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  • 公開日時 : 2024/05/22 14:43
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【アリセプト・レビー小体型認知症】 レビー小体型認知症患者に対する国内第II相試験(431試験)の試験結果(全般臨床症状、認知機能、精神症状)について教えてください。

【アリセプト・レビー小体型認知症】 
 
レビー小体型認知症患者に対する国内第II相試験(431試験)の試験結果(全般臨床症状、認知機能、精神症状)について教えてください。
 
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回答

レビー小体型認知症における国内第II相試験(431試験)について製品情報概要に以下の記載があります。(引用1、2、3)
 
■レビー小体型認知症を対象とした国内第II相臨床試験(プラセボ対照二重盲検比較試験、用量探索試験)(431試験)
 
目的:レビー小体型認知症(DLB)患者におけるアリセプトの有効性及び安全性を探索的に検討した。
試験デザイン:国内第II相、多施設共同、プラセボ対照、二重盲検、無作為化、並行群間比較試験
対象:レビー小体型認知症患者※1 140例
プラセボ群 35例、3mg群 35例、5mg群 33例、10mg群 37例
有効性解析対象例※2 127例 安全性解析対象例 139例を解析対象例とした。
なお、認知症発症の1年以上前にパーキンソン病と診断されている患者、脳卒中、脳腫瘍、統合失調症、てんかん、正常圧水頭症、精神遅滞、意識消失を伴う頭部外傷、残存欠損を伴う脳手術既往歴等の重大な神経・精神疾患を合併している患者は除外した。
※1:probable DLB(第1回国際ワークショップ版診断基準に基づく) MMSE10~26点、CDR0.5以上、改訂版NPI-12 8点以上
※2:PPS
 
方法:観察期間(2週間)ののち、アリセプトまたはプラセボを1日1回朝、12週間経口投与し、下記項目にて評価した。なお、3mg投与群は3mg/日、5mg投与群は最初の2週間は3mg/日を投与し、その後5mg/日へ増量した。10mg投与群は最初の2週間は3mg/日を投与し、その後4週間は5mg/日、さらにその後10mg/日へ増量した。

評価項目:有効性評価項目: CIBIC-plus(全般的臨床症状評価)※3、MMSEの投与開始時からの変化量※4、WMS-R注意/集中力指標の合計得点の投与開始時からの変化量※4、NPI-2(幻覚及び認知機能変動)の投与開始時からの変化量※4、NPI個別項目の投与開始時からの変化量※3
※3 投与開始時、12週、最終  ※4 投与開始時、投与4、8、12週、最終

安全性評価項目:有害事象、副作用、UPDRS partIII(パーキンソン病統一スケール) 等
 
解析計画:有効性解析対象はPPS集団を主要結果とした。連続変数(MMSE、WMS-R下位検査、言語流暢性課題、WAIS-III下位検査、VPTA下位検査、NPI、NPI-D、ZBI)に関しては、各評価時期及び最終評価時の変化量に対して、投与群ごとに要約統計量を算出した。また、求めた変化量を用いて、アリセプト各群に対するプラセボ群との比較をt検定で行った。さらに、縦軸に変化量、横軸に評価時期を取り、投与群ごとにグラフ(平均値±S.E.)を作成した。CIBIC-plus(全般的臨床症状評価)は、投与群ごとに最終評価時の各判定の例数及び割合を算出した。次に、アリセプト各群に対するプラセボ群との比較を2標本Wilcoxon検定で行った。また、安全性解析対象において、副作用の例数を集計した。
 
●CIBIC-plus(全般的臨床症状評価)(最終※5
CIBIC-plus(全般的臨床症状評価)(最終※5)において、3mg群、5mg群、10mg群はいずれもプラセボ群と比較して有意な差があった(p<0.001、p=0.001、p=0.001、2標本Wilcoxon検定)。
※5:最終:原則として12週時の評価であるが、中止、脱落例については、欠測直前の最終データを解析の対象とした。
 
 
●認知機能:MMSEの投与開始時からの変化量(各評価時点、最終※6
認知機能を評価するMMSE(最終※6)の投与開始時からの変化量(平均値)のプラセボ群との差は、3mg群、5mg群、10mg群それぞれ1.8点、4.1点、2.8点であり、いずれの投与群においてもプラセボ群と比較して有意差が認められた(p=0.046、p<0.001、p<0.001、t検定)。
 
