[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 114 解熱鎮痛消炎剤〕
[相互作用の内容]
本剤の作用を増強する可能性がある。【イブプロフェンの添付文書に併用注意の記載がある】
[併用時の注意]
併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に注意すること。
イブプロフェンによる消化管出血を助長する可能性にも留意すること。
[相互作用の機序]1,2)
イブプロフェンの血小板凝集抑制作用による。
イブプロフェンの副作用である消化管潰瘍・出血による出血傾向を助長する。
イブプロフェンが本剤を血漿蛋白から遊離させる。
[相互作用の事例]
<臨床研究報告>3)【イブプロフェンによる出血の増強】
静脈の血栓塞栓症にワルファリン療法を施行中で、種々の合併症によりNSAID投与を必要とした20例にイブプロフェンを併用した。1例でイブプロフェン600mgの初回投与後に出血時間が350秒から795秒に延長し、以降の検討を中止した。19例にはイブプロフェン600mgを1日3回7日間投与し、最終服薬の90分後に出血時間の変化を検討した。3例で出血時間が延長し、2例は900秒を超え、1例は812秒であった。3例中1例に血尿を認めた。出血時間延長を示さなかった16例の内3例で、皮下出血が現れた。19例全体では、イブプロフェンにより出血時間は有意に延長し、血小板数は有意に低下した。プロトロンビン時間には、イブプロフェン投与による有意な変化はなかった。(海外)
<臨床研究報告>4)【相互作用なし】
健康成人男子36名を(1)プラセボ投与、(2)イブプロフェン1200mg/日投与、(3)イブプロフェン2400mg/日投与、(4)ワルファリン7.5mg/日投与、(5)ワルファリン7.5mg/日とイブプロフェン1200mg/日併用投与、(6)ワルファリン7.5mg/日とイブプロフェン2400mg/日併用投与、の6群に無作為に分けて、二重盲検にて各々14日間投与した。イブプロフェンはワルファリンの抗凝固活性や血中濃度に影響しなかった。(海外)
<臨床研究報告>5)【相互作用なし】
ワルファリン長期投与中の50例にイブプロフェン600~1200mg/日を7日間投与した。イブプロフェンはワルファリンの抗凝固活性に影響を与えなかった。
また、健康成人男子30名にイブプロフェン1800mg/日を3日間投与したが、プロトロンビン時間および部分トロンボプラスチン時間は変動しなかった。(海外)
【参考文献】 [文献請求番号]
1)Diana FJ et al.: J. Pharm. Sci., 78, 195(1989) WF-0599
2)USP-DI,22nd ed.,Vol.Ⅰ, 265(2002) WF-1157
3)Schulman S et al.: Br. J. Rheumatol., 28, 46(1989) WF-0602
4)Penner JA: Curr. Ther. Res., 18, 862(1975) WF-0847
5)Goncalves L: J. Int. Med. Res., 1, 180(1973) WF-1349