• No : 736
  • 公開日時 : 2018/07/20 00:00
  • 更新日時 : 2022/12/01 10:24
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【ナーブロック】 重要な基本的注意(定期検査の実施など)の内容について教えてください。

【ナーブロック】 
 
重要な基本的注意(定期検査の実施など)の内容について教えてください。
 
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回答

電子添文及びインタビューフォームには、重要な基本的注意として以下の記載があります。
 
(1)本剤の投与に際しては、患者又はそれに代わる適切な者に、次の事項について文書を用いてよく説明し、文書による同意を得た後、使用する。(引用1)
1)本剤の有効成分は、ボツリヌス菌によって産生されるB型ボツリヌス毒素である。また本剤は、米国産ウシ由来成分(心臓)を製造工程に使用しており、本剤による伝達性海綿状脳症伝播の理論的リスクを完全には否定できないため、治療上の有益性と危険性を十分に検討した上で本剤を投与すること。(引用2)
2)本剤の投与は対症療法であり、効果は通常3~4ヵ月で消失し、投与を繰り返す必要がある。(引用3)
3)本剤の投与を長期間繰り返した場合、中和抗体の産生により、効果が認められなくなることがある。(引用4)
4)日常生活を制限されていた患者は、本剤投与後、過度の筋収縮を伴う労作を避け、活動を徐々に再開する。(引用5)
5)特に本剤投与後1~2週間は、嚥下障害、声質の変化、息苦しい等の発現に留意するとともに、発現が認められた場合には、直ちに医師の診察を受ける。[1.3、11.1.2参照]注(引用6)
6)本剤投与後、姿勢の変化により今まで緊張していなかった筋が緊張することがある。(引用7)
7)本剤投与後、3~4ヵ月の間に呼吸困難、脱力感等の体調の変化があらわれた場合には、直ちに医師の診察を受ける。(引用8)
8)男性及び妊娠する可能性のある女性においては、投与中は避妊を考慮する。妊娠中の安全性は確立しておらず、類薬で胎児の死亡が認められている。[9.4、9.5、15.2.1参照](引用9)
9)他の医療施設でボツリヌス毒素の投与を受けている場合には、治療対象疾患及び投与日を必ず申し出る。(引用10)
 
(2)本剤投与後、抗体が産生されることにより、耐性が生じるおそれがある。効果の減弱がみられる場合には、抗体検査の実施を考慮し、抗体が産生された場合には、投与を中止すること。(引用11)
 
(3)ボツリヌス毒素の投与により、投与筋以外の遠隔筋に対する影響と考えられる副作用があらわれることがあり、嚥下障害、肺炎、重度の衰弱等に伴う死亡例も報告されている。[9.1.1、13.1、15.2.2参照](引用12)
 
(4)本剤投与後、脱力感、筋力低下、めまい、視力低下があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。(引用13)
 
(5)本剤はできるだけ少量(承認用量の下限を参照)から投与を開始することが望ましい。なお、疾患の重症度に応じて高い用量を投与しても、効果は期待できない場合がある。(引用14)
 
(6)本剤ではA型ボツリヌス毒素製剤と比べ口渇・口内乾燥及び嚥下障害があらわれる割合が高いため、これらの症状の発現に留意するとともに、患者に対してもこのような症状が認められた場合には直ちに医師の診察を受けるよう指導すること。(引用15)
 
注:文中の番号は電子添文の各項目を示しています。
 
【関連情報】
(解説)
(1)ボツリヌス毒素製剤である本剤の投与に際しては、患者又はそれに代わる適切な者に本剤に関する次の重要事項について、文書を用いて十分に説明し、文書による同意を得た上で使用することとした。
1)ボツリヌス菌が産生するB型ボツリヌス毒素が本剤の有効成分であること(生物由来製品であること)、ボツリヌス菌そのものを注射するわけではなく、ボツリヌス菌に感染する危険性はないことを説明すること。また、米国産ウシ由来成分(心臓)を製造工程に使用しており、本剤による伝達性海綿状脳症伝播の理論的リスクを完全には否定できないことから、治療上の有益性と危険性を十分に検討した上で本剤を投与することを説明すること。
2)本剤が痙性斜頸の根治療法ではなく対症療法であること、また臨床試験の結果より期待される効果の持続期間が通常3~4ヵ月であり、治療効果を維持させるためには投与を繰り返す必要があることを説明すること。
3)国内外の臨床試験(反復投与試験)において、B型ボツリヌス毒素に対する中和抗体の産生が確認されていること、また、中和抗体の産生と効果の減弱あるいは消失は必ずしも一致しないものの、中和抗体の産生が治療効果の減弱あるいは消失原因の一つと考えられることを説明すること。
4)安静に生活するなど日常生活を制限されていた患者において、本剤投与により日常生活の回復が認められた場合、急激に過度の筋収縮を伴う労作等を再開することで予期しない支障をきたすおそれがあるため、徐々に活動を再開することを説明すること。
5)国内外の臨床試験(長期投与試験)の結果から、本剤投与後、特に1~2週間は嚥下障害、声質の変化、息苦しい等の発現が多いことが知られている。これら症状の発現が認められた場合には、症状が軽度であっても呼吸困難等の重篤な症状に至るおそれがあることから、発現が認められた場合には、直ちに医師の診察を受ける必要があることを説明すること。
6)本剤の投与により投与筋の筋緊張が低下し、姿勢の変化とともに今まで緊張していなかった筋肉が緊張するおそれがあることを説明すること。
7)本剤の効果は通常3~4ヵ月であるため、本剤投与後1~2週間の体調の変化だけではなく、効果の持続期間中は継続して体調の変化に留意する必要がある。特に呼吸困難や脱力感等の体調の変化が認められた場合には、投与から3~4ヵ月後に症状が認められた場合であっても、重篤な症状に至るおそれがあることから、直ちに医師の診察を受ける必要があることを説明すること。
8)承認時までに実施された国内外の臨床試験において、妊婦及び産婦を対象とした試験は実施されておらず、本剤の安全性が確立していないこと、本薬では認められていないものの、類薬(A型ボツリヌス毒素)の動物実験(ラット)において精巣変性が認められており、男性の避妊が設定されていることから、男性及び妊娠する可能性のある女性に対し、投与中は避妊を考慮する必要があることを説明すること。
9)他の医療機関でボツリヌス毒素の投与を受けている場合、先に投与された他のボツリヌス毒素の効果が消失していることを確認した上で本剤を投与する必要がある。本剤の投与前に、先に投与された他のボツリヌス毒素の治療対象疾患及び投与日を必ず申し出る必要があることを説明すること。(引用16)
 
