モノバクタム系抗生物質製剤のアザクタム(有効成分:アズトレオナム)は、時間依存性の抗菌薬になります。
時間依存性抗菌薬は、血中濃度がMIC※1を上回っている時間(Time above MIC※2)が多いほど効果が高まる特徴があります。(引用1)
1日の中でMIC以上をなるべく持続させるためには、分割頻回投与が望ましいことになります。(引用2)
アザクタムの用法・用量においても、難治性や重症感染症では2~4回の分割投与の記載があります。(引用3)
※1 MIC(最小発育阻止濃度):抗菌力を示す指標で、対象菌の発育を抑制するのに必要な抗菌薬の最小の濃度
※2 Time above MIC:薬剤の血中薬物濃度がMICを超える時間の割合
■用法・用量(引用3)
通常、成人には、1日1~2g(力価)を2回に分けて静脈内注射、点滴静注又は筋肉内注射する。ただし、通常、淋菌感染症及び子宮頸管炎には、1日1回1~2g(力価)を筋肉内注射又は静脈内注射する。
通常、小児には、1日40~80mg(力価)/kgを 2~4 回に分けて静脈内注射又は点滴静注する。
なお、年齢、症状に応じて適宜増減するが、難治性又は重症感染症には、成人では 1日量4 g(力価)まで増量し 2~4回に分けて投与し、小児では 1日量150mg(力価)/kgまで増量し 3~4 回に分けて投与する。
通常、未熟児、新生児には、1 回20mg(力価)/kgを生後3日までは1日2回、4日以降は1日2~3 回静脈内注射又は点滴静注する。
■効能・効果(引用4)
<適応菌種>
本剤に感性の淋菌、髄膜炎菌、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、緑膿菌
<適応症>
敗血症、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、尿道炎、子宮頸管炎、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆?炎、胆管炎、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎、化膿性髄膜炎、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、中耳炎、副鼻腔炎
【作成年月】
2022年11月
KW:抗菌薬適正使用、PK/PD理論、PK-PD最小発育阻止濃度、MIC、時間依存型、濃度依存型、break point、βラクタム