製品情報概要には、臨床成績に関する以下の記載があります。
<乳癌>
1.国内第II相試験(国内221試験)(引用1、2)
●試験概要

●有効性
腫瘍縮小効果:奏効率(主要評価項目)、病勢コントロール率及び臨床的有用率(その他の評価項目)
奏効率は21.3%(95%信頼区間:12.9, 31.8)、病勢コントロール率は58.8%(95%信頼区間:47.2, 69.9)、臨床的有用率は27.5%(95%信頼区間:18.1, 38.6)でした。
●副作用(主要評価項目)
副作用は安全性解析対象集団の81例全例に認められ、そのうちGrade3以上は77例(95.1%)でした。主な副作用は、白血球減少症及び好中球減少症各80例(98.8%)、脱毛症47例(58.0%)、リンパ球減少症44例(54.3%)でした。重篤な副作用は8例(9.9%)に認められ、主なものは食欲減退、口内炎及び感染各2例でした。投与中止に至った副作用は5例(6.2%)に認められ、食欲減退、間質性肺疾患、末梢性感覚ニューロパチー、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加、味覚異常各1例などでした。
なお、死亡に至った副作用は認められませんでした。
なお、本試験において末梢神経障害は24.7%に認められましたが、その種類は、末梢性ニューロパチー、錯感覚、末梢性運動ニューロパチー、末梢性感覚ニューロパチー、多発ニューロパチー、末梢性感覚運動ニューロパチーに細分されています。
2.外国第III相試験(外国305試験)(海外データ)(引用3、4、5)
●試験概要
●有効性
全生存期間※(主要評価項目)(データカットオフ日:2009年5月12日)
全生存期間の中央値(最終解析時)は、ハラヴェン群399.0日、主治医選択治療群324.0日であり、主治医選択治療群に比べハラヴェン群で有意な延長が認められ、優越性が検証されました(p=0.041)。また、1年生存率は、ハラヴェン群53.9%(95%信頼区間:49.2, 58.6)、主治医選択治療群43.7%(95%信頼区間:37.1, 50.2)でした。
※検証的解析項目
●副作用
副作用は、安全性解析対象症例において、ハラヴェン群94.2%(474/503例)、主治医選択治療群77.7%(192/247例)に報告されました。そのうち、Grade3以上は、それぞれ56.9%(286例)、35.6%(88例)でした。
主な副作用はハラヴェン群で好中球減少症50.5%(254例)、脱毛症44.1%(222例)、悪心29.8%(150例)、疲労25.2%(127例)、主治医選択治療群で好中球減少症27.5%(68例)、悪心23.1%(57例)、無力症16.6%(41例)、貧血16.2%(40例)等でした。
重篤な副作用はハラヴェン群11.7%(59例)、主治医選択治療群6.9%(17例)に認められ、主なものはハラヴェン群で発熱性好中球減少症4.0%(20例)、好中球減少症1.8%(9例)、主治医選択治療群で無力症1.6%(4例)、下痢1.2%(3例)等でした。
投与中止に至った副作用はハラヴェン群8.9%(45例)、主治医選択治療群6.9%(17例)に認められ、主なものはハラヴェン群で末梢性感覚ニューロパチー2.2%(11例)、末梢性ニューロパチー1.4%(7例)、末梢性運動ニューロパチー1.2%(6例)、主治医選択治療群で手掌・足底発赤知覚不全症候群1.6%(4例)、無力症0.8%(2例)等でした。
なお、死亡に至った副作用はハラヴェン群で呼吸困難2例、発熱性好中球減少症、気管支炎、肺感染各1例の計5例、主治医選択治療群で発熱性好中球減少症、アスペルギルス症が各1例に認められました。
<悪性軟部腫瘍>
1. ダカルバジン※1対照外国第III相試験(外国309試験)(海外データ)(引用6、7、8)

