[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 614 主としてグラム陽性菌、マイコプラズマに作用するもの〕
[相互作用の内容]
本剤の作用を増強する可能性がある。【テリスロマイシンの添付文書に併用注意の記載がある】
[併用時の注意]
併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に注意し、必要に応じて本剤の用量調節を行うこと。
[相互作用の機序]
不明。
[相互作用の事例]
<症例報告事例>1)【ワルファリンの作用増強】
73才男性。大動脈弁置換術既往があり、長期ワルファリン療法中。ワルファリンは7.5mgと6.25mgを1日交替で投与しており、過去1年間のINRは2.8~3.5であった。空咳、呼吸困難が出現し、テリスロマイシン800mg/日5日分を処方された。テリスロマイシン投与開始10日前、INRは3.1であった。テリスロマイシン開始4日後、喀血を来し、翌日入院。INRは11に上昇していた。新鮮凍結血漿2パック投与、テリスロマイシン中止、ワルファリン4日間休薬。INRは2.5に低下し、喀血も消失したので、ワルファリンを従前の用量で再開した。その後INRは2.8~3.3に維持されている。テリスロマイシンはCYP1AとCYP3A4で代謝されることから、R-ワルファリンの代謝が阻害された可能性が考えられる。(海外)
<臨床研究報告>2)【ワルファリンの作用増強、減弱】
2004年9月15日現在、カナダ保健省(Health Canada)ではテリスロマイシンの薬物相互作用が疑われる報告を25報受け付けており、この内7報が凝固能異常で、内訳はワルファリンとの相互作用が6報、成分名不明の経口抗凝固薬との相互作用が1報である。患者は50~79才で、7例中6例でINRの上昇、1例でINRの低下が報告されている。INRはテリスロマイシン投与開始1~9日後に変動しており、7例中6例でワルファリンもしくはテリスロマイシンの用量変更を要した。(海外)
【参考文献】 [文献請求番号]
1)Kolilekas L et al.: Ann. Pharmacother., 38, 1424(2004) WF-1783
2)Health Canada: Can. Adv. Reaction Newslett., 15, 1(2005) WF-1913