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医療用医薬品一覧
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1.消化器内視鏡
「抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン」(2012)1)、追補版(2017)2)が参考となる。出血リスクについては消化器内視鏡検査・治療を通常消化器内視鏡,内視鏡的粘膜生検,出血低危険度の消化器内視鏡,出血高危険度の消化器内視鏡に分類している(表1)。出血高危険度など手技毎にまとめられているが、処置の範囲や部位などによりリスクが異なる点なども考慮する必要がある。一方、血栓塞栓症リスクについては、休薬による血栓塞栓症の誘発に配慮し、抗凝固療法の対象患者は全例を高危険群としての対応が望ましいとしている。
生検や通常及び出血低危険度の消化器内視鏡では治療域での継続が示され、出血高危険度の場合は治療域での継続、ヘパリン置換、適応の範囲でDOAC(direct oral anticoagulant)への一時的変更が示された。ヘパリン置換では出血リスクのみ増加する可能性に注意する2)。
表1.出血危険度による消化器内視鏡の分類
1)大腸ポリペクトミー
OBS 国内では、砂川ら(1998)3)は、ワルファリン療法中の大腸ポリペクトミー8例の集積からワルファリン投与中止後ヘパリンのブリッジングで施行した6例とワルファリン継続下で施行した2例を検討した。
OBS さらに、砂川ら(2002)4)は19例を集積し、INR≧1.5の14例ではワルファリン投与中止後ヘパリンのブリッジングで施行した2例にそれぞれ術後出血(クリッピングで対処)と脳塞栓症を認めた。INR<1.5の5例中3例ではワルファリンを中止し、2例ではワルファリン継続下で施行した。術後出血のコントロールは可能だが、脳塞栓症への慎重な対応が必要としている。
OBS Friedlandら(2009)5)は、大腸内視鏡的ポリペクトミーを施行した抗凝固療法施行中の患者123例225手技(切除数)をレトロスペクティブに検討した。手技36時間前までワルファリンを継続、その後清澄流動食を開始し清澄流動食使用中はワルファリンを休薬とし、ポリープが1cm以内の場合は手技を実施した。1cm超の場合はワルファリン中止して再度日程を調整して手技を実施した。大出血発生率は1例(0.8%)で、6mm、8mm、12mmの管状腺腫を除去し術後に大出血を発症した。治療を要さない軽微な出血(自覚的鮮血便) は2例(1.6%)で認め、血栓塞栓症発症はなく、安全に施行できた。なお、ポリープは悪性腫瘍70%、良性20%、不明10%であった。
OBS Lukensら(2013)6)は、ワルファリン投与中の大腸内視鏡的ポリペクトミーの術後出血についてレトロスペクティブに検討した。ワルファリンを休薬してINRが1.5以下になってから手技を施行し、術後ワルファリン投与を再開した105例で、再開は術後7日以内が70例(66.7%)を占めた。有意な術後出血は1例(0.95%)で、手技後4週までに血栓塞栓性合併症はなかった。
RCT Horiuchiら(2014)7)は、ワルファリン療法継続下の大腸ポリペクトミーにおいてコールドスネア・ポリペクトミー(Cold法)と従来法ポリペクトミーで術後出血の発生率をプロスペクティブな無作為割付による比較検討を行い、コールドスネア・ポリペクトミーはワルファリン継続下の小型大腸ポリープの切除でも術後出血などの出血リスクを減少することを示した。
【血栓塞栓症イベント】
Case 心房細動、大腸ポリペクトミーのためのワルファリン療法中断で血栓塞栓症を繰り返し発症した74才の日本人男性の症例報告(2001)8)がある。
2)消化器内視鏡関連の検討
Review 内視鏡治療での抗凝固薬、抗血小板薬の休薬方法の報告(2010)9)がある。
2.腹腔鏡下胆嚢摘出術
腹腔鏡下胆嚢摘出術でのヘパリンなどのブリッジングで周術期管理の報告がある。
OBS 国内の観察研究として、谷口ら(1998)10)は、人工弁置換術後患者に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術について検討し、ヘパリンブリッジなど注意深い抗凝固療法の継続で安全に実施できることを報告した。
OBS Ercanら(2010)11)は、プロスペクティブなコホート研究として、長期ワルファリン療法中の待機的腹腔鏡下胆嚢摘出術施行の術後出血を検討した。予期した以上に術後出血が多く、一般的な検査指標では予測できないと報告した。
Case 国内の症例報告として、Yoshidaら(1998)12)は、ワルファリン療法患者の腹腔鏡下胆嚢摘除術をヘパリンブリッジにて施行した3例を報告した。
Case 村上ら(2015)13)は、集積報告として、抗血栓療法中の腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した3例のワルファリン投与を含む結果について報告した。
【血栓塞栓症イベント】
Case 血栓予防措置を行ったにもかかわらず、腹腔鏡下胆嚢摘出術後に広範な肺塞栓症を発症した63才の日本人女性の症例報告(2007)14)がある。
Case 国内で腹腔鏡下脾摘術施行後に22例中12例で門脈・脾静脈血栓症を来たし、抗凝固療法を実施したとの報告(2005)15)がある。
【参考文献】 [文献請求番号]
1)藤本 一真ら: Gastroenterol.Endosc., 54, 2075 (2012) WF-3695
2)加藤 元嗣 et al.: 日本消化器内視鏡学会雑誌, 59, 1549 (2017) WF-4529
3)砂川 隆ら: Gastroenterol.Endosc., 40, 2159 (1998) WF-1561
4)砂川 隆ら: 日本大腸肛門病学会雑誌, 55, 536 (2002) WF-1572
5)Friedland,S. et al.: World J.Gastroenterol., 15, 1973 (2009) WF-3015
6)Lukens,F.J. et al.: J.Clin.Gastroenterol., 47, 290 (2013) WF-3889
7)Horiuchi,A. et al.: Gastrointest.Endosc., 79, 417 (2014) WF-4267
8)森田 曜ら: 鳥取医学雑誌, 29, 76 (2001) WF-1562
9)間部 克裕ら: Gastroenterol.Endosc., 52, 2976 (2010) WF-3404
10)谷口 英治ら: 日本外科系連合学会誌, 23, 209 (1998) WF-1139
11)Ercan,M. et al.: Langenbecks Arch.Surg., 395, 247 (2010) WF-3232
12)Yoshida,T. et al.: Surg.Today, 28, 308 (1998) WF-1113
13)村上 昌裕ら: 日本消化器外科学会雑誌, 48, 723 (2015) WF-4585
14)川口 康夫ら: 日本内視鏡外科学会雑誌, 12, 203 (2007) WF-2540
15)Ikeda,M. et al.: Ann.Surg., 241, 208 (2005) WF-2013