※6:原則として12週時の評価であるが、中止、脱落例については、欠測直前の最終データを解析の対象とした。
 
●精神症状評価:NPI-2(幻覚及び認知機能変動)の投与開始時からの変化量(各評価時点、最終※7
幻覚、認知機能変動を評価するNPI-2スコア(最終※7)の投与開始時からの変化量(平均値)のプラセボ群との差は、3mg群、5mg群、10mg群それぞれ−2.4点、−3.6点、−5.2点であり、5mg群と10mg群でプラセボ群と比較して有意差が認められた(p=0.001、p<0.001、t検定)。3mg群では有意差は認められなかった(t検定)。
※7: 原則として12週時の評価であるが、中止、脱落例については、欠測直前の最終データを解析の対象とした。
 
副作用
副作用は、プラセボ群15/34例(44.1%)、3mg群16/35例(45.7%)、5mg群16/33例(48.5%)、10mg群
16/37例(43.2%)に認められた。
主な副作用は、プラセボ群では尿中血陽性3例(8.8%)、下痢、心電図QT延長が各2例(5.9%)、3mg群では徘徊癖、血中クレアチンホスホキナーゼ増加、血圧上昇が各2例(5.7%)、5mg群では下痢3例(9.1%)、パーキンソニズム、便秘、血中クレアチンホスホキナーゼ増加、血圧上昇が各2例(6.1%)、10mg群では血中クレアチンホスホキナーゼ増加、白血球減少、転倒・転落が各2例(5.4%)に認められた。
重篤な副作用は、プラセボ群の不穏1例、3mg群のくも膜下出血1例であった。
死亡は認められなかった。
投与中止に至った副作用は、プラセボ群で下痢/血圧低下、不穏、横紋筋融解症、精神症状の悪化が各1例、3mg群でせん妄、不眠症、落ち着きのなさ、くも膜下出血が各1例、10mg群で胃腸障害が1例であった。
 
レビー小体型認知症における認知症症状の進行抑制の用法及び用量は以下の通りです。
通常、成人にはドネペジル塩酸塩として1日1回3mgから開始し、1~2週間後に5mgに増量し、経口投与する。5mgで4週間以上経過後、10mgに増量する。なお、症状により5mgまで減量できる。
投与開始12週間後までを目安に、認知機能検査、患者及び家族・介護者から自他覚症状の聴取等による有効性評価を行い、認知機能、精神症状・行動障害、日常生活動作等を総合的に評価してベネフィットがリスクを上回ると判断できない場合は、投与を中止すること。
投与開始12週間後までの有効性評価の結果に基づき投与継続を判断した場合であっても、定期的に有効性評価を行い、投与継続の可否を判断すること。
 
【関連情報】
●電子添文「5.効能又は効果に関連する注意」に以下の記載があります。(引用4)
5.効能又は効果に関連する注意
5.6精神症状・行動障害、全般臨床症状に対する本剤の有効性は確認されていない。
 
●MMSE、NPIについてはインタビューフォーム「V.治療に関する項目」に以下の記載があります。(引用5)
■MMSE 
認知機能を評価する方法で、「見当識、記銘、注意、計算、近時・遠隔記憶、了解、読書、書字・デザイン」から評価する。簡単に種々の認知能力を評価でき、さらに動作性能力も評価できる。得点の範囲は 30~0点(正常→重度)である。
 
■NPI
介護者による精神症状を評価するための方法。妄想、幻覚、興奮、うつ、不安、多幸、無感情、脱抑制、易刺激性、異常行動の10項目につき、それぞれの頻度を1~4の4段階で、重症度を1~3の3段階で評価する。点数が高いほど頻度、重症度が大きいことを示している。各項目のスコアは頻度×重症度で表され(1~12点)、10項目で合計1~120点となる。
 

【引用】
1)アリセプト錠3mg・5mg・10mg・細粒0.5%・D錠3mg・5mg・10mg・内服ゼリー3mg・5mg・10mg・ドライシロップ1% 製品情報概要 臨床成績 レビー小体型認知症を対象とした国内第II相臨床試験(431試験) p12 (ART1692CSG)
2)承認時評価資料:レビー小体型認知症を対象とした国内第II相臨床試験(431試験)
3) Mori, E. et al. : Ann.Neurol. 72(1),p41-52,2012 [ART-2536] (本研究はエーザイ株式会社の支援を受けて実施されました)
4)アリセプト錠3mg・5mg・10mg・細粒0.5%・D錠3mg・5mg・10mg・内服ゼリー3mg・5mg・10mg・ドライシロップ1%電子添文 2023年5月改訂(第3版) 5.効能又は効果に関連する注意 5.6
5)アリセプト錠3mg・5mg・10mg・細粒0.5%・D錠3mg・5mg・10mg・内服ゼリー3mg・5mg・10mg・ドライシロップ1%インタビューフォーム 2023年5月改訂(改訂第33版) V.治療に関する項目 5.臨床成績 (4)検証的試験 1)有効性検証試験・臨床効果 3.レビー小体型認知症
 
【更新年月】
2024年4月