[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 214 血圧降下剤〕
[相互作用の内容]
相互作用は生じないか、または生じたとしても臨床上問題にならない程度と思われる。
[併用時の注意]
臨床上問題にならない程度と思われるが、併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に注意すること。
[相互作用の事例]
<基礎研究報告>1)【相互作用なし】
ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗剤の代謝を、recombinat-CYPアイソザイム発現B-リンパ芽球細胞を用いて検討した。ベニジピンとアムロジピンが、7-エトキシレゾルフィンのO-脱エチル化(CYP1A1)を阻害した。ニフェジピン、ニソルジピンとアラニジピンが、フェナセチンのO-脱エチル化(CYP1A2)を阻害した。バルニジピンとアムロジピンが7-ベンジルオキシレゾルフィンのO-脱エチル化(CYP2B6)を阻害した。ニカルジピン、ベニジピン、マニジピンとバルニジピンが、S-ワルファリンの7-水酸化(CYP2C9)とブフラロールの1'-水酸化(CYP2D6)を阻害した。ニカルジピン、ベニジピン、バルニジピンが、S-メフェニトインの4'-水酸化(CYP2C19)とテストステロンの6β-水酸化(CYP3A4)を阻害した。ラインウィーバー・バークプロットから、ニカルジピンとCYP2C19、CYP3A4で代謝される薬物との相互作用が示唆された。
ワルファリンの活性型異性体であるS-ワルファリンの代謝は主としてCYP2C9によるため、上記の結果からはジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬によりワルファリンの動態には変化がないと推測される。
<臨床研究報告>2)【フェロジピンによるワルファリンの作用増強】
安定したワルファリン療法施行中にフェロジピン併用を開始した20例を抽出した。INRは併用開始9.4日前2.46、併用開始13.1日後2.66であった。併用開始後のINRの値に基づきワルファリン用量を変更したのは7/20例(35%)であった。(海外)
<臨床研究報告>3)【フェロジピンによるR-ワルファリンの血中濃度上昇】
健康成人男子12名にINRが1.4~1.6になるようワルファリンを連続投与し、フェロジピン徐放製剤10mg/日またはプラセボを14日間併用した。プラセボ期、フェロジピン期の第14日のワルファリン投与量、INRには有意な差はなかった。S-ワルファリン、R-ワルファリンとも、AUC0-24、血漿トラフ(谷)濃度、最高血漿中濃度到達時間、経口クリアランスには、プラセボ期とフェロジピン期の間に有意差はなかった。最高血漿中濃度は、S-ワルファリンではフェロジピンの影響は認められなかったが、R-ワルファリンでは、フェロジピンにより有意な上昇を示した。(海外)
【参考文献】 [文献請求番号]
1)Katou M et al.: Eur. J. Clin. Pharmacol., 55, 843(2000) WF-1266
2)McCall KL et al.: Pharmacotherapy, 24, 188(2004) WF-1713
3)Grind M et al.: Clin. Pharmacol. Ther., 54, 381(1993) WF-1767