●有効性
全生存期間(主要評価項目、検証的解析項目)
全生存期間の中央値(最終解析時)は、ハラヴェン群13.5ヵ月、ダカルバジン群11.5ヵ月であり、ダカルバジン群に比べてハラヴェン群で有意な延長が認められ、ダカルバジン群に対する優越性が検証されました[ハザード比(95%信頼区間):0.768(0.618,0.954)、p=0.0169、層別log-rank検定]。また、1年生存率は、ハラヴェン群54.8%(95%信頼区間:48.0, 61.1)、ダカルバジン群47.5%(95%信頼区間:40.7, 54.0)でした。
●副作用
副作用は、安全性解析対象症例において、ハラヴェン群92.9%(210/226例)、ダカルバジン群90.6%(203/224例)に報告されました。そのうちGrade3以上は、それぞれ54.4%(123/226例)、40.2%(90/224例)でした。
主な副作用はハラヴェン群で好中球減少症42.5%(96例)、疲労36.7%(83例)、脱毛症34.5%(78例)、悪心33.2%(75例)、ダカルバジン群で悪心45.1%(101例)、疲労33.9%(76例)等でした。
重篤な副作用はハラヴェン群で13.7%(31例)、ダカルバジン群で13.8%(31例)に認められました。主なものは、ハラヴェン群で好中球減少症4.9%(11例)、貧血及び発熱各1.8%(4例)、ダカルバジン群で血小板減少症5.8%(13例)、好中球減少症4.5%(10例)、貧血3.1%(7例)等でした。
投与中止に至った副作用はハラヴェン群で4.0%(9例)、ダカルバジン群で3.6%(8例)に認められました。主なものは、ハラヴェン群で血小板減少症及び疲労各2例、ダカルバジン群で血小板減少症3例、疲労2例等でした。
死亡に至った副作用はハラヴェン群で好中球減少性敗血症が1例認められました。
2.国内第II相試験(国内217試験)(引用9、10)
●試験概要
●有効性
12週時無増悪生存率(主要評価項目)
12週時無増悪生存率は、脂肪肉腫/平滑筋肉腫で60.0%(両側90%信頼区間:44.7, 74.0)、その他の悪性軟部腫瘍で31.3%(両側90%信頼区間:13.2, 54.8)でした。脂肪肉腫及び平滑筋肉腫では両側90%信頼区間の下限値が事前に設定した閾値である20%を超えましたが(p<0.0001)、その他の悪性軟部腫瘍では両側90%信頼区間の下限値が事前に設定した閾値である15%を超えませんでした(p=0.0790)。
●副作用
安全性解析対象症例51例全例に副作用が報告され、そのうちGrade3以上は、脂肪肉腫及び平滑筋肉腫で94.3%(33/35例)、その他の悪性軟部腫瘍で93.8%(15/16例)でした。
主な副作用は脂肪肉腫及び平滑筋肉腫で白血球減少症及び好中球減少症100%(各35例)、リンパ球減少症82.9%(29例)、貧血48.6%(17例)、発熱42.9%(15例)、その他の悪性軟部腫瘍で好中球減少症87.5%(14例)、白血球減少症81.3%(13例)、リンパ球減少症25.0%(4例)等でした。
重篤な副作用は、脂肪肉腫及び平滑筋肉腫で14.3%(5例)に認められ、発熱性好中球減少症、肝出血/腫瘍出血、感染性胸水、レンサ球菌感染、肺塞栓症が各1例でした。
投与中止に至った副作用は、脂肪肉腫及び平滑筋肉腫で感染性胸水、その他の悪性軟部腫瘍で間質性肺疾患が各1例認められました。
死亡に至った副作用はいずれにも認められませんでした。

【引用】
1)ハラヴェン静注1mg総合製品情報概要 臨床成績(乳癌) 1.国内第II相試験(国内221試験) p15-17 (HAL1009ISG)
2)[承認時評価資料]:進行又は再発乳癌を対象とした臨床第II相試験(国内221試験)[HAL-0058]
3)ハラヴェン静注1mg総合製品情報概要 臨床成績(乳癌) 2.外国第III相試験(外国305試験) p19-23 (HAL1009ISG)
4)[承認時評価資料]:進行又は再発乳癌を対象とした臨床第III相試験(外国305試験)[HAL-0059]
5)Cortes J et al.: Lancet 2011;377: 914-923[HAL-0077](本試験はエーザイ株式会社の支援により実施された。)
6)ハラヴェン静注1mg総合製品情報概要 臨床成績(悪性軟部腫瘍) 1.ダカルバジン対照外国第III相試験(外国309試験) p28-37 (HAL1009ISG)
7)[承認時評価資料]:進行又は再発悪性軟部腫瘍を対象とした臨床第III相試験(外国309試験)[HAL-0343]
8)Schoffski P et al.: Lancet 2016;387: 1629-1637[HAL-0345](本試験はエーザイ株式会社の支援により実施された。)
9)ハラヴェン静注1mg総合製品情報概要 臨床成績(悪性軟部腫瘍) 2.国内第II相試験(国内217試験) p38-43 (HAL1009ISG)
10)[承認時評価資料]:進行又は再発悪性軟部腫瘍を対象とした臨床第II相試験(国内217試験)[HAL-0342]
【更新年月】
2025年2月