喫煙はある種の薬剤の代謝を促進するといわれており1)、禁煙によるワルファリンの血中濃度上昇、半減期の延長2)やINRの上昇3,4,5)の症例報告がある。喫煙の際に一部体内に吸収されるbenzpyrene(benzo[a]pyrene)はCYP1A1やCYP1A2の酵素誘導体であり、ワルファリンの代謝を促進し、作用を減弱する可能性があるといわれている6)。
一方、Mitchell7)およびWeiner8)は、喫煙はワルファリンの維持用量に対し影響しなかったと報告しており、喫煙が直接ワルファリンの作用に影響をおよぼすとは考えにくい。しかし、喫煙は血管障害や血栓症などの発症の原因にもなりうるので注意する。
なお、主な参考資料には、ワルファリンと喫煙の相互作用は以下のように記載されている。
【参考文献】 [文献請求番号]
1)D’Arcy PF: Drug Intell. Clin. Pharm., 18, 302(1984) ZZZ-0028
2)Bachmann K et al.: Clin. Pharmacol. Ther., 25, 309(1979) WF-2171
3)Colucci VJ: Ann. Pharmacother., 35, 385(2001) WF-2172
4)Kuykendall JR: Ann. Pharmacother., 38, 595(2004) WF-1680
5)Evans M et al.: Pharmacotherapy, 25, 1656(2005) WF-2225
6)Bachmann K et al: Toxicol. Applied Pharmacol., 42, 157(1977) WF-2174
7)Mitchell AA: N. Engl. J. Med., 287, 1153(1972) WF-0736
8)Weiner B et al.: Drug Intell. Clin. Pharm., 18, 904(1984) WF-0194