• No : 17459
  • 公開日時 : 2022/07/12 15:59
  • 更新日時 : 2024/09/02 09:07
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【トラベルミン】 授乳婦の方に投与する際の注意事項について教えてください。

【トラベルミン】 
 
授乳婦の方に投与する際の注意事項について教えてください。
 
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回答

電子添文の授乳婦には以下の記載があります。
トラベルミン配合錠
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.6 授乳婦(引用1)
授乳しないことが望ましい。
ジフェンヒドラミンは、動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが認められており(引用2)、ヒトでは哺乳中の児において昏睡が認められたとの報告がある。(引用3)
 
トラベルミン注
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.6 授乳婦(引用4)
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが認められており(引用2)、ヒトでは哺乳中の児において昏睡が認められたとの報告がある(引用3)。
 
トラベルミンのもう一つの成分であるジプロフィリンについては、注射製剤の乳汁移行データ(関連情報参照)がありますが、経口剤のデータはありません。
 
【関連情報】
インタビューフォームには乳汁への移行性(ラット)について以下の記載があります。
・乳汁への移行性(引用5、6)
〈参考:ラット〉外国のデータ
ジフェンヒドラミンのラット乳汁移行を調べるために、授乳中のラットにジフェンヒドラミンを単回、反復経口投与後、乳汁中および血漿中ジフェンヒドラミン濃度を測定した。ジフェンヒドラミン40mg/kgまたは100mg/kgの単回投与4時間後、乳汁中濃度の平均値は0.30μg/mLおよび2.2μg/mLであり、血漿中濃度に対する乳汁中濃度比は4.4~7.5であった。40mg/kg(1日2回=80mg/kg)の反復投与による、血漿中濃度、乳汁中濃度、および血漿中濃度に対する乳汁中濃度比は、単回投与に比して明らかな増加はなかった。ジフェンヒドラミン濃度は乳汁中の方が血漿中よりも高いが、40mg/kg単回投与後の母ラットから子ラットが授乳により受けるジフェンヒドラミンの量はおよそ0.057mg/kg/日と計算され、母ラットへの投与量よりはるかに少ないものであった。(引用2)
 
■ジプロフィリンについて
強心・喘息治療剤ジプロフィリン注300mg「エーザイ」については、電子添文において授乳婦に対する注意の記載はありません。なお、インタビューフォームには以下の記載があります。
・乳汁への移行性(引用7)
授乳婦20名にジプロフィリン8mg/kgを筋肉内投与したところ、乳汁/血清 濃度比は2.08±0.52(Mean±S.D.)であった。(外国人のデータ)(引用8)
 
*ジプロフィリン注300mg「エーザイ」の効能又は効果、用法及び用量は以下になります。
4.効能又は効果(引用9)
 気管支喘息、喘息性(様)気管支炎、うっ血性心不全
6.用法及び用量(引用10)
ジプロフィリンとして、通常成人1回300~600mg(1~2管)を皮下、筋肉内または静脈内注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
 
■厚生労働省が設置した「妊娠と薬情報センター」のホームページには、「授乳中に使用できると考えられる薬」の一覧があり、ここにはジフェンヒドラミン(トラベルミン)の記載があります。(引用11)
 
■授乳を避ける場合に、服用後どのくらいの時間を空ければ授乳を再開できるかについて
どのくらいの時間を空ければ授乳が再開できるかについて、詳細に検討された臨床試験データはございません。
一般に、消失半減期の5倍の時間を経過すると血中から消失したと見なされますが(引用12)、トラベルミン配合錠・注の薬物動態について検討を行っておりません。
 

【引用】
1)トラベルミン配合錠 電子添文2023年4月改訂(第2版) 使用上の注意 9.特定の背景を有する患者に関する注意 9.6 授乳婦
2)Dostal, L. A. et al.:J. Pharm. Sci., 1989;78(5):423-426 [T-0029]
3)Ratner, B.:J. Pediatr., 1947;30:583-602 [T-0027]
4)トラベルミン注 電子添文 2021年3月改訂(第1版) 9. 特定の背景を有する患者に関する注意 9.6 授乳婦
5)トラベルミン配合錠 インタビューフォーム 2024年1月(改訂第10版) VII.薬物動態に関する項目 5.分布(3)乳汁への移行性
6)トラベルミン注 インタビューフォーム 2022年4月(改訂第8版) VII.薬物動態に関する項目 5.分布(3)乳汁への移行性
7)ジプロフィリン注300mg インタビューフォーム2021年6月改訂(改訂第6版) VII.薬物動態に関する項目 5.分布(3)乳汁への移行性
8)Jarboe, C. H. et al.:J. Clin. Pharmacol., 1981;21(10):405­410 [DIP-0022]
9)ジプロフィリン注300mg 電子添文 2021年3月改訂(第1版) 4. 効能又は効果
10)ジプロフィリン注300mg 電子添文 2021年3月改訂(第1版) 6. 用法及び用量
11)妊娠と薬情報センター ママのためのお薬情報 授乳中に安全に使用できると考えられる薬
ncchd.go.jp/kusuri/lactation/druglist_aiu.html  (最終閲覧日:2024年4月11日)
12)特集 知っておくと役に立つ小児科の知識 授乳中の女性に処方するときの注意点 水野克己:昭和学士会誌 73(4), p301-306(2013) [ZZZ-1241]
 
【更新年月】
2024年8月