肺血栓塞栓症がある。慢性肺血栓塞栓症に急性肺血栓塞栓症の病態が加わり、急性増悪する場合(acute on chronic)もある。急性肺血栓塞栓症の重症度は、致死性や予後に関わる血行動態の状態、心エコー上の右心負荷の有無により判断される。


・静脈血栓症の誘発因子の把握

静脈血栓症の誘発因子、危険因子を把握することが重要であり、個々の危険因子の強度、複数の危険因子の存在、危険因子の時間的な存続状況などが、急性期以降の治療・予防の選択の際に考慮される。


・ワルファリンによる抗凝固療法

急性肺血栓塞栓症では急性期の救急管理・処置・治療から、抗凝固療法としてはヘパリン等が使用される。ワルファリンはヘパリンに引き続き、長期治療・再発予防に向けて使用されるのが一般的である。慢性肺血栓塞栓症、深部静脈血栓症に対しても治療・予防の目的で使用される。


・静脈血栓塞栓症に対する抗凝固療法の継続期間

危険因子の時間的な存続状況は、抗凝固療法の継続期間と関連が大きい。例えば、手術、血管造影、外傷、薬物などの一過性の危険因子では3~6ヵ月、悪性疾患、肥満、持続する仰臥などの持続的危険因子では因子の消失まで、先天性凝固能異常などの永続的な危険因子では半永久的、ワルファリン中止例での静脈血栓症の再発では半永久的、明らかな危険因子のない特発性(初発)の場合は6ヵ月以上といった期間の妥当性の検討が必要である。

 

・静脈血栓塞栓症に対する抗凝固療法の治療強度

ワルファリンの治療域は海外ではINR 2~3が一般的であるが、日本のガイドラインでは1.5-2.5であり、日本での臨床的な経験から低目に設定する傾向が反映されている。PREVENT1)では特発性静脈血栓塞栓症の再発予防のため3ヵ月以降のINR 1.5-2.0の低強度ワルファリンの長期療法は治療中止に比べ、有効性を示した。ELATE2)では低強度群(目標INR 1.6-1.9)に対して、標準強度群(目標INR 2.0-3.0)が重大な出血リスクは変わらず、有意な再発抑制効果を示した。


・静脈血栓塞栓症のガイドライン

静脈血栓塞栓症のガイドラインとして「肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン作成委員会のガイドライン」3)や「肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断・治療・予防に関するガイドライン 」(2009年改訂版)4)を参考とする。

 

 

【参考文献】    [文献請求番号]

1)Ridker P.M. et al.: N.Engl.J.Med.,     348,     1425(2003)    WF-1594

2)Kearon C. et al.: N.Engl.J.Med.,     349,     631(2003)    WF-1607

3)肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)

予防ガイドライン「総説」    ,    3(2004)    WF-2230

4)安藤 太三ら: Circ.J.,     68,     1135(2004)    WF-2228

 

【更新年月】

2021年1月

 

 

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