電子添文には、禁忌や特定の背景を有する患者に関する注意に精神疾患の患者の記載はありません。(引用1)
なお、製品情報概要「てんかんと精神症状」には、精神疾患の既往と精神神経系有害事象の発現率に関して以下の記載があります。(引用2、3)
■精神疾患の既往と精神神経系有害事象の発現率[海外データ]<サブグループ解析>
精神疾患のある方に本剤の投与を開始する場合には、患者の状態及び病態の変化を注意深く観察するとともに、患者及びその家族等に精神症状発現の可能性について十分説明を行い、医師と緊密に連絡を取り合うようにしてください。
・試験概要
[目的]
FYDATA(Follow-up of 1Year Data of paTients on perAmpanel)試験は、発作回数(日誌)、有害事象、併用抗てんかん薬の変更、フィコンパ投与量と漸増をべースライン来院時、投与3ヵ月時、投与6ヵ月時、投与12ヵ月時に記録し、実臨床下におけるフィコンパの安全性と有効性を評価するために実施された。また、フィコンパの臨床効果、特定の副作用発現リスクをもたらす患者関連および疾患関連因子を明らかにすることも目的とする。
[対象]
2014年1月~7月にフィコンパ投与を開始した12歳以上の部分てんかん患者のうち、選択/除外基準を満たした464例
選択基準:フィコンパ投与開始前の1年間に部分発作が1回以上認められた患者等
除外基準:データベース閉鎖時点(2015年7月末)で追跡調査期間が1年未満の患者等
[方法]
多施設共同、レトロスペクティブ、1年間観察試験であり、スペインの医療機関18施設から、てんかん専門医が参加し、実環境でのフィコンパの安全性と有効性を評価した。来院時および3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月来院のデータ(発作回数、有害事象、併用抗てんかん薬の変更、フィコンパの投与量と用量漸増等)を患者の診療記録から収集した。
[評価項目]
有効性の主要評価項目:12ヵ月時点で無発作の患者の割合等
安全性の評価項目:3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月時点で有害事象がみとめられた患者の割合、および、3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月時点で有害事象により投与中止に至った患者の割合、精神系併存疾患の既往歴の有無別フィコンパ投与による精神神経系有害事象発現率(サブグループ解析)、増量間隔別のフィコンパ投与による有害事象発現率および精神神経系有害事象発現率(サブグループ解析)
[解析計画]
・すべての統計解析はSPSSバージョン19.0を使用して実施した。有意性の閾値はP<0.05とした。
・有効性解析対象集団:フィコンパ投与開始後12ヵ月間の間に有効性評価項目を1つ以上取得した患者
・有効性の解析方法:LOCF※(last Observation carried forward)法に従って解析した。無発作状態は前回の来院以降に発作が認められなかった場合と定義した。したがって12ヵ月時点での無発作状態は、過去6ヵ月間の無発作と定義される。
・安全性解析対象集団:選択/除外基準を満たしており、フィコンパを1回以上投与した患者全員
・安全性の評価方法:有害事象は診療記録から収集し、治験担当医師が軽度、中等度または重度に分類した。正規分布に従わない量的変数にはMann-WhitneyのU検定を用い、質的変数にはχ2検定を用いた。
※LOCF(Last Observation Carried Forward analysis):欠測データを直近の先行観測値で補完する解析方法
■安全性情報
・その他の有害事象(58例)
身体的攻撃性5例(1.1%)、転倒5例(1.1%)、胃腸障害5例(1.1%)、複視/霧視4例(0.9%)、自殺念慮4例(0.9%)、睡眠障害4例(0.9%)、性障害3例(0.6%)、体重減少3例(0.6%)、錯乱2例(0.4%)、臨床検査異常2例(0.4%)、甲状腺機能低下症、巨赤芽球性貧血(B12関連)、自己攻撃性1例(0.2%)、頬粘膜アフタ性潰瘍1例(0.2%)、脱毛症1例(0.2%)、食欲不振1例(0.2%)、筋拘縮1例(0.2%)、錯感覚1例(0.2%)、言語障害1例(0.2%)、腰痛1例(0.2%)、便秘1例(0.2%)、多幸感1例(0.2%)、行動障害1例(0.2%)、皮膚疾患1例(0.2%)、羞明1例(0.2%)、高血圧1例(0.2%)、頻脈1例(0.2%)、情動不安定1例(0.2%)、衝動性1例(0.2%)、唾液欠乏1例(0.2%)、笑い1例(0.2%)、発汗1例(0,2%)、ぎこちなさ1例(0.2%)
*死亡例を含む重篤な有害事象や投与中止に至った有害事象は文献には記載がされておりません。DIの安全性情報を参照してください。
【引用】
1)フィコンパ錠2mg・4mg・細粒1%電子添文 2024年2月改訂(第5版)
2)フィコンパ錠2mg・錠4mg・細粒1%製品情報概要「てんかんと精神症状」p10(FYC1166BSG)
3)VillanuevaV.et al. Epilepsy Res.126:201-210(2016)[FYC-0117](COI:本論文の著者の一部は、エーザイ株式会社より研究資金の提供を受けた。)
【更新年月】
2024年10月