[相互作用を示す薬剤名(代表的商品名)]
〔薬効分類 114 解熱鎮痛消炎剤〕
[相互作用の内容]
本剤の作用を増強する可能性がある。【ピロキシカムの添付文書に併用注意の記載がある】
[併用時の注意]
併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に注意すること。
ピロキシカムによる消化管出血を助長する可能性にも留意すること。
[相互作用の機序]1)
ピロキシカムの血小板凝集抑制作用による。
ピロキシカムの副作用である消化管潰瘍・出血による出血傾向を助長する。
ピロキシカムが本剤を血漿蛋白から遊離させる。
[相互作用の事例]
<症例報告事例>2)【ワルファリンの作用増強】
60才男性。再発性の肺塞栓症と深部静脈血栓症で、ワルファリン20mg/週を投与中である。他に合併症治療目的でピロキシカム20mg/日とフルラゼパム15mg(不眠時頓用)を投与中で、プロトロンビン時間はコントロール比1.7~1.9で安定していた。ピロキシカムを中断したところ、2週後にはプロトロンビン時間はコントロール比1.3(14.5秒)となり、ワルファリンの用量は変更せずに再度ピロキシカムを投与したところ、1週間以内にコントロール比1.7(17秒)に回復、その後コントロール比1.6~1.7で安定した。プロトロンビン時間はピロキシカムを再度中断すると2週後にコントロール比1.3(14.5秒)になり、ピロキシカムを再度投与開始した4週後にはコントロール比1.6(17.5秒)となった。(海外)
<症例報告事例>3)【ワルファリンの作用増強】
39才女性。元来健康であった。ワルファリン0.025%含有の殺鼠剤を週1回、素手で散布していた。また、必要時ピロキシカムとアセトアミノフェンを服用していた。頭痛と呼吸困難を来たし救急受診、翌日、CTで小脳出血を認めた。プロトロンビン時間は31.1秒、活性化部分トロンボプラスチン時間は59.9秒で、ビタミンK1と新鮮凍結血漿を投与した。殺鼠剤に含有するワルファリンが経皮吸収され、ピロキシカムにより効果が増強されたことが出血の原因と考えられた。(海外)
<症例報告事例>4)【ワルファリンの作用増強】
87才女性。ワルファリン5mg/日投与中でプロトロンビン時間比は1.4~1.6倍であった。左腕の疼痛に対しピロキシカム20mg/日の投与を開始した。2週後、プロトロンビン時間比が2.3となった。その1週後、ワルファリンを2日休薬し、次いで5mgの隔日投与とした。この後、プロトロンビン時間比は1.8~2.4で推移した。次いでピロキシカムを中止しワルファリンを2.5mg/日としたところ、続く3週はプロトロンビン時間比1.0~1.2となった。この1週後、ワルファリンを5mg隔日投与とし、翌月にはプロトロンビン時間比は1.5~1.7の治療域となった。(海外)
ピロキシカム外用との相互作用も報告されている。
<症例報告事例>5)【ワルファリンの作用増強】
(症例1)60才女性。ワルファリン投与中、ピロキシカム20mg/日とピロキシカム0.5%ゲルの9日間使用によりINRが4.5に上昇した。
(症例2)61才男性。ワルファリン投与中にピロキシカム0.5%ゲル2日、ピロキシカム20mg/日1日の使用で、下肢の皮下出血とINR4.2への上昇を来たした。(海外)
【参考文献】 [文献請求番号]
1)USP-DI,22nd ed.,Vol.Ⅰ, 265(2002) WF-1157
2)Rhodes RS et al.: Drug Intell. Clin. Pharm., 19, 556(1985) WF-0006
3)Abell TL et al.: Clin. Toxicol., 32, 69(1994) WF-1348
4)Mallet L et al.: Can. J. Hosp. Pharm., 44, 93(1991) WF-1360
5)Chan TYK: Int. J. Clin. Pharmacol. Ther., 36, 403(1998) WF-2084