(2)本剤投与後、抗体が産生されることにより耐性が生じるおそれがあり、効果の減弱が認められることがあるため、本項を設定した。抗体の産生と効果の減弱は必ずしも一致しないものの、このような場合には、抗体検査の実施を考慮し、抗体産生が認められた場合には必要以上に本剤を投与しないよう投与を中止する必要がある。(引用16)
 
(3)外国市販後において、毒素型を問わずボツリヌス毒素製剤の投与により投与筋以外の遠隔筋に対する影響と考えられる副作用が報告されており、死亡例も報告されているため、本項を設定した。本剤投与後は投与筋以外の遠隔筋に対する影響についても留意し、注意深く観察する必要がある。
※「遠隔筋に対する影響」とは、ボツリヌス毒素の投与後に、投与部位から離れた部位にボツリヌス毒素による作用メカニズムと一致する反応(筋弛緩作用等)が認められた状態を示す。(引用16)
 
(4)本剤投与後、脱力感、筋力低下、めまい、視力低下といった副作用があらわれることがあるので、本項を設定した。自動車等の運転や危険を伴う機械を操作する際には重大な事故に至らないよう特に注意するよう指導する必要がある。(引用16)
 
(5)疾患の重症度に応じて高い用量を投与しても効果が期待できない場合があるので、本項を設定した。副作用の発現リスクを軽減させるためにも本剤はできるだけ少量(承認用量の下限を参照)から投与を開始することが望ましい。(引用16)
 
(6)本剤では他のボツリヌス毒素製剤(A型ボツリヌス毒素製剤)と比べ、口渇・口内乾燥及び嚥下障害があらわれる割合が高いため、本項を設定した。他のボツリヌス毒素製剤(A型ボツリヌス毒素製剤)から本剤への切り替えに際しては、これら副作用の発現に留意する必要がある。また、患者に対しても、口渇・口内乾燥及び嚥下障害が認められた場合には直ちに医師の診察を受けるよう指導が必要である。(引用16)
 

【引用】
1)ナーブロック筋注2500単位電子添文 2021年2月改訂(第1版) 8.重要な基本的注意 8.1
2)ナーブロック筋注2500単位電子添文 2021年2月改訂(第1版) 8.重要な基本的注意 8.1.1
3)ナーブロック筋注2500単位電子添文 2021年2月改訂(第1版) 8.重要な基本的注意 8.1.2
4)ナーブロック筋注2500単位電子添文 2021年2月改訂(第1版) 8.重要な基本的注意 8.1.3
5)ナーブロック筋注2500単位電子添文 2021年2月改訂(第1版) 8.重要な基本的注意 8.1.4
6)ナーブロック筋注2500単位電子添文 2021年2月改訂(第1版) 8.重要な基本的注意 8.1.5
7)ナーブロック筋注2500単位電子添文 2021年2月改訂(第1版) 8.重要な基本的注意 8.1.6
8)ナーブロック筋注2500単位電子添文 2021年2月改訂(第1版) 8.重要な基本的注意 8.1.7
9)ナーブロック筋注2500単位電子添文 2021年2月改訂(第1版) 8.重要な基本的注意 8.1.8
10)ナーブロック筋注2500単位電子添文 2021年2月改訂(第1版) 8.重要な基本的注意 8.1.9
11)ナーブロック筋注2500単位電子添文 2021年2月改訂(第1版) 8.重要な基本的注意 8.2
12)ナーブロック筋注2500単位電子添文 2021年2月改訂(第1版) 8.重要な基本的注意 8.3
13)ナーブロック筋注2500単位電子添文 2021年2月改訂(第1版) 8.重要な基本的注意 8.4
14)ナーブロック筋注2500単位電子添文 2021年2月改訂(第1版) 8.重要な基本的注意 8.5
15)ナーブロック筋注2500単位電子添文 2021年2月改訂(第1版) 8.重要な基本的注意 8.6
16)ナーブロック筋注2500単位インタビューフォーム 2021年2月改訂(第6版) VIII.安全性(使用上の注意等)に関する項目 5.重要な基本的注意とその理由
 
【更新年月】
2022年9月