• No : 18294
  • 公開日時 : 2023/02/27 17:45
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【ワーファリン】 相互作用の影響が少ない抗菌薬について教えてください。

【ワーファリン】 
 
相互作用の影響が少ない抗菌薬について教えてください。
 
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回答

ワーファリンへの影響が少ない抗菌薬についての明確な情報はありません。
(相互作用について、出血に及ぼす影響を比較した前向き試験はありません。)
抗菌薬には、腸内細菌叢を抑制しビタミンK産生を抑えるもの、代謝酵素に対し影響を与えるもの等があり、併用によりワーファリンの作用を増強または減弱させることがあります。
抗菌薬との併用時は血液凝固能(INR)の変動に注意し、必要に応じて本剤の用量調節をしてください。(引用1)
 
なお、ミコナゾール(ゲル剤・注射剤・錠剤)は併用禁忌です。(引用2)
 
【関連情報】
■相互作用
<併用禁忌>
ミコナゾール(ゲル剤・注射剤・錠剤)を投与中の患者(引用2)
本剤の作用を増強することがある。また、併用中止後も、本剤の作用が遷延し、出血やINR上昇に至ったとの報告もある。患者が本剤による治療を必要とする場合、本剤による治療を優先し、ミコナゾール(ゲル剤・注射剤・錠剤)を投与しないこと。
<併用注意>
抗生物質製剤、化学療法剤、抗真菌剤〔ミコナゾール(ゲル剤・注射剤・錠剤)を除く。〕(引用1)
ワーファリンの作用を増強または減弱することがあるので、併用する場合には血液凝固能の変動に十分注意しながら投与すること。
 
■海外文献情報
・抗菌薬の投与がワルファリン投与中患者の出血リスクに及ぼす影響
65歳以上のワルファリン投与患者において、抗菌薬投与が出血リスクを増大させるか否かを検討したケースコントロール研究の報告があります(外国人データ)。(引用3)
アゾール系、マクロライド系、キノロン系、ペニシリン系、セファロスポリン系等の検討された6種類の抗菌薬投与の症例において、抗菌薬が投与されていない症例と比較して、いずれの抗菌薬も出血リスクの上昇と関連することが示されています。
 
(概要)
継続的にワルファリンを投与中の65才以上の38,762例から、2007年に180日以上ワルファリン投与があり、2008年に1回以上ワルファリンを処方され、2008年に入院を要する出血を来たしたか、同年末まで観察を行った例で、イベント発生/基準日の前に抗菌薬曝露のある798例を選び症例群とした。
抗菌薬の種別毎に症例群の調整オッズ比(95%信頼区間)をみると、アゾール系抗真菌薬が4.57(1.90-11.03)、マクロライド系薬が1.86(1.08-3.21)、キノロン系薬が1.69(1.09-2.62)、コ・トリモキサゾール(スルファメトキサゾール-トリメトプリム)が2.70(1.46-5.05)、ペニシリン系薬が1.92(1.21-2.07)、セファロスポリン系薬が2.45(1.52-3.95)と、いずれも入院を要する出血の上昇と関連することが示された。
ワルファリン投与中の高齢者において抗菌薬、特にアゾール系抗真菌薬の投与は、出血リスクの増大に有意に関連していると示唆された。(引用3)
 
※統計学的検討は、ロジスティック回帰モデルを用いて、抗生物質曝露に伴う大出血のリスクを、95%信頼区間(CI)で調整オッズ比(aOR)を表して推定した。
 

【引用】
1)ワーファリン錠0.5mg・錠1mg・錠5mg・顆粒0.2%電子添文 2019年7月改訂(第1版) 10.相互作用 10.2併用注意(併用に注意すること)
2)ワーファリン錠0.5mg・錠1mg・錠5mg・顆粒0.2%電子添文 2019年7月改訂(第1版) 10.相互作用 10.1併用禁忌(併用しないこと)
3)Baillargeon,J.et al.:Am.J.Med.125(2), p183-189, 2012 [WF-3702]
 
【作成年月】
2023年1月