電子添文及びインタビューフォームには、腎機能障害の患者様に関する以下の記載があります。
■腎障害又はその既往歴のある患者
副作用が強くあらわれることがある。(引用1)
【関連情報】
(解説)
重篤な腎障害患者は薬物排泄機能が著しく低下している。また、腎でのプロスタグランジン合成阻害作用による腎機能低下や、過敏反応による腎障害があらわれた場合、重篤な転帰をとる可能性がある。腎障害のある患者でクレアチニンクリアランスが50mL/分以下のときには投与を避ける。心筋梗塞の発症後の低用量アスピリン療法において、腎不全を伴った場合、アスピリン使用量について次の報告がある。(引用2、3、4)
[糸球体ろ過値(GFR)の正常限界は70~130mL/分]
1)GFRが50mL/分以上又は血清クレアチニン値2.0mg/100mL以下の腎不全例では、心筋梗塞後に使用される通常量でよい。
2)中等度の腎機能障害例(GFR25~49mL/分又は血清クレアチニン値2~5mg/100mL)では、少量アスピリンに問題なし。ただし通常量使用はしばしば障害を進行させるので注意が必要である。
3)高度の腎機能障害では、投与を避ける。
腎でのプロスタグランジン合成阻害作用により、水及びNaの貯留が起こり、浮腫、血圧上昇を呈する傾向がある。また、心不全などレニン-アンジオテンシン系の活性が亢進している状態では、アンジオテンシンIIの血管収縮作用に対しプロスタグランジンの血管拡張作用が拮抗的に働き、循環系のバランスを保っているが、プロスタグランジン合成阻害によりこのバランスが損なわれる可能性がある。
【引用】
1)バファリン配合錠A81電子添文 2022年5月改訂(第3版) 9.特定の背景を有する患者に関する注意 9.2腎機能障害患者 9.2.1腎障害又はその既往歴のある患者
2)バファリン配合錠A81インタビューフォーム 2022年5月改訂(改訂第7版) VIII.安全性(使用上の注意等)に関する項目 6.特定の背景を有する患者に関する注意 (2)腎機能障害患者
3)日本薬局方・医薬品情報(JPDI) じほう, 1996: 17-21 [BF-0249]
4)鈴木洋通: 今月の治療 1998 ; 6 (11) : 1229-1232 [BF-0205]
【更新年月】
2022年6月