（Ⅷ-23「アザチオプリン」の項参照）

［相互作用を示す薬剤名（代表的商品名）］

〔薬効分類　399　他に分類されない代謝性医薬品〕

［相互作用の内容］

本剤の作用を減弱させるとの報告がある。

シクロスポリンの作用を減弱させるとの報告がある。

［併用時の注意］

併用開始時および併用中止時は、血液凝固能検査値の変動に注意すること。

また、同様にシクロスポリンの作用が減弱する徴候に注意すること。

［相互作用の機序］

不明。

［相互作用の事例］

＜症例報告事例＞1)【ワルファリンの作用減弱】

39才女性。赤芽球癆に対しシクロスポリン（3mg/日で継続）投与開始18ヵ月後、患者は深部静脈血栓症を発症した。ウロキナーゼ、ヘパリンによる治療を施行、次いでワルファリン10mg/日の投与を開始した。シクロスポリンは3mg/日で継続とした。ワルファリン開始1週後、患者の網赤血球は4.3％から1.3％へと低下した。続く2週も、網赤血球は1.3～1.7％であった。ヘモグロビンは12g/dLから10.8g/dLに低下した。シクロスポリン血中濃度は170ng/mLと低値であった。シクロスポリンを7mg/日に増量したところ、網赤血球は6.3％、ヘモグロビンは11g/dL、血中シクロスポリン値は810ng/mLとなった。一方、プロトロンビン活性は17％から64％となり、ワルファリンの増量を要した。（海外）

＜症例報告事例＞2)【ワルファリンの作用減弱】

65才女性。4年前、血管免疫芽球型T細胞リンパ腫と診断され、CHOP療法（シクロホスファミド+アドリアマイシン+ビンクリスチン+プレドニゾロン）を6コース施行された。リンパ腫診断の3ヵ月後（化学療法施行中）に左脚の深部静脈血栓症を発症したが、低分子量ヘパリンを2ヵ月投与して消失した。次いで、腸骨静脈から腎静脈へと拡がる無症候性の大静脈血栓症が見つかり、ワルファリン療法を開始した。ワルファリン開始8ヵ月後、リンパ腫再発のため、悪性T細胞の増殖抑制目的にてシクロスポリン-A 300mg 1日2回の投与を開始した。シクロスポリン-A投与開始後、INRは約40％も低下し、ワルファリンをそれまでの18.75mg/週から27.50mg/週に漸増した。シクロスポリン-Aの血中濃度が治療域に達した後も、ワルファリン投与量は同量で推移した。シクロスポリン-Aの血中濃度は、ワルファリン投与を中止しても影響を受けなかった。

【参考文献】    ［文献請求番号］
1）Snyder DS: Ann. Intern. Med.,    108,    311（1988)    WF-1727
2）Turri D et al.: Haematologica,    85,    893（2000)    WF-2195