【ハラヴェン】
肝機能障害を有する患者に投与する場合、用量調節は必要ですか。副作用発現状況を教えてください。
肝機能障害のある患者は「慎重投与」の対象となっています。(引用1)
■ 用量調節
肝機能障害のある患者に投与する場合は、減量を考慮してください。(引用2、3)
肝機能障害のある患者では、エリブリンのAUCが増加し、好中球減少の発現頻度が高くなる傾向があります。(引用1、3)
<肝機能障害のある患者での薬物動態:外国第I相試験(108試験)>
固形がん患者18例を肝機能によって3分類し(正常、軽度肝機能障害:Child-Pugh A、中等度肝機能障害:Child-Pugh B)、それぞれにハラヴェン1.4、1.1または0.7mg/m2を2~5分間かけて静脈内投与したとき、肝機能の低下に伴い、クリアランスの低下、t1/2の延長、投与量で補正したAUCおよびCmaxの増加が認められました。(引用3、4)
(引用2)
(KW:脳症、腹水、血清ビリルビン値、血清アルブミン値、プロトロンビン活性値)
■ 副作用発現状況
<肝機能検査値別のGrade4の好中球減少の発現状況>
国内臨床試験(221試験)および外国臨床試験(201、211、305試験)において、投与前の肝機能検査値で層別してGrade4の好中球減少の発現状況を解析した結果、Grade4の好中球減少の発現は肝機能低下に伴って高くなる傾向がみられました。(引用3)
(KW:総ビリルビン、AST、ALT)
<「肝機能障害あり/なし」※1の患者別の副作用発現状況※2:使用成績調査(乳癌)>
「肝機能障害あり」の患者の副作用発現症例率は、「肝機能障害なし」の患者よりも高くなりました[オッズ比:2.498(95%CI:1.032-6.045、多変量Logistic回帰モデル)]。(引用2、5)
初回投与量が1.4mg/m2の割合は、「肝機能障害なし」が74.2%、「肝機能障害あり」が52.8%で、「肝機能障害あり」では減量して開始している症例が多い結果でした。(引用5)
【引用】
1)ハラヴェン静注1mg添付文書 2016年2月改訂(第6版) 【使用上の注意】 1.慎重投与 (2)肝機能障害のある患者
2) ハラヴェン静注1mg添付文書 2016年2月改訂(第6版) 【用法・用量】 <用法・用量に関連する使用上の注意>
3) 【手術不能又は再発乳癌】ハラヴェン静注1mg適正使用ガイド IV 投与患者の選択 p24-26 (DI-J-642)
4) ハラヴェン静注1mg添付文書 2016年2月改訂(第6版) 【薬物動態】 6.肝機能障害患者
5) 【悪性軟部腫瘍】ハラヴェン静注1mg適正にご使用いただくためのガイドブック II 投与患者の選択 p13 (HAL1160BSG)
【作成年月】
2018